私が今年買ったものから選ぶ“マイ・ベスト”CDです。今年はやや不作だったかもしれません。昨年に増して「何を今さら」感がありますが、あくまでも私が今年買ったもののご紹介ということでお許しください。
1.アンコール! ヴァイオリン愛奏曲集
もともと私は五嶋みどりのファンのつもりですし、尊敬してやまないヴァイオリニストのひとりです。それでもこのアルバムは、いわゆるアンコールピースを集めた名曲集ということで軽く見ていました。ところがKYLYNさんのお宅でエルガー「愛の挨拶」を聴かせていただいてすっかり痺れてしまいました。これは数あるアンコールピース・アルバムのなかでも傑作のひとつだと思いました。おそらくチョン・キョンファの“スーヴェニール”以来の名盤だと思います。
名盤であり五嶋みどりのCDのなかでも抜きん出た存在のロングセラーだけに、国内・輸入CD、ブルースペックやSACDといくつかのメディアによって再発が重ねられていますが、SACD盤が最も音がよいと思いました。これに次ぐのが最新のブルースペックCDです。
2.FEATHERS Janette Lindsrom & Steve Dobrogosz
おそらく今年前半にもっとも活躍したソフトだと思います。そもそもは、昨年のHarubaruさんのマラソン・オフ会での出会いでした。その時のそねさんの鋭いコメントにちょっとどっきり。ボーカルとピアノのデュオというシンプルな構成で、ボーカルの発声や息づかい、ピアノの繊細な高域の音色などが、ストレートにシステムの細かな欠点を露わにするとことがあるので、ウェルフロート導入以来、一点アースにたどり着くまでの一年がかりの過程で試聴頻度が最も高いソフトとなりました。HDCDなのでリッピングすると24bitになるという点でも大いに重宝しました。
さて…
今年は、ウィーンでオペラ三昧を楽しんだこともあって、その予習用にオペラのCDを買い込みました。今まではオペラを聴き通すことなんて滅多にないからと、何枚組にもなるオペラのCDやDVDを買うことはほとんどありませんでした。それだけに、以下は、「何を今さら」度が満開です(笑)。
3.プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」 カラヤン
このCDには心底ぶっ飛びました。カラヤンの残したオペラのなかでも、…というよりカラヤンの残した全録音のなかでも指折りの名盤・名録音だと確信します。デジタルだからこそのアナログ超えの豪華絢爛たるサウンド。何よりプラシッド・ドミンゴの輝かしい歌唱が素晴らしい。
こういう録音をオーディオで鑑賞することは、ある意味で生演奏を超える体験、あるいはリアリティとは別世界のオーディオならではの興奮かもしれません。ヴィンテージだろうが超高価な爆音ハイエンドだろうが「真の立体音場」だろうが、こういう音源を壮大に鳴らせなければ、およそオーディオとしての意味がない…とさえ思います。
幸い、ウィーン国立歌劇場で聴いたドゥダメル指揮の演奏は図抜けて素晴らしい体験で、大興奮でしたけれども。
なお、オリジナル輸入盤(西独製)がお薦めで、たとえ中古であってもこれを求めるべし。特に最近のハイビット・リマスター盤はひどくて、もう別物というしかありません。
4.ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」 バレンボイム
楽聖ベートーヴェン唯一のオペラだけに古来幾多の名演・名盤が目白押し。実は、予習に当たってはズボラして図書館から借りてきました。ベームとかがお目当てだったのですがこのCDしかなかったので、正直言ってバレンボイムにはあまり期待していなかったのです。いわば《仕方なく》聴いたCDですが、聴いてみると素晴らしい演奏。緊張感が漲る力強い音楽で、しかも俗っぽい勧善懲悪に堕することなく知的で鮮烈なドラマに仕上がっています。解説によるとシカゴ響による新・オーケストラホールのこけら落としのために企画された演奏会形式の渾身の新プロダクションがもとになっているとか。
ここでもプラシッド・ドミンゴの存在抜きには語れません。本来の輝かしさに円熟味を加えた迫真の歌唱を披露。そして、ドミンゴに負けず劣らず素晴らしいのが ヴァルトラウト・マイヤーの理知的で精緻な情感描写で歌い上げるレオノーレ。
序曲としては最近の慣例通り「レオノーレ第2番」が使われ、最後に他の「レオノーレ序曲」2曲と「フィデリオ序曲」もまとめて録音されているのですが、これらもバレンボイムの気合い十分、ベルリン国立歌劇場管の充実したドイツ的サウンドが素晴らしい。ウィーンでの演奏があまりにつまらなかったので、帰国後にたまらずこのCDを買い求めたのでした。
5.モーツァルト:歌劇「魔笛」 エリオット・ガーディナー
そもそもは、八ヶ岳高原音楽堂でのダイナミックオーディオの試聴会。立体的な拡がりとボーカルのリアルな力感には感嘆させられました。
その直後に訪ねたhijiyanさんのお宅でもこれがリファレンスとしてかかりました。オリジナル楽器によるいわゆるピリオド様式による演奏なのですが、キレのあるサウンドと溌剌とした音楽が湧き上がり聴いていてとても斬新で、わくわくしてしまいます。これで、たちまちにして購入を決意しました。
歌手陣もガーディナー手兵の古楽系の人々なのでこれという名の通った大物がいるわけではありませんが、いずれも生々しい存在感としっかりとした技巧に支えられたピリオドスタイルのリアリティと躍動感にあふれています。
今年のマイ・オーディオは、ウェルフロートのインパクトが余りにも大きくて迷走を重ねてしまいました。かてて加えて昨年末から2度にわたったドイツやハンガリー、オーストリーの本場の音楽に生に触れていささか虚脱状態ということで、音楽ソフトにはいささか不感症気味になってしまいました。今はマイオーディオは絶好調。むしろ、古いLPやCDを引っ張り出してきてはこんなによい音だったのかと感嘆し、新たな音楽を発見することしきりです。来年は音楽鑑賞にどっぷり浸かってしまいそうです。
ログインしてコメントを確認・投稿する