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2025年01月26日18:28

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黄金の林檎(イル・ポモドーロ with フランチェスコ・コルティ)

楽しみにしていた公演なのですが、初めはちょっぴりだまされたような気分でした。

それは、イタリアに本拠地を置くバロック室内管弦楽団という触れ込みだったから。それなのにステージには、たった5人。アンサンブルというよりは弦楽5重奏団。プログラムもドイツ一色。

メンバーとなると、プログラム等には何の紹介もありませんが、イル・ポモドーロに所属しているのは、チェロとヴィオローネのお二人と指揮・チェンバロのコルティさんだけ。ヴァイオリンのお二人は、実はコンチェルト・ケルンのコンサートマスター。これで、どれだけ《イル・ポモドーロ》の公演と言えるのかしら…?

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ところが…

最初のバッハの協奏曲こそ、ちょっと音量が小さめという感覚があったのですが、次第に耳に慣れてきたのか、さほど気にならなくなります。

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まず、魅了されたのは、コルティさんのチェンバロ。ジャーマンタイプの二段鍵盤ですが、アーティキュレーションが明瞭で響きの納まりがとてもよい。饒舌というのか能弁でそれでいて耳に心地よい。残念ながらクレジットがありませんでしたが、とてもよい楽器だと思いました。

アンサンブルの音程が精確ですがすがしい。演奏前のステージ上のチューニングはびっくりするほど念入りで時間をかける。最初は低音楽器、それが整ってから高音側と、フルオーケストラのような二段構え。それだけに、ユニゾンにせよトゥッティにせよ、音の芯もしっかりしていてハーモニーも艶やかでくすまない。

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ゲストの前田りり子さんが登場して、なお、いっそう音楽の喜悦が高まります。前田さんはBCJやオーケストラ・リベラ・クラシカのメンバーとして顔なじみですが、こうやったソリストとしてその音色にじっくりと耳を傾けるのは初めて。澄んだ、引き締まった、それでいてトラヴェルソならではの暖かみがあります。

アンサンブルのほうも、カール・フィリーップ・エマニエルだけに、ウィーン古典派に通じていく近代的自我の情感あふれるロマンチックさで盛り上がっていきます。前田さんのゲストというのは、なかなか粋なキャスティング。それが最後のブランデンブルクのお楽しみということになります。

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後半の、ゲオルク・ベンダのチェンバロ協奏曲が素晴らしかった。

嵐のように突き進むアレグロにはグルーヴ感覚満載で、この曲がカール・フィリーップ・エマニエルのものだと取り違えられたというのも頷けます。むしろ、それよりも徹底していて、嵐のような衝動にぐんぐんと突き進んでいく感覚は極上でした。

新鮮さということでは、最後のブランデンブルクも負けていません。

かえってソリストだけの小編成ということで、バロック協奏曲の構成が明快に浮かび上がってきます。特にチェンバロは、通奏低音から抜け出してトラヴェルソとヴァイオリンとともにコンチェルティーノを形成するということがとてもはっきりする。さながらトリプルコンチェルト。弦楽器4人のリピエーノと比重バランスがとてもよい。アンサンブルというよりは、極上の古楽器奏者オールスターの親密な饗宴という贅沢。

(ついでながらプログラム解説は、先日の「明日への扉」出演のリコーダー奏者・井上玲さん。さすが東大卒の音楽史家。)

サンスーシー宮殿の大王のコンサートにでもワープしたような極上の夜でした。


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イル・ポモドーロ with フランチェスコ・コルティ
2025年1月21日(火)19:00
東京・四ッ谷 紀尾井ホール
(2階BL1列25番)

イル・ポモドーロ
 エフゲニー・スヴィリドフ(violin)
 アンナ・ドミトリエワ(violin)
 森田芳子(viola)
 クリスティーナ・ヴィドーニ(cello)
 リッカルド・コエラーティ (violone)
フランチェスコ・コルティ(指揮、チェンバロ)
【ゲスト】前田りり子(フラウト・トラヴェルソ)


J.S. バッハ:チェンバロ協奏曲第1番ニ短調 BWV1052
C.P.E. バッハ:フルート協奏曲ニ長調 Wq.13

ゲオルク(イジー・アントニン)・ベンダ:チェンバロ協奏曲ヘ短調
J.S. バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV1050

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