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2016年04月05日13:00

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「セントルイス・ブルース」

秋葉原のアムトランスの試聴会「新忠篤氏ミニコンサート」に久しぶりに行って参りました。

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今回は、前回の続編だそうです。それは「セントルイス・ブルース」特集。

「セントルイス・ブルース」は、ウィリアム・クリストファー・ハンディ(William Christopher Handy)が1914年に作曲。ブルース進行によるスタンダードナンバーの王様のような曲。林家木久扇師匠の得意ネタの『いやんばか〜ん』の元歌といえば、どんな方でも「ああ、あれか」という曲。それこそ古今東西、幾多の名演が残されているというわけです。

新さんは、所蔵レコードを整理している際にこの曲の多さに気づき、それならとレコードショップの店主の協力も仰いで徹底的に蒐集してみようと思い立ったとのこと。それこそ星の数ほどあるようで、すべてを網羅とは言わないまでもかなりの数になったので、このレコードコンサートのプログラムに仕立て上げたということです。今回は、その第2回の『戦後編』というわけ。

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第二次世界大戦後というだけで、これだけあるのかとびっくり。まずは1946年録音のダイナ・ショアのSP時代のものを皮切りに、全25曲。14:00から始めて予定の16:30を大幅に上回り全曲再生し終えたのは17:00近くでした。それでも全プログラムを踏破したということで新さんも照れ隠しの笑みを浮かべながらもとても満足げ。

どうも私の頭には『いやんばか〜ん』が被ってしまうので、これを振り払うのが大変ですが、やはり、さすがの名スタンダードナンバーで錚々たる顔ぶれの熱演がずらりと並びます。同じ曲をこれだけ聴いてもひとつも退屈しないのがジャズの楽しさ、面白さ。クラシックではこうはならない。ジャズならではの自由自在、演奏者の個性を全面に押し出した即興性だからこそ。それぞれの演奏には時代の響きがあってさながら戦後史40年の壮大なドラマでもありました。

なかでも、さすがのルイ・アームストロングが2回も登場。1954年録音盤(リマスターCD盤)は、いかにもアームストロングらしい音楽でやっぱりこの曲にすごくお似合いというのか、本家の貫禄がします。面白いのは、レナード・バーンスタイン指揮NYフィルハーモニーとの協演盤。恐らくラジオ放送用に企画されたもので会場もカーネギーホールだと思います。作曲者のW.C.ハンディも招かれていて、バーンスタインのスピーチもそのままに再現されました。

再生システムは、例によってアムトランス備え付けのGIPのウェスタン・レプリカのオール励磁型スピーカー(3way)。アンプは新氏自作のAL4シングル(3Wx2)。

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今月発売の「管球王国」に発表予定のもの。AL4は、ラジオ用に開発された民生用高感度5極管。欧州管としては安価ですがいまや絶望的に入手が難しくなったとか。これを新氏得意の単段構成の回路で組んでいます。アクティブ回路はこのAL4の出力段だけで初段はマッチングトランスで昇圧し、最終段はアウトプットトランスというシンプルなもの。いかにも戦後を語るにふさわしい純朴かつ率直なサウンド。懐かしいサウンドというと誤解されてしまいますが、ハイファイ的なあざとさがない率直なサウンドで帯域の狭さを微塵も感じさせない存分に活力のある音味です。

音出しは、すべてDSD対応ポータブルヘッドホンアンププレーヤーのDAC−HA300というのが、これまた新氏らしい。アナログLPもCDもすべてDSDに変換しこれで音出しするという仕掛け。特にアナログ系は新氏ご自身のアナログプレーヤーを入念に調整したうえでの再生を音源とするいわゆる板起こし。

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特にDSD5.6の優位性は動かしがたく、LPとCDの音の差が鮮明に聞き取れるようになり、これに較べるとCDによる再発リマスター音源はどうしても電気的な加工臭が感じられてしまうとのことです。

新さんは「以前、『新氏はLPよりもSPの方が得意でSPの方がいい音がする』と言われたことがある。それはまあ事実そうだったんですが、今回、カートリッジMC−10を昇圧トランスなしでハイゲイン・アンプで受けたところ俄然音がよくなった。インピーダンス・マッチングのせいでハイ落ち気味だったことが原因のようだ」とのお話し。「今ではLPもSPに負けずに鳴らせます」と言いながら私の顔を見てニヤリとしたのは、どうも『LPよりもSPが得意』という陰口(?)の主は私だというわけなのようです。確かに、身に覚えのあることで、これまた大汗でした(笑)。

それにしてもアナログ再生というものの奥深さ。新さんのように天皇陛下の御前で玉音放送の原盤を復元再生されたような大ベテランでさえ、このようなお話しをされる。インピーダンスマッチングやフォノEQの重要性を率直に語っておられています。私も、高価なカートリッジを取っ替え引っ替えして音がどうのという話しを聞くたびに「ああ、もったいない」と思います。

真空管販売の老舗のアムトランスも、今月でラジオセンターの秋葉原店を閉店とするそうです。これも時代の流れということでしょうか。今後は、この本店舗を改装して真空管などのパーツショップを開設するとのこと。それに伴いこのミニコンサート試聴会も装いも改めて7月頃から再出発とのことです。
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