コンセルトヘボウの第三弾は、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲演奏会。
マチネのコンサートがはねた後は、戦後に新しく開発された東部湾岸再開発地を散策してみました。
港湾地区の埠頭や倉庫街を再開発したもので、モダンなデザインの高級アパート群がならび新しいライフスタイルを求めるアムステルダムっ子のあこがれの住宅地だそうです。
プレシアターの食事は、コンセルトヘボウ近くのレストラン。隣の席のご夫婦がバケツ一杯のムール貝の酒蒸しをおいしそうに食べているので、「それはどうですか?」と話しかけたら、オランダ名物の特別メニューだそうで「最高!」とか(笑)。で、さっそく注文。これは大当たり!おいしかった。
不味いので敬遠していたハイネケンですが、こうやって地元の生ビールを飲んでみるとなかなかいけます。
コンサートは、オランダで人気のヴァイオリニスト、リザ・フェルシュトマンによるバッハ無伴奏全曲演奏。
会場は、コンセルトヘボウの小ホール。大ホールのステージ後方にある楕円形のホワイエのちょうど下にある小ホール。入口は、改修増築されたロビー側にあります。このロビーの壁は煉瓦づくりですなわち改修前は外壁になっていたわけです。つまり、以前は開場前は寒風吹きすさぶ路上で待つということになっていたのでしょう。アムステルダムの寒さは東京どころではないのでさぞや不都合だったでしょう。
なかに入ってみると、とても美しいホール。
楕円形そのもので、シューボックスの大ホールとはまったく趣が違います。響きは大ホールよりはデッドな方向ですが、不思議なことに豊かで柔らかい響きと浸透度の高い音とが両立している点ではほとんど共通です。
わずかばかりある二階席もよさそうです。ここに上がる階段は片側しかありません。反対側は直接外壁になっていた証左です。
フェルシュトマンは、美形のヴァイオリニストで遠目にもすらりと背が高い。
そのバッハは、非常に集中度の高いモダンなバッハ。もちろん最近の古楽奏法の探求も十分に取り入れたもので20世紀半ばの巨匠たちのバッハとは違いますが、これほど堂々たるモダンなバッハは久しぶりに聴きます。音量が大きく真っ直ぐな美音。手足がとても長いひとなので力強く伸びのある弓遣いから繰り出されるフレージングが素晴らしい。スケートに喩えれば、華麗で躍動的なフィギュアスケートというよりは、大きく手足を振ってぐいぐいと前へ進むスピードスケート。なるほどオランダはスピードスケートの大国でした。
演奏は、ソナタとパルティータとを組み合わせて順番通り1番から3番まで2回の休憩をはさんで進められていきます。ちょうど中ほどにあたるパルティータ第2番の最後にあたる、あの「シャコンヌ」が最大のヤマ場でした。この曲だけでも大変なスタミナが必要ですが、何しろ全曲を一晩で演奏しますから、途中で少し息が切れるような場面もありましたが最後は早くもスタンディングオベーションの大喝采。
2回目の休憩を終えた後の第3番のソナタではさすがに疲れが見えましたが、パルティータでは立ち直り最後まで見事に弾ききりました。7時半と早めの開演でしたが、終演はほぼ11時。スタミナが必要なのは聴衆も同じです。2回目の休憩でかなりの客が帰ってしまいましたが、やはり最後は大いに拍手喝采で盛り上がりました。
サインをもらうつもりでわざわざ会場でCDも買い求めたのですが、旅先ということもあってこちらもへとへとに疲れていてパスしてしまいました。急激な円安もあって、結局、日本で買ったほうが安かったようです。
帰国後、このCDを聴いてみましたが、録音もよくてフェルシュトマンの少し太めの力強い音色もそのままでとても生々しい。ビーバーの気品、バルトークの緊迫感、ベリオの先鋭で精緻極まりない詠唱、そしてバッハの壮大なシャコンヌと、オール「B」の無伴奏。オランダ気鋭のインディ・レーベル、「チャレンジ・クラシック」の録音。このCDはオススメです。
ついでながらこちらのCDは、親子共演。リザの父上ドミトリィはチェロの名手。先日の水戸での「新ダヴィッド同盟」の公演にコダーイのヴァイオリンとチェロの二重奏曲があったので予習用として買い求めたのですが、これが偶然、リザ・フェルシュトマンのCDだったというわけです。
リザ・フェルシュトマンは、マイミクのGRFさんもコンセルトヘボウで聴いておられたのです。3年前のブログに取り上げておられます。これも帰国後に知りました。
↓
http://tannoy.exblog.jp/14152850/
何とも不思議な縁に結ばれていたものです。これからはリザ・フェルシュトマンに俄然注目です。
リザ・フェルシュトマン バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ全曲演奏
2014年11月29日(土) 19:30
アムステルダム・コンセルトヘボウ 小ホール
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