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2024年06月30日11:10

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ど真ん中 (フルシャ 都響定期)

次期英国ロイヤル・オペラハウス音楽監督のヤクブ・フルシャが、7年ぶりに都響を振る。しかも演目は、彼のご当地のオール・チェコ音楽。都響の首席客演指揮者として日本のファンに評判だったのに聴く機会を逃していたので、これは聴き逃せないと池袋に足を運びました。

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幸い、巷ではこのホールの特等席だという噂の1階最後列センターの席が取れたので、ホール音響の実地検分も兼ねてのコンサート体験となりました。

最初のスメタナの歌劇『リブシェ』序曲は、冒頭のトランペット4台を中心としたファンファーレで始まるとても祝典的な曲。チェコの音楽の歴史というと、オーストリア帝国の支配や第二次大戦にまで至るドイツ民族との確執そのもの。初演が潰えたいきさつや、ようやく初演にこぎつけたのがプラハ国民劇場のこけら落としというのも、まさにその歴史そのもの。祝祭的気分は、民族の誇りそのもの。チェコの民族主義音楽のど真ん中。

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なるほど、この1階最後列のしかも指揮台正面のセンター。その音響の立体バランスはほんとうに素晴らしい。まるで、最上のオーディオセットを独り占めして聴くかのように、左右のバランスや音色、響きのバランスが良くて、まさにど真ん中の音。

もともとあまり好きになれないホール音響でしたが、2011年のリニューアルで相当改善したと感じます。ただ、それでも音色の輝かしさや、響きの豊潤さには少々不満が残ります。都響の渾身のファンファーレがストレートに伝わる反面、プラハのスメタナホールのスケール感やルドルフィヌム(ドヴォルザークホール)の豊かな響きには及びもつきません。官製ホールのど真ん中といったここの音響は、この「最上席」でも大きく違うわけではありませんでした。

二曲目のヤナーチェク『利口な女狐』組曲は、フルシャ自身の編曲なのだとか。従来の編曲が歌劇の一部に限られていたものを、あらためて全体的にまんべんなくカバーするように選び直した、いわば拡張版とのこと。

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フルシャは、指揮姿も流麗円滑でなおかつとてもエネルギッシュ。そのマネジメントの巧みさは、まさに現代の大指揮者にふさわしい。この曲の田園的なファンタジーの世界と、古城や尖塔の美しい街並みの絵図を描くような洗練された音飾りを都響から引き出してとても心地よい。

プラハは長く神聖ローマ帝国の首都であったわけだし、宗教改革の主戦場――まさにヨーロッパの中心。ファンタジーといっても辺境ではなくて、ヨーロッパ近世・近代文化のど真ん中にあったわけです。フルシャの場面の運び、曲間の一息の取り方が実に素晴らしい快演でした。

後半のドヴォルザークの3番の交響曲も初体験。よく聴かれる後期の3曲ではなくてなかなか聴く機会のないこの曲を演奏するところにプルシャの気概のようなものを感じます。実際、歌謡的で土着の雰囲気、近代市民社会の庶民感覚などが満載の後期三部作に較べると、ずいぶんと正統で地味な風貌なのですが、ドヴォルザークらしい曲想がそこかしこに現れ、小気味よい三楽章形式であることもあって爽快な音楽でした。

都響も渾身の演奏。とはいえ表面的な完成度の高さに終わらず、もう少し熱狂的な心からの陶酔感を求めたいという気持ちも残ります。プログラムが初めてだらけでそういう共感までは至らなかったということのような気もします。

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平日昼間にもかかわらずほぼ満席の盛況にも少なからず驚きますが、フルシャを何度も呼び戻す熱気にはさらに圧倒されました。

日本のど真ん中のクラシックはかくも熱い。





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東京都交響楽団
第1002回定期演奏会Cシリーズ
2024年6月21日(金)14:00
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階S列 18番)

指揮:ヤクブ・フルシャ
コンサートマスター:矢部達哉

スメタナ:歌劇『リブシェ』序曲 【スメタナ生誕200年記念】
ヤナーチェク(フルシャ編曲):歌劇『利口な女狐の物語』大組曲 [日本初演]

ドヴォルザーク:交響曲第3番 変ホ長調 op.10
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