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2018年03月30日15:52

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再び イタリアのマーラー (ミラノ・スカラ座をしゃぶり尽くす その6)

ミラノ滞在4日目は日曜日。ヨーロッパ中に寒波が襲ったこの1週間のなかでも最も寒い日となったこの日曜日は、最高気温でも零度を超えないという寒さ。ちょっと頭の中の地中海の国イタリアというイメージが凍り砕かれるような一日となりました。

実は、日曜日はスカラ座はお休み。スカラ座をしゃぶり尽くす私たちの音楽三昧もひと休みか?…というところでしたが、どうしてどうしてそうはどっこい問屋が卸しません。

ミラノの音楽シーンの別の核を占めているのがラ・ヴェルディ・オーディトリウムです。

ジュセッペ・ヴェルディ・オーケストラ交響楽団と同合唱団による「音楽の家」を形成する1400の座席を持つコンサートホールであり、シンフォニーの他にも室内楽やリサイタルなど多彩なイベント公演が行われています。前言を翻すようですが、ミラノの音楽シーンはスカラ座だけではなかったのです。

その場所は、もともとはミラノの中心から外れた下町の一角に20世紀初頭に建てられた大きな映画館でした。その映画館は戦争を生き延びて70年代にはイタリア喜劇やいわゆるスパゲッティ・ウェスタンの上映館として繁栄を続けましたが、80年代にはテレビ番組のスタジオとして延命し、やがて大きな改修が行われ様々な音楽イベントやあるいはフィルム上映のための多目的ホールとして復活します。

一方の、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団は、主にイタリア国内の若手を中心に編成され1993年に創設。1999年オーディトリウムの開場に合わせてリッカルド・シャイーが音楽監督に就任、RAI国立交響楽団に吸収合併される形で消滅したミラノ・イタリア国立放送交響楽団の空白を埋めるオーケストラとしてこのオーディトリウムを根拠地としてシンフォニー・シーンの復興を果たします。このオーディトリウムの所在住所はラルゴ・グルタヴ・マーラー(Largo Gustav Mahler)で、ホールのこけら落としは、マーラーの交響曲第2番『復活』だったとのこと。いまもマーラーの全演目演奏が名物で、《イタリアのマーラー》はここにも確かに息づいています。

ミラノの毎月の最終日曜日の名物といえば、ノミの市。様々な骨董市のテントが軒を並べるナヴィリオ運河は、ここのすぐそばにあります。

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ということで、私たちは下町情緒の残るこの街まで朝から出かけることにしました。ドゥオーモ広場の駅からトラムに乗ってコルソ・サン・ゴタルド通りを南下するとほんの20分ほどのところになります。

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運河沿いの両側の通りにはぎっしりと路上テントの店が並び、国内外から集まった観光客で大賑わいですが、さすがにこの日は路上の寒さが身に染みます。昼頃には早々に店をたたんでしまう姿が目につきました。

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ホールは細長の台形で、内部にはびっしりと木製内壁で埋め尽くされていて、ステージ正面のパネルが目にとまります。内部レイアウトもよくわからずに私たちが求めたチケットの席は後方で2階席の屋根の下。ホールの響きはだいぶ削がれてしまうので、このホールの本来の実力はわかりませんが、やはり多目的ホールのややデッドよりのアコースティックだと感じます。

演目は、オール・マーラー。

先ずは「さすらう若人の歌」。

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指揮者は、昨年、このオーケストラの音楽監督に就任したというクラウス・ペーター・フロールというライプツィヒ生まれの指揮者。

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バリトンは、ヨハネス・ヘルデというやはりドイツ人歌手で、シュトゥットガルトで教育を受け、現在はデンマークの歌劇場で活躍しているという若手歌手。

このドイツ人二人がリードし歌い上げるマーラーはなかなか堅実なもので、オーケストラもよく彩り豊かにソロが次から次へとソリストに問いかけ、応えるように歌いかけます。全体としては、どこか何が言いたいのか少し言語不明瞭的な印象がありますが、個々の音楽性がしっかりしていてなかなか色艶のある若々しい魅力も感じさせてくれます。

後半は、5番のシンフォニー。

面白いもので、スカラ座管弦楽団のマーラーと共通の印象があります。中軸となる「歌」を失うと、とたんにアンサンブルに統一感がなくなってしまうのです。歌曲の前半と純器楽の交響曲という対比では、ほんとうに対照的なマーラー。同じ雑多な品々が並ぶノミの市という感覚があって面白いし、第4楽章のアダージェットなどはさすが弦楽器の国ともいうべきストリング・アンサンブルの美感がありました。けれども全体としては残念ながら少なからず退屈した…というのが正直なところ。メンバーの若さ…ということに限らぬ《何か》がここにはあるようです。それが、再び「イタリアのマーラー」ということの実相なのでしょうが、それにしてもイタリアでのマーラー人気というのは、それはそれで厳然たる事実なのだと実感したコンサートでした。




ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団
ミラノ ラ・ヴェルディ・オーディトリウム 16:00

ヨハネス・ヘルデ(バリトン)
クラウス・ペーター・フロール

マーラー:「さすらう若人の歌」
     交響曲第5番 嬰ハ短調
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