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2017年01月30日16:49

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ウィーン芸術週間 メータの「復活」(NHK ベストオブクラシック)

先週、NHKFMで昨年のウィーン芸術週間の録音が放送され、その最初がズービン・メータ指揮ウィーン・フィルによるマーラーの「復活」でした。遅ればせながら、それをエアチェックしたものを聴いてみました。

フォト

実は、この演奏は昨年のウィーン訪問時に現地で聴いたもの。それはもう素晴らしいコンサート体験でした。

メータの近年の円熟ぶりは素晴らしく、まさに巨匠と呼ぶにふさわしい。ウィーン・フィルとの相性も抜群で、いまウィーン・フィルを聴くにはこの指揮者との組み合わせが望みうるなかで最高のもののひとつであることは間違いありません。かつてのメータは、デッカ/カラヤン路線のいささかあざとい音の造作の亜流というイメージでその人気のわりには内容的には精細を欠き私も敬遠気味でした。最後に実演を聴いたのもずっと昔のことで、シカゴのリリックオペラでの「ローエングリン」。たいそう立派な音でしたが、しごく退屈したという記憶があります。

そういう音響のマッシブな厚みや輝きはそのままに、悠久の時の流れを感じさせるような悠然たる棒さばき。決して大げさな身振りはないのにムジークフェラインの響きの豊かな空間を揺るがすように鳴り響き、しかも、決して飽和することがないのは驚異的でした。長めの響きをよく心得たテンポとフレージングで、繊細な弱音の細部からピークの炸裂まで精妙かつダイナミックなまさに大宇宙とも言うべき世界でした。

実際、メータの指揮振りは、悠然たる音響世界にもかかわらずテンポは中庸で、なおかつ細部は実によく活発に動きます。その小気味よいほどのテンポ感と全体的な音楽時間の構成力はさすがに巨匠の名にふさわしいものです。第一楽章で比較してみると、晩年のアバド(2003年 ルツェルン祝祭管)とも小澤(1986年 ボストン響、2000年サイトウ・キネン)とほとんど演奏時間が変わりません。21世紀型のマーラー像を新たに呈示したかのようなパーヴォ・ヤルヴィ(2013年 フランクフルト放送響)のほうが実は演奏時間がぐっと長くなっています。(参考までに各演奏の演奏時間詳細を文末に比較しています。)

音源の音質は、必ずしも最良とは言い難く中の上といったところでしょうか。

私が聴いたのは正面中央2階バルコニー席で、ムジークフェラインという宇宙に漂うかのような浮遊感がありましたが、この録音は1階席のかなり前方で聴くイメージで捉えています。直接音が強く、臨場感豊か。管楽器群はステージの傾斜段を思わせるような高さがあって見上げるような感覚を覚えます。対照的に低音の大音量は地響きをたてるかのようで、平土間の1階席で聴いた家内の証言にも一致します。

残念なのは、音が少々粗っぽいのと、状態が悪くてシーというヒスノイズがあってSNがあまりよくありません。そのためにムジークフェラインの美しい残響や空気感が感じ取りにくいのです。クールマンの深々とした歌唱も感じにくい。

実際に聴いたコンサートのライブ音源を手元に持てるというのは無上の喜びですが、残念ながらあの素晴らしい音響体験を彷彿とさせるようなクォリティではありません。

この1ヶ月あまり、この番組(“ベスト・オブ・クラシック”)を聴いたりエアチェックをプレイバックした限りでは、1月11日に放送されたイブラギモヴァとティベルギアンのデュオによるモーツァルトが秀逸で、ヴァイオリンとピアノの音色の鮮度も高く王子ホールのリアルな空間さえ感じさせるものでした。大編成のオーケストラのライブ録音は難しいということもありますが、録音の出来不出来というものをつくづくと感じます。






参考
<演奏時間比較>

ズービン・メータ
ウィーン・フィル
ウィーン芸術週間(2016/5/8)
ヘン・ライス(ソプラノ)、エリーザベト・クールマン(アルト)

�機�21'06
�供�9'40
�掘�10'44
�検�4'27
�后�33'54



フォト
クラウディオ・アバド
ルツェルン祝祭管弦楽団(2003)
エテーリ・グヴァザーヴァ(ソプラノ)、アンナ・ラーソン(コントラアルト)

�機�20'45
�供�9'23
�掘�11'22
�検�5'04
�后�34'41


フォト
小澤征爾
ボストン交響曲団(1986)
キリテ・カナワ(ソプラノ)、マリリン・ホーン(メゾソプラノ)

�機�21'01
�供�10'12
�掘�10'15
�検�4'54
�后�33'27


フォト
小澤征爾
サイトウ・キネン・オーケストラ(2000)
菅 英三子(ソプラノ)、ナタリー・シュトゥッツマン(コントラアルト)

�機�20'54
�供�10'05
�掘�10'21
�検�4'50
�后�34'34


フォト
パーヴォ・ヤルヴィ
フランクフルト放送交響楽団(2010)
ナタリー・デセイ(ソプラノ)、アリス・クーテ(メゾソプラノ)

�機�23'17
�供�10'07
�掘�10'50
�検�5'34
�后�35'23
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