改修でしばしお休みとなる芸劇ブランチコンサートの最終回は大入り満員。1999席完売は、このシリーズでは藤田真央以来の二度目だと思います。
とにかく大人気の石田泰尚。直前にはミューザ川崎に満員御礼の札が下りたし、武道館でも公演を予定しているとか。今回、この石田泰尚の出演の企画は、ナビゲーターの八塩圭子さんお手柄なんだと自らアピール。直々にお願いしたところ、その場で手帳を開いて「あ、空いてる…」のひと言で決まったのだとか(爆笑)。
これほどの人気は、やはり、ちょいワル風の風貌のギャップが魅力だからだろう。口数の少ないぶっきらぼうさと、それでいて演奏には品格があって正統なクラシック――そういうギャップがユニーク。気取らずお高くもとまっていない。実はシャイだと感じさせ、それがクラシック音楽との距離を縮めてくれる。そんなところに幅広いファンを惹き付ける魅力がある。
このシリーズ恒例の食べ物質問にも「朝食は抜き」「好きな料理は《しょうが焼き定食》」と一言しか返ってこない。会場は大笑い。八塩さんもそれにめげず質問を続けるところがさすが。
お相手は、實川 風。
以前、このシリーズに登場した時には、「バッティングセンターのピアニスト」などと失礼なことを申し上げたけれど、その健全な好青年ぶりは相変わらず。これがまた、石田と絶妙なコントラスト。
石田の實川評は、「何でも受け止めてくれる」。
そもそも石田組の人選基準は?問われて、「人柄」のひと言。
一方で、實川の石田評というと、「飛び出してくるような凄い音楽性」「リハーサルと本番でまるで違う」。
つまりは、實川は、どんなクセ球、悪球でも打ち返す器用さがあって、体勢も崩れない。悪球を打ち返しても、實川の健全な音楽性は少しも損なわれない。ちょいワルと善人がみごとに両立する素晴らしいアンサンブル。
だから、シューベルト、モーツァルトからファリャ、ピアソラまで、ドイツ正統の名曲から、ラテン度を徐々に盛り上げていくという音楽の流れにも聴いている方は安心して身を任せることができる。選曲について八塩が質問すると…
石田の回答は「テキトーです」で終わり(大爆笑)。
最後は、實川の編曲で、バッハとピアソラを同時に混ぜくった曲。これまた、ちょいワルと善人の同居みたいな趣向の音楽で、なかなか面白かった。
芸劇ブランチコンサート 名曲リサイタル・サロン
第32回「石田泰尚 & 實川 風」
2024年9月25日(火)11:00〜
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(31階 D列59番)
ヴァイオリン:石田泰尚
ピアノ:實川 風
ナビゲーター:八塩圭子
シューベルト/アヴェ・マリア
モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第25番ト長調 K.301
スメタナ/我が故郷より
第1曲 モデラート
第2曲 アンダンティーノ「ボヘミアの幻想」
ファリャ/スペイン舞曲 火祭りの踊り
ピアソラ/悪魔のロマンス(實川編)
實川 風/トッカティーナ 〜バッハとピアソラのテーマによる〜
(アンコール)
シュニトケのタンゴ
ラ・クンパルシータ
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