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2014年11月25日20:17

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マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団

ツィンメルマンをソリストにブラームスの協奏曲第1番、後半はラヴェル編「展覧会の絵」という超豪華版。

バイエルン放送響は、世界トップ5のオーケストラだと思います。聴いてみたかったオーケストラ。当日券でもと思っていたのですが、2日前にマイミクのhijiyanさんからお誘いがあり、2階席ステージ横のよい席をゲット。席にすわってみると、1階席センターのど真ん中にGRFさんが悠然と腕を組んで鎮座していました(笑)。

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ナマのツィメルマンを聴くのはほんとうに久しぶり。

もうかれこれ34年前にザルツブルク音楽祭のリサイタルで聴いたきりでした。あの頃は、まだまだ若くて、カラヤンのお稚児さんといった時代。75年に史上最年少でショパンコンクールを制覇したもののしばらくくすぶっていましたが、81年に戒厳令下の祖国ポーランドを棄てて西側に脱出したばかり。確かあれはザルツブルク・デビューか2回目だったと思いますが、やんやの喝采に腰を大きく折って髪を振り乱し得意げに答礼する、野心満々の若者でした。華麗なタッチでキレのよいヴィルティオーゾスタイル。

そういうイメージでずっと来たので、昨年でしたかベートーヴェンの後期3大ソナタで大評判をとっているので少々びっくりしました。腰痛とかで公演を延期し大騒ぎ。キャンセル魔という伝説に自分専用のピアノという尾ひれもついて大変な巨匠ぶり。そういう大家になっていたのかとちょっとあわてたのです。

いざ聴いてみると、もちろん素晴らしい超一級のピアニストですが、ある意味では平凡。斬りこむように鋭く輝くような華麗な音色という私の記憶に反して、綺麗ですがとても正統的。ミスタッチも人並みにありました。そのことは演奏スタイルでも同じ。とてもドイツ的でしかも明晰であるということは、意外に先週聴いたレーゼルに共通しています。

ところが、自分中心というイメージはそのままで、いささかオーケストラとはズレが生じます。いったんモデラートに落としたテンポを最初のマエストーソのテンポに戻すとき、8分休符があるのですが、その一瞬のタメがなく一気に飛び出していく。そういういささか気早なところは第三楽章のカデンツァの入りでもありました。

その一方で、ヤンソンス率いるバイエルン放送響の素晴らしいこと。「ドイツ的」というところはオーケストラに負うところが大きいのかもしれません。構成がしっかりとしていて、しかも、音が柔らかく、ピアニシモはどこまでもピアニシモでそこから壮大に吹き上がるダイナミズムに胸がすく思いがします。木管の美しさ以上に、日本のオケとの地力の違いを見せるのが金管群。聴きどころのホルンも完全無欠。スコアでは「a2(2つの楽器で)」と明記しているところも1番ホルンがそのまま吹ききり、その弱音の最低音がしっかりと響いていたのには舌を巻く思いがしました。

そう思えてくると、ピアノとオーケストラとは別々にセパレートして聴き入ってしまいます。交響曲的と言われますが、もともとはピアノ連弾で発想された曲です。オーケストラはこういうソリストには、遠慮してお手並み拝見的な引っ込んだ演奏になりがちなのですが、ブラームスのスコアはオーケストラそのものにとってもやりがいがあるのでしょう。頭のなかで、ピアノはピアノ、オケはオケと、分離して聴くにはかっこうの曲。そこが先週のレーゼルとKSTの室内楽的な一体感とは対極的でした。ステージ横の2階席でしたが、明晰なホール音響もあってそういう聴き方を堪能しました。

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後半の「展覧会の絵」が、バイエルン放送響の機能とひとりひとりの音楽性を遺憾なく発揮した快演でした。オーケストラ全体の豊かな色彩感、緻密なピアニッシモ、壮大な吹き上がり、時に切り込み鋭く、時に壮麗に鳴り響く打楽器群。一方で、団員ひとりひとりの名人芸が冴えわたります。「古城」でのサキソフォーンは、私の席からは背中だけで楽器は見えないのですが、ホールいっぱいに広がる音は明快で悲哀に満ちた怨念の旋律で、最後に消えゆくようなロングトーンが印象的。トロンボーン奏者がユーフォニアムに持ち替えての「ビドロ」も見事。喝采時にはヤンソンスがこのふたりを一番に立たせていました。「サムエル・ゴールデンベルク」では、ロータリー式からちょっと細く小さめのピストン式のトランペットに持ち替えての鋭くしかもどこかひ弱な音色が見事。

日本のオケとの差をまだまだ感じさせるもうひとつが打楽器群。このラヴェルのオーケストレーションによる音楽全体の壮麗さと、沸き立つような大音響が、この打楽器群に支えられていますから、この曲を聴く醍醐味がまるで違います。タムタム(銅鑼)が、マレットを工夫しているのか、独特の甲高い音。これを叩くひとが大柄で禿頭のごつい人で、まさに「トゥーランドット」で銅鑼を打ち鳴らすダッタン人の力士のよう。打楽器はところどころ大胆にスコアを改編しているようでした。ティンパニとグランカッサは、時に凶暴に、時に地鳴りのよう。その音色のみならず、曲想によってタイミングを微妙にずらしているところなどは本当に彼我の地力の差を感じさせました。

アンコールは、「ピッチカートポルカ」とドボルザーク「スラブ舞曲」。ポルカは、とても粋でウィットに富んでいますが、ウィーンの都会風ではなくボヘミア風。突き抜けるように屈託のない「スラブ舞曲」とともに、バイエルン放送響はほんとうにスラブ音楽がうまい。心躍るようなアンコール。ヤンソンスは、オケが退いた後も鳴りやまぬ拍手に答えて再登場。とても元気でノリノリでした。






バイエルン放送交響楽団
マリス・ヤンソンス指揮
クリスチャン・ツィメルマン(Pf)

ミューザ川崎シンフォニーホール
2014年11月21日(金) 19:00

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
ムソルグフスキー:ラヴェル編曲「展覧会の絵」

(アンコール)
ヨハン・シュトラウス・�鏡ぁ�ヨーゼフ・シュトラウス:「ピチカートポルカ」
アントン・ドヴォルザーク:スラブ舞曲第15番ハ長調(作品72−7)
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