今月も国立能楽堂に行きました。
狂言も能楽も、いずれも新春にふさわしい演目。
狂言は、鞍馬参り ――初寅の日に鞍馬に詣でる話し。主人ではなく下人の太郎冠者に神様からの授かりがあったからややこしくなるというお笑い。
能は、二人静 ―――初摘み、いわゆる七草摘みの女に静御前が憑依する。神職に供養を頼んで舞を舞うが、憑依した菜摘女に加えて静御前自身の霊も現れて二人で舞う。
いわゆる連舞(つれまい)。あるいは相舞(あいまい)とも言う。二人、または二人以上の演者が同じ舞を同時に舞うこと。バレエのデュエットというのとは違って、同じ舞を舞うというところが違っていて、二人の所作はまったく同じ。たったそれだけのことで、とても舞台が豪華になる。当然に同調性が求められるわけで、ばらばらでは見苦しいし、きれいに同調していることでいっそうの華美の加わる。
ところが、二人の舞は微かにずれる。完全に同調してしまうと、まるでロボットのようで不自然。いかに微妙にずれるかが演者の工夫であってそこが観どころなのだと、解説者が言う。そのずれはとても精妙で、舞のリズムの上にさらにおおきな波動のようなものを感じさせる。ある種の高調波とも言えるし、海波とか清流の律動に潜む大きなうねりとも言えるかもしれない。仕舞いに近づくと、振り付けそのものにもずれを作り、陽と陰のような、重層的にからみあう虚実の映像とリズムを作り出す。
能楽というものの深みを知りました。
国立能楽堂 1月普及公演
解説・能楽あんない 「形と影、二人の女」:
小田幸子
狂言(大蔵流)・鞍馬参り
シテ/太郎冠者:茂山あきら
アド/主:茂山七五三
能(金春流)・二人静か
前シテ/里の女 後シテ/静御前の霊:高橋 忍
ツレ/菜摘女
ワキ/勝手明神の神職:原 大
ほか
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