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2017年10月31日18:05

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どんでん返し (Kさん邸訪問記)

Kさんのお宅を訪問しました。

赤羽からは、テーブルの向かい合わせのような感じです。近いのですが、電車にせよ車にせよちょっと回り道になります。電車を2回も乗り換えるのですが40分ほど。旧街道筋の新旧が入り混じった街並みのちょっと奥まった閑静な住宅地にお宅があります。

Kさんはレイオーディオの小型モニターKM1Vのオーナー。そのKM1Vは、私の憧れのディーバ。何度も購入を検討しながらも、縁がなかった元カノみたいな存在です。数年前、金田アンプ試聴会で聴いたことはありますが、一般的なホームユースとして鳴らしているオーナーの方と知り合ったのは初めて。ぜひ聴かせてくださいとお願いしました。

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部屋に入ると、KM1Vの存在がぐっと目を引きますが、パワーアンプもプリアンプ、DACまですべて純正のオール・レイオーディオというシステムです。

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純正ではないのは、イルンゴのスピーカースタンドやオーディオボード類(grandezza)の足元ですが、これらもとてつもない存在感なのです。また、CDプレーヤーは、マランツの名機CD94LTDの改造(?)機。

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PCオーディオもやられていてMacBookAirからUSBで送り出しワイス INT204でDACのS/PDIFに入力。PCの電源は出川式リニア電源という懲りようです。


さっそく音を聴かせていただきました。

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前半はデモ的な音源、後半は音楽鑑賞という構成とのことですが、いきなり聴かせていただいた上白石萌音の歌声からして音楽性満開という音です。ピュアで透明な声質がすーっと心に浸潤していくボーカルに気持ちが浄化されて癒やされてしまいます。

ずっと女性ボーカルが続きますが、中域が厚くベルベットのように目がつんでいて厚みがあって滑らか。PCオーディオのハイレゾらしい解像度の高いサウンドですが、決して薄味にならず色彩感が充実しています。シャンティのバックのアコースティックギターもとても気持ちがよい。エラ&ベイシーとか、マイルスとバグスなど古い録音も生き返ったような清澄さとアナログっぽい柔らかな質感でしっかりスイングしてくれます。

やはり、これは想像していたとおりのKM1Vらしさ…というべきサウンド。

お伺いすると、KさんのKM1V歴はもう20年以上にもなるそうで、このKM1Vは初代のもの。これでずっと一途に鳴らし込んでおられるとか。まさに《熟成》の音がします。それでいて音の立ち上がりのスピード感やダイナミックスの余裕、スリムで筋肉質のボトム域など、とても現代的で高解像度のサウンドです。やはりレイオーディオ純正の正統は素晴らしいと感服しました。

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チャイコンを聴いて、いったい誰の演奏だろうとお伺いしてみたら、何とネマニャ・ラドゥロヴィチの新譜だとか。この若き異形の天才は、ついこの間生で聴いてすっかりその音楽の魔力にとりつかれてしまったヴァイオリニストです。…というように、ざっと15ぐらいのハイレゾ音源を聴かせていただきましたが、決してデモ一辺倒というわけではなく、貪欲な音楽探究の好奇心旺盛なラインアップにとても感服しました

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面白かったのは、ミャンマーの民族楽器による音楽。ジャワのガムランのような木製打楽器の旋律楽器のようでもあり、それでいて太鼓のような楽器にも思えます。後で調べてみるとサンワインという楽器で、奏者を取り囲むようにたくさんの音程の太鼓が並べられた大型のもの。浜松の楽器博物館で見たことはありますが音を聴くのは初めて。太鼓の皮の音がしっかり再現できるからこそ太鼓の音とわかったのでしょう。

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もうひとつはワオンレコードの「オランダバロックの愉悦」という音源。18世紀オランダの音楽と楽器を復元しての演奏で、リズムセクションも活気があってとても楽しい。

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これもリコーダーや、太鼓や鈴などの打楽器、ポジティブオルガンなどオーディオデモ的なクリティカルなサウンド満載でありながらちょっとほのぼのとした癒やしも感じるのは、やはり、音楽性の高いシステムだからでしょう。

後半はCDを聴かせていただきました。

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これがまた本当にとてもよい音。こういう音は、今どきの中途半端なハイエンド機からは聞こえてこないサウンド。このプレーヤーにどのようなチューンアップが施されているのかはうかがい知ることはできませんが、プロ機と同じCDM-1メカ部のトランスポートとレイオーディオDACとのコラボだからこその音というしか、この音の良さを表現しようがありません。

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ブリュッヘン、クイケン、レオンハルト、ビルスマらのテレマンは、素朴さの中に磨かれた気品と華やかさがあって楽しい。石川さゆりのCDRは、初めて直に聴かせていただきましたが世評に違わぬ高音質でした。

最後に、ちょっと正直な感想を申し上げました。

それは音像定位に違和感があるということ。Kさんのリスニングルームは6畳ほどでさほど大きくなくニアフィールドに近い聴き方なので、もともと奥行きやステージ感のある音場型ではないのですが、ソフトによっては音像が右よりに歪んでしまいます。センターボーカルが右よりになり、左側の空間に響きの空白が生じてしまうこと。

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レディ・ガガとトニー・ベネットがふたり重なったまま右よりになってしまったのはさすがに違和感がありました。ネマニャのヴァイオリンも同じです。エラ&ベイシーなど古いステレオでは3点ステレオになってしまいます。

エネルギーが右に寄るのは、右にあるロフト式のハイベッドのせいなのですが、不思議なのは、センターがおかしくなるのはおよそ半分ぐらいのソフトで、しかも、マイルス&ミルト・ジャクソンなどのモノラルではきちんとセンターが出ています。

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例によって、定番ソフトの幸田浩子さんと、オルフェウスのカノンをかけさせていただきましたが、意外なことにこの私にとって鉄壁の診断ソフトである2枚をかけてみても、合格点以上の定位感が得られます。このセッティングはイルンゴのコンサルもあったとかで、かなり厳密にされていることは見るだけでもよくわかります。スピーカーに触るのも臆してしまい、ハイベッドさえなければ…というようなことをつぶやくばかりで首をかしげてしまい、言うだけ言ってお宅を辞したというわけです。

ところが、その後、思わぬどんでん返しが…

翌々日になってKさんからメールが届きました。

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ボーカルがセンターに定位しない原因がわかりました。
レイオーディオは原則3番ホットなのですが、前のオーナーが2番ホットでパワーアンプを注文したため、私は普段クロスケーブルを使っていました。数日前に別のストレートケーブルに変えたので、配線が間違ってました、今は繋ぎ変えてバッチリです。お恥ずかしい話でした。
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なんと「逆相」だったというのです。

2番ホットだろうが3番ホットだろうが、そんなのかんけーねえ…「そんなのホットいて」などと、先日、日記に書いたばかりです。

さらにご丁寧に、hijiyan さんとのオフ会日記で念を押すように、絶対位相の逆転で音が変わると感じるのは切り替え当初だけで慣れれば治るとか、音像定位の左右に影響するということはあまり聞いたことがないとまで言い放ったばかりでした。

何とはからずも自分でブラインドテストをやって自説をくつがえしてしまったことになってしまいました。オーナーのKさんが、私の指摘に「あれ?本当だ。」と素直に異変を認めたところから、ちょっと不自然な気がしていました。厳密に言えば正しい位相の再生を聴いてみたわけではないのですが、「今はバッチリです」というKさんの言葉に間違いがあるはずはなく、あらためて私が確かめに行くまでもないでしょう。

かなり苦しくなりましたが、『部屋とスピーカーとの関係、あるいはシステム機器が不完全であればあるほど、絶対位相は感じやすい』という自説を曲げるつもりはありません。あのハイベッドさえなければ…、というのが私の感想の最後のひと言です。





(聴かせていただいたソフト)

−HiReso−
1. chouchou|なんでもないや 上白石萌音
2. 渚のはいから人魚 小泉今日子
3. COVER 70's | 木綿のハンカチーフ 柴田淳 【K2HD】
4. BORN TO SING | Aqua's Lullaby SHANTI
5. WAT'S NEW | What's New Linda Ronstadt
6. CHEEK TO CHEEK | Cheek To Cheek Tonyu Benett & Lady Gaga
7. Ella & Basie!
8. IN TUNE | Sesame Street The Oscar Peterson Trio & The Singers Unlimited
9. 柔 美空ひばり
10.Beauty of Tradition
11.Crystal Silence Gary Burton & Chick Corea
12.MILES DAVIS AND MILT JACKSON | The Man I Love
13.オランダバロックの愉悦
14.チャイコフスキー/ヴィアオリン協奏曲 ネマニャ・ラドゥロヴィチ
15.THE SKY IS CRYING | The Sky Is Crying Sonny Boy Williamson


−CD−
16.せつなくて 松尾一彦
17.Teleman | トリオソナタ フランス・ブリュッヘンほか
18.CUMBA & JAZZ FUSION Charles Mingus
19.天城越え 石川さゆり
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