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2018年08月02日18:32

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もうひとつのベルリン・キリスト教会 (ドイツ音楽三昧 その15)

再びベルリンへ戻っての二日目。

ベルリンは二度目ですが、ちょっと心残りになっていてぜひ訪ねてみたいところがあったのです。

前回のベルリンでは、ダーレムのイエス・キリスト教会を訪ねました。

カラヤン時代に数々の名録音を残したイエス・キリスト教会訪問は、私のようなクラシック音楽ファンにとっては聖地のひとつ。そのアコースティックをこの耳で確かめることができたのはオーディオに興味を持つ者として貴重な体験でした。

ところが、ベルリンの録音会場には、東側にもうひとつ同じ“キリスト教会”があります。

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私にとっては、オトマール・スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)のベートーヴェン交響全集と結びつく録音会場で、東側のシャルプラッテンの録音会場となった教会です。

スウィトナーのベートーヴェンは、日本コロンビアのPCMディジタル録音機を引っさげて欧州遠征を繰り返していた時期、1980年の録音で、ドイツ・シャルプラッテンとの共同制作。外連味のない正統的な渋い演奏は、N響にたびたび客演した指揮振りで評判になっていて、飛びつくように買った「田園」のLPレコードは繰り返し聴いた愛聴盤でした。

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さらに、後年、シャルプラッテン盤を日本コロンビアがリマスタリングしたCDを次々とリリース。その一枚であるマーラーの5番を聴いて、ずいぶんと響きが豊かで残響が長い独特のアコースティックに気がつきました。名前は同じでも、サウンドはずいぶんと違う。どういう場所だろうかと気になっていました。

前回は、西の“イエス・キリスト教会”だけで、東の“キリスト教会”にたどり着けなかったのが心残りになっていました。ドレスデンのルーカス教会を訪ねてみて、ますます、その思いがつのりました。

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正式な名称は「福音主義キリスト教会(“Evangelische Christuskirche”)」で、ベルリンの中心からシュプレー川を東南にさかのぼったカールスホルスト地区にあります。ベルリンの全体図を中心地を南北タテに線を引くと、西のダーレムのイエス・キリスト教会とは、奇しくもちょうど対称の位置にあります。

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地下鉄に乗ってTierpark(ベルリン動物園)駅で下りると、トラムに乗り換えます。トラムの支線が、最近、廃線になってバスに乗り換えるなど例によってハプニングもありましたがスマホのグーグルマップを頼りに何とかたどり着きました。

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煉瓦造りのちょっと古めの渋い建物の教会です。赤煉瓦は確かにCDのジャケットにあったもの。入口がわからずに周囲をうろうろしていたら、中から出てきたおじさんが怪訝な顔をしてこちらを見るので、聞いてみるとドイツ語でぶっきらぼうに表示を指さして、今日は入れないと言います。どうやら、中の見学は週に二日だけ、火曜日と木曜日だけということのようです。言葉も通じず、身も蓋もない対応でした。

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というわけで残念ながら、中に入ってそのアコースティックを確かめることはできませんでした。事前に確かめるべきでしたが、たいがい教会のドアはオープンだという思い込みが災いしました。外観を何度も確かめて、これが“東のキリスト教会”だと心にとどめました。

ちょっと気落ちしましたが、気を取り直して、やはり、壁の東ベルリン側のアンティークショップに向かうことにしました。

バスとトラムを乗り継いで、さらにカールスホルスト駅からSバーンに乗ってアレキサンダープラッツ駅でまたUバーンに乗り換えエバースヴァルダー駅にたどり着きます。ベルリンの公共交通を乗り尽くすようですが、一日乗車券なので乗り放題で気楽な散策です。

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お目当てのアンティークショップは、旧東ドイツ(DDR)時代の雑貨が、広くもない店の中にところ狭しと並べられて、さながらミニDDRミュージアムです。壁に近いので、東西分断時代から、そういう東側の雑貨を求めに西側から日帰りショッピングに来た人々の人気スポットだったそうです。

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ピアニストの田部京子さんがベルリン留学時代の思い出を語っていましたが、当時は西側から東側への往来は可能で、しばしば東ベルリンへ1日かぎりの訪問を楽しんだとか。所持金は25マルクに制限されていたそうでそれを使い切ることが条件だったそうです。東西の貨幣価値格差があってオペラやフルコースの食事、マイセン陶器などの土産など十二分に楽しめたとか。このお店もそういうショッピングのスポットのひとつだったのでしょう。

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この辺りは、かつては下町の繁華街にも近くて若い文化人のたまり場のような街だったそうですが、今は、すっかり金持ちのお洒落なアパート街のようになっています。これも壁の生んだ狭間のようなものかもしれません。この日は、ようやく天候も回復して日差しも気持ちが良かったので、テラスが気持ちよさそうなアジアレストランで昼食を楽しみました。ベトナム料理かと思ったのですが、生春巻きにシューマイ、焼きうどんという国籍不明の料理。

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やはり、今も昔もベルリンは国際都市です。

そこに戦争の破壊とその後の東西分断という歴史の配剤によって、他のドイツの街にはないベルリン独特の化学作用を醸しています。ビールを飲み、うどんをすすりながら、戦争と冷戦の昔に思いをはせて、しばらくぼんやりと通りを眺めていました。

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