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2016年10月18日10:00

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クィーン・マザーの館 (スコットランド旅行記 その11)

私たちが泊まったウィックの街は、ほんとうに北の果て。イギリス本島の最北端に位置しています。その周辺を散策してみました。

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ウィックの街からほど近いところにあるのが、最北端との標識があるダネット・ヘッド。

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灯台のかなたに見えるのはオークニー諸島。そこはノルウェーとの覇権を争った北の要害であり、両大戦ではイギリスの本国艦隊の基地ともなったところ。蒸留所の場所としては最北でハイラインドパークがよく知られます。

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そこから車で十数分ほどのところには、そのオークニー諸島へのフェリーが発着するジョン・オ・グローツの村がありますが、ここの岬はイギリス本島の最東端となります。ちなみに最西端となるのがランズ・エンド。まさに地の果てというわけです。ランズ・エンドは、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の舞台ともなったコーンウォール地方になりますが、こちらも北の果てとして十分に最果ての雰囲気があります。

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そのジョン・オ・グローツからほど近いところにあるダンカスビー岬。風が渺々と吹きすさぶ牧草地の果てに突然のように断崖と巨大な奇岩群が見えてきます。まさにこここそが、「トリスタン」の第三幕、不条理な恋に身を破滅させ夕闇の地の果てで朽ち果てかけるトリスタンの耳に遠くから聞こえてくる無常の嘆きのような牧夫の吹くシャルメライ…という風景にふさわしい。まさに絶海の果て。

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そうしたスコットランド最北にあるのが王太后エリザベスの隠棲の居城キャッスル・オブ・メイ。

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王太后エリザベスは、同名の実娘である現女王と名前が紛らわしいので、クィーン・マザーと愛称されています。英国民の篤い信頼・敬愛を受けたひとで、いまだに高いその人気のほどは、先年公開された映画「英国王のスピーチ」で描かれたように、妻としてひたむきに王を支えた気品と気骨ある姿に窺い知れると思います。

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そのクィーン・マザーは、夫であるジョージ6世が肺がんで崩御すると、その死を嘆き悲しみスコットランドに隠棲してしまいます。首相チャーチルの説得で隠棲生活をやめ、公務に復帰しその後も活躍を続け英国王室を支えることとなりますが、このキャッスル・オブ・メイはその後も、毎年、8月と10月には必ず訪れて公務を離れて静かな生活を送る場所となったのです。まさにクィーン・マザーが終生愛し続けた隠棲の居城なのです。

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室内は、写真を撮ることが許されませんでしたが、公務とは無縁だったせいか思いのほか質実で、クィーン・マザーが愛した調度やピアノ、書籍、縫いぐるみ、などがそのままに保存されていて、国民の根強い人気を得たその人柄がよく伝わってきます。

スカイ島の荒々しいまでの風景とはまた違ったハイランド北端の風物もとても印象に残るものでした。

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