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2016年03月12日12:06

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「音の高さ感」(「camomile Best Audio2」を聴いてみた)

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かつてオーディオファンの間で話題となった藤田恵美の洋楽カヴァーアルバムの高音質SACD「camomile Best Audio」)。その第二弾が最近リリースされました。

そのうたい文句が“音のプラネタリウム”。

「音の高さ感」を自由自在にコントロールすることに成功し、「2chステレオ再生でも、音源の高さを自由自在に操り、さまざまな楽器を配置すること」に成功したという。さっそく買い求めて聴いてみました。

2chステレオに音像の上下高さが記録されているのか?ということには様々な議論があります。2chステレオでも上下高さは感じるという意見は多いのですが、一方では2chステレオも5.1chサラウンドも2次元音場であり高さ情報が欠落している不完全な音源だとばっさりと切り捨てるご意見もあります。そこにさっそうと登場した“音のプラネタリウム”というわけです。

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プロデューサーの金井隆(かないまる)氏から、エンジニアの阿部哲也氏に与えられた使命は、『ステレオで高さのあるミックス』。過去10年以上に渡る録音音源はマルチトラックのアナログマスターです。これをリミックスする段階でどうやって「音の高さ感」をつけるのでしょうか。

その秘密は阿部さんが開発した「サラウンドマイクアレイ」にあります。

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氏によれば、人間の耳は直接音で方向を特定し、反射音の到達時間と方向を脳が解析し、距離、高さ、果てはその場所の構造、広さなどを把握する能力を持つという。実際に、これで収録した臨場感あふれるサラウンド音源を『2chのステレオに落とし込むと、サラウンドよりは若干狭いが、2本のスピーカから完全に遊離し、壁一面から聴こえてくる』というのです。

今回はあくまでもリミックスなので新に録音するわけではありません。そこで「サラウンドマイクアレイ」で、このアルバムにふさわしい高さを感じるリバーブを作り上げたというわけだ。会場は神奈川県相模市にある藤野芸術の家。ホールの高いところにスピーカを置き、ボーカルトラックを再生してホールの天井で響くようにして反射音を録音し、リバーブを制作したという。


聴いてみると…

まったく音の高さが出ません(笑)。

強いて言えば、通常の高さに定位する中央ボーカル音像の少し上の方に背後霊とでも言うような響きのゴーストを感じます。ただそれだけ。音像は高く上がっていきません。

このソフトはhijiyan邸訪問時にもかけていただきました。hijiyan邸は私のような完全な平行法ではなくやや内振りでかなり部屋幅いっぱいというスピーカーセッティング。私の感覚ではセンターボーカルなどよく高さが出ますし、響きの豊かなクラシック系のソフトでは上方からの響きも含めて部屋いっぱいの素晴らしい3D音場を感じさせてくれます。けれどもこのソフトで「高さ感」は感じません。通常の音像定位に過ぎないということでふたりの意見は一致しました。

その翌日、Kさんのお宅でもかけていただきました。

その方は、リスニングルームの天井高さを活かした拡がりのある響きを目指してルームチューニングに余念がなく、最近はウェルフロートボード導入など振動対策に腐心されおられてスピーカー配置も完全に平行法になりました。

そういうシステムで、このソフトをかけてご一緒だったEさんに聴いていただくと、やっぱり「高さ感」はありません。ごく普通のボーカルです。その場にいた三人ともその感想は変わりません。

ところが…

Eさんに、ずっと前にいっていただくようお願いしました。かなり極端なニアフィールド的なリスポジです。すると「おお…」との声が(笑)。前夜すでに私も実体験済みでしたが、スピーカーにべたに近づくことで、このリミックス本来の「高さ感」が出てくるのです。近づくにつれてボーカルが上へ上へと上がっていく感覚は不思議です。

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このミックスでの高さ感は、いわゆる正三角形のスピーカーセッティングが前提となっているのです。60度の内振りで、正三角形の頂点という厳格なリスポジで聴くとねらい通りの“音のプラネタリウム”が出現します。5.1chでも、かないまる氏がHPで提唱している厳格なスピーカーセッティングに従う必要があるのでしょう。平行法や中途半端な内振りでは「高さ感」は出ません。ずっとスピーカーに近づくことでしか「高さ感」を感じることはないのです。

クラシック系の録音は、高い位置にワンポイント的に設置された広指向性の主マイクやアンヴィエンスマイクによってふんだんに反響音の立体情報を取り込んでいるので、左右両スピーカーからの音が正しく空間合成されれば収録されているリアルな立体音響が実現します。それは何もサラウンドでなくとも高さのある立体感は十分にあるのです。

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高さ感があるかどうかは、録音次第なのです。もともと立体感のない近接モノーラルマイク収録のボーカルに無理やりリバーブで人為的に高さ感のイリュージョンを作り上げることには限界があるでしょう。それがスピーカーセッティングやリスポジの制約となって出て来てしまうのだと思いました。

ちなみに、ヘッドホン(イヤホン)再生でも聴いてみました。高さ感は全く出ませんでした。
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