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2016年10月09日10:17

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ゴンサロ・ルバルカバ

N響の「90周年&サントリーホール30周年」の大がかりな特別公演で東京の別の一角が騒然としていた夜、私はひっそりと上野の文化会館小ホールでジャズピアノを聴いていました。

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ジャズをコンサートホールへ聴きに行くということは私には考えられないことでしたが、海外出張などが重なりムダになるからとGRFさんから譲っていただいたせっかくのチケットなので出かけてみたのです。

キューバ出身の天才的ジャズ・ピアニストとのことなので、ラテン系のノリノリでアクロバチックでエネルギッシュなパワーで聴衆をあおり立てるような音楽を予想していたのですが、まったく違うということにびっくりしました。

弾き始めた途端に思ったのは、そのピアノタッチの美しさ。私は、このホールではクラシック以外の音楽を聴いたことがありませんが、その中でも最上級に素晴らしい内省的な美しさに満ちたピアノでしたし、それは同時に、今まで聴いたヤマハCFXのなかでも最高のソノリティでもあったのです。

ヤマハの均質な触感と音色、そして、どこまでも純粋な響き、このことを存分に引き出していて、ジャズやラテンというよりはとても自由な独創性に富んだ瞑想的な音楽。決して、クラシックもどきの即興でもなく、安易なスタイリッシュなBGMでもなく、独特のリズムで軽やかに跳躍する左手のうえで、独特のインプロビゼーションが展開されるのです。

曲目は「当日発表」とありましたが、コンサート後にも発表された様子もないので一切わかりませんが、一貫してあるメッセージが込められているようで、自分の即興性を引き出すだけでなく、そのインプロビゼーションが私たちの情感や瞑想の奥から何らかの情景や境地をも引き出すという演奏。

ジャズというのは、スタンダードといっても原曲のメロディや歌詞からはるかに逸脱して、ただひたすらにテクニックを追い求めるというところがほとんどですが、ルバルカバのインプロビゼーションはあくまでもオリジナルから展開しながらもその核心を私たちの中にどんどんと浸透させていくような感じです。心の内のカサカサしたささくれだった部分を癒やし鎮めながら、独特のリズムで心の奥で頑なに縮こまっていたエモーションを目覚めさせ、活き活きとした活動へと導いてくれる、そういう音楽。

そのことを確信したのは、アンコール曲。

知っている曲というのは、アンコールの2曲だけだったからです。「イマジン」は、ほんとうに情感に満ちていて、私の心の中に隣人愛とか平和とか、そういうジョン・レノンのメッセージが、確かに、そして、何の抵抗もなくしみじみと湧き上がってきます。もうひとつは「枯れ葉」。現実にはまだ早いですが、深まる秋への哀切極まりない愛着のようなものを感じました。

サプライズは、やはり、アンコールでの小曽根真さんが客席から呼ばれての飛び入りの連弾。これはもう難しいことは何も無しで楽しかったし、二人のテクニックがはじけ飛んでいました。

なるほど、この小ホールで聴くということもあり得るのだな…と、すっかり納得して家路につきました。



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ゴンサロ・ルバルカバ
〜キューバが誇る世界的ジャズ・ピアニスト〜

2016年10月6日(木) 19:00
東京・上野 東京文化会館小ホール


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