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2016年12月27日12:33

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Aion邸でDIVAを聴く

Aionさんが、Apogee/DIVAを導入し、いよいよお披露目となったと聞いて、さっそく聴いて参りました。

Appogee Accoustics社は、1981年に米国ボストンで創業。オール・リボン型3ウェイの巨大な平面スピーカーDIVAは、1980年代末に売り出されました。先進的な技術のユニークなスピーカーであるだけにいわゆるWEやJBLといったヴィンテージとも違う、孤高の存在ともいうべき伝説の超ハイエンドスピーカー。

もちろん今は生産していません。Aionさんは中古の良品を手に入れて、米国の職人にメンテナンスを依頼し、フィルムも新調し張り直しています。そのフィルム素材を製造しているのはオーストラリアのみということで、そこから米国に送り張り替え作業を行うというまさに地球的プロジェクト。支えるフレームも美麗なピアノブラック仕上げに塗装するという念の入れようです。

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高級マンションの広々としたリビングスペースに足を踏み入れると、私の身長よりも背が高いDIVAが美しくも堂々とそそり立っています。それはさながらグランドハープのようでもあり、漆黒のフレームはフルグランドピアノをも連想させます。重量は1台100キロ近くあるそうです。

3Ω前後と極端にインピーダンスが低いので、これをドライブするのはかなり大変なのだそうです。もともとはネットワーク方式でドライブするのが基本だそうですが、Apogee社純正のアナログ・デバイダーで、まずウーファーとミッドハイの2ウェイに分割し、2台のステレオアンプでネットワークをドライブする方式もオプションとして用意されています。

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外付の純正ネットワークは巨大なものですが、Aionさんは2ウェイマルチ専用に改造されたネットワークで、ゴルトムントのアンプ2台を新たにDIVAのために用意して、これで鳴らしています。

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さっそく聴かせていただきました。

平面スピーカーというと、独特の音場感と奥行きのある立体音像を想像していましたが、DIVAを聴くとそういう先入観がどこへやら雲散霧消。よい意味でコンベンショナルなスピーカーと少しも変わらないバランスの取れた押し出しのよいパワフルなサウンドです。

なによりそのスケールの大きさに圧倒されます。平行配置のコンベンショナルスピーカーはうまく焦点が合うと、壁一面が鳴っているように響きわたりますが、DIVAは響きで拡がりやスケール感を出すというのではなく、壁一面が音のスクリーンになってしまったかのように壮大な絵を描き出しているという感覚。まるで巨大なキャンバスに描かれたレンブラントとかルーベンスとかの大絵巻を見ているような豪華な気分です。

最初に聴かせていただいたのは、シューマンの4本のホルンとのコンツェルトシュテュック。オーケストラの広大な帯域と音色の多彩さを見事に鮮明に描ききっています。なかなかこれだけ大きなシステムでこれだけのバランスと描写力で鳴らしている装置は聴いたことがありません。コントラバスの力強いボーイングとふわっと押し出してくる音圧は他ではなかなか体験できません。DIVAの巨大な面積のウーファーが押し出す低音はもっと大げさで誇張されたものになってしまうのではと思っていたのですが、とても自然なバランス。そのことは後で聴かせていただいたピアソラでのギターでも痛感しました。

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Aionさんのお好きな、ルネッサンスやバロック期の音楽でも同じ。特にボーカルの実在感や滑らかさは格別。それでいてリュートやチェンバロのような撥弦楽器の細やかでパルシブな音の触感も見事。ホプキンソン・スミスの深みがありリュートらしい内省と哲学的な高貴さにうっとり。大きめの音量でしたが、決してわざとらしいけばけばしさが無く、聴いていると気持が落ち着き、いくら聴いていても飽きがきません。

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もっと驚いたのは、アナログの音。

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シノポリのシューマンは、実に雄大でたゆたうような自然のうねりがウィーン・フィルの優美なハーモニーで厚く塗り込められた油絵絵画のように重厚に響きます。豊かであって少しも細身になったり神経質な刺がありません。アナログ再生のよい意味でのソフトフォーカスな音の階調が実に大きな音楽を開放的に聴かせるところがあって、いつの間にかオーディオを忘れて音楽に没頭していました。そのことは、これに続いたカラヤンのアルバン・ベルクでもピアソラでも同じ。ジャンルを超えて音楽に身を包まれる思いです。

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アナログが得意ということは、裏返せばデジタルは苦手ということになります。それは、やはり、時代ということでしょうか。

リボン型というと高精細で精密なサウンドを予想していましたがそうでもないようです。むしろデジタル音源の精密さは必ずしも得意ではないようです。どうしてそうなのかを考えてみると、ひとつには発音ユニットの巨大さが影響しているように思えてなりません。何しろ、ツィターもミッドも3ウェイのユニットすべてが私の身長を超えた高さがあります。リスポジからすれば、正面と上端とはかなりの落差、角度があってリスポジまでの到達距離の違いによる位相差が生じてしまいます。

1KHz前後にどうしても音の濁り、渋みを感じてしまいます。実は最初のシューマンのホルンの音色にも微かな違和感があったのです。その原因を最初は、クロスオーバー付近のつながりの悪さだと思っていました。下のクロスオーバーは800Hzだそうです。ボトムまで伸びたウーファーとしては驚異的なワイドレンジ。それだけにクロスより上の帯域への影響がかなりあるのだと思えたからです。しかし、どうもそれだけではないようです。リスポジのソファの後ろに立ってみると、音の精度が上がり金管楽器群や女性ボーカルなどのいがらっぽさも少しだけ和らぎます。やはり、巨人ユニットの上方との位相差干渉(あるいは天井反射の影響)があるのではないでしょうか。ですからユニットの中央高さで聴くのがよいようです。そしてリスポジをできるだけ後に下げるのがよいようです。

もうひとつ気になるのは、各ユニットが横方向に並んでいること。ステレオ再生ではユニットは縦軸に中心軸を合わせて並べるのが基本原理で、そうでないと立体定位の精確さが損なわれてしまいます。もちろんセンターのリスポジで聴けば音像は正確に定位します。そういう意味でスピーカーセッティングはほとんど完璧でした。この重厚長大なスピーカーをここまで手なずけるのは大変だったろうと思いました。

後で考えたことですが、この巨大なスピーカーを横にして使ってみてはどうだろうかと思ってしまいました。ユニットは縦並びになりますし、高さによる位相差の干渉も解消します。横にして支えるには立派な専用スタンドが必要ですから、妄想みたいな話しに過ぎません。それでもこれだけ幅に余裕がある広々としたリビングならあながち不可能ではなさそうですし、天井高さの宿命からも解放されます。もちろんリスポジを高くして後に下げるほうが現実的試行であることは変わりませんが。

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妄想はさておき、素晴らしいオーディオ体験でした。最後に聴かせていただいたザンデルリンクのブラームス3番は、本当に充実した響きと堂々たるドイツ正統の演奏で、1年前に現地で聴いたドレスデン歌劇場の管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)のドイツ深奥の響きそのものでした。

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いただいたワインはどれもおいしくて、辛口の軽いブルゴーニュ(マコン?)にはほんのりとした蜜が舌に残って、ナッツや生ハム、マリネ―したポテトとよく合います。赤ワインのほうはラベルを見ると“ゴラン高原”とあります。何とイスラエルのワインだそうです。まろやかな熟成味のあるカベルネで、チーズや鹿肉(?)のつまみが進みます。

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懇親会は、ご一緒したGRFさんと三人でご近所の居酒屋さん。とってもお洒落な小料理屋さんで、赤羽のがさつな世界とはまったく別階級(笑)だと思いました。「花垣」もいただきましたよ〜!

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Aionさん、素敵なクリスマスイブのひとときをありがとうございました。

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