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2024年11月16日21:13

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「往年の真空管アンプ大研究・復刻版」(別冊ステレオサウンド)

2008年に発刊されたものの復刻版。もともとも、「ステレオサウンド」誌や「管球王国」誌などに掲載された記事からの抜粋だから、復刻の復刻。記事内容も《往年の…》というわけだから、骨董趣味もよいとこと言われそうだが、ヴィンテージオーディオが一定の位置づけを得ている現代の視点からみても、なかなか濃い中身で面白かった。

新忠篤、石井伸一郎、井上卓也、上杉佳郎、長島達夫、山中敬三といったそうそうたるオーディオ評論家・アンプビルダーの面々が寄稿し、あるいは鼎談を展開しているのはなかなかの読み物になっています。

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特に、マッキントッシュやマランツの歴代管球アンプの実働品を集めての聞き比べは、なかなかに読み応えがあります。自身がアンプ製作者だけに、回路の評価やその実装、コンストラクションの細部に及ぶ観察評価、パーツの目利きなど、ほんとうに中味が濃い。

素人には難しい記述も多く、読めば読むほどに味があるというところだろうが、パラパラとめくり読みだけでも楽しい。

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ざっと目を通しただけだけど、印象に残ったのは…

1.オリジナルパーツ(?)
2.謎の多いメーカーの匠の技
3.トランス技術
4.NFBの是非

1.については、新氏が再三繰り返し述べています。『無理に古いオリジナル・パーツを使うよりも新しいパーツを使うべき』『当時の特性を発揮できないパーツを使って、"オリジナルでなければこの時代の音は再現できない"というのは間違い』というのはその通りだと思います。マランツ#7などに使用されたセレン整流器は、確かに優秀で当時の米国技術の高さを示すものですが、レプリカ版のシリコンダイオードで何ら不足はないでしょう。

とにかくそうそうたる面々が、試聴器の内部を観察して具体的にレストア状況や置き換えたパーツを吟味してコメントしているのは、とても参考になります。

2.は、特にQUADのアンプについての各氏のコメントが面白い。ほとんどまったく謎で理解できないとまで言わせています。名器マランツ#7でも、その複雑な回路は不安定で、『コピーしただけの自作アンプは発振しているものが多い』などと自作派には耳に痛い話しも多々あります。

3.については、例えばマッキントッシュのバイファイラー/トライファイラー巻きの出力トランスの技術力。『真空管アンプは、出力トランスと電源部が音を決める』と断言しています。トランスは、オリエントコアなど素材の優秀さで国産品が圧倒していきますが、それは本当の真空管時代が終わった後のこと。真空管の時代は、アメリカの工業製品の優秀さは抜きん出ていました。

4.は、千日のごとく繰り返されてきた議論。画期となったのはウィリアムソン回路の登場だったと言います。SP時代の電蓄にはフィードバックはかかっていなかった。当時は5極管でもNFBがほとんどかかっていなかったので『低域などはボンボンいうだけ』と5極管の評価が低く、3極管の2A3の評価が高いのもそのせい。そこにウィリアムソン・アンプが登場してNFBが話題となって、3極管接続でもNFBをかけるという技術に皆が驚いた。その結果、高SN比、広帯域、低歪の本格的なハイファイの時代がやってきたというわけです。今の時代、頭からNFBを否定し目の敵にするような論調がありますが、NFBにも非NFBにもどちらにもそれぞれ一長一短があって、どう活かすかは回路技術次第だということ。歴史は繰り返すということでしょう。

『オーディオの楽しみのひとつは、音を自分で変化させるということ。それが、ケーブルだとか部屋だとかばかりになって、電気的に音を変えることはやらなくなってしまった』という石井氏らの指摘に、新氏が、『その理由は、生演奏の音がどういうものかということを考えないから』『生の音を参考にすれば、どういう音が自然なのかということがわかり、大きな間違いはしない』とズバリと答えています。

ヴィンテージオーディオは、『現代のオーディオ機器のように情報量は多くないが、音楽の美味しい部分、ここを聴きたいと思う部分がちゃんと再現されるので、聴いていて心が動かされる』。これもまた至言だと思います。


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往年の真空管アンプ大研究・復刻版 (別冊ステレオサウンド)
ステレオサウンド編集部
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