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2016年10月05日12:20

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小菅優とともに贈る楽しい室内楽

紀尾井シンフォニエッタ東京は、次のシーズンから紀尾井ホール室内管弦楽団と改称、新たに来年4月からの《年度制》でスタートする。これまでの秋からスタートするシーズンとの空白にメンバーによる小アンサンブルでのコンサートが3回企画されていて、この日はその第一回。

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ピアニストの小菅優を迎え、彼女を中心にした室内楽のプログラムで、ちょっとふだんは聴けないような曲目がならぶ。紀尾井シンフォニエッタ東京は内外オケの首席級やソリストをメンバーとするいわゆる名人オーケストラ。そのメンバーを選りすぐってのメンバーと小菅優がとても楽しそうに、このちょっと奇抜な名曲を演ずる様子は聴いている方にとっても楽しかった。

前半は、ショパンの協奏曲第2番の室内楽版。

この『室内楽版』は、もともと初版の楽譜に記されていたもの。管弦楽を伴わない弦楽器の四重奏、あるいは五重奏でも演奏できるように管楽器のフレーズが弦楽器のパート譜に小さく転記されていた。こうしたことは、ショパンに限らずこの時代にはごく一般的だった。第2番の場合は、転記はなかったけれど、そういう慣習のもとで別途「ピアノと弦楽5部」の楽譜が販売された。しばしばショパンの協奏曲の管弦楽パートの薄さが言われるが、当時は管楽器パートなしでも演奏できることが見込まれていたのだ。

そういう『室内楽版』の演奏が、最近は、しばしば取り上げられるようになってきた。私も、昨年には水戸で河村尚子さんの「ショパンプロジェクト」シリーズで聴いたばかり。管弦楽とは違う凝縮した独特の美しさがある室内楽版が好きだ。それを教えてくれたのがこの井口真由子さんのCD。

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室内楽版が昔から演奏されていたわけではない。その存在が国際的に話題となってきたのは1990年代のこと。録音として嚆矢とされるのは白神典子さんらの1995年の録音で「世界初録音」を謳っていた。

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(別表は小岩信治一橋大学大学院教授の論文から転載)

演奏は、小菅優さんの美しいソノリティが際立っていた。河村尚子さんの時は弦楽4部(クァルテット・エクセルシオネ)との演奏だったので、それと比較するとやはりストリングスの音色が濃くて充実している。そっと寄り添うようでいて音色に深みを与えてくれるコントラバスの池松宏さんはさすがの名手だ。

小菅さんは、弦楽アンサンブルへの受け渡し、引き継ぎのたびに身を乗り出すようにして他の奏者とのコミュニケーションを図っている。決して弾き振りのようにアンサンブルを支配しているわけではないけれど、その目力というのか連携のオーラみたいなものがすごい。今の若手ピアニストのなかでも室内楽のうまさは傑出している。完全に暗譜だけれども、ピアノ譜だけではなくスコアの全てが頭に入っているのだろう。

休憩を挟んで後半は、サン=サーンス。「奇想曲」では野口みおさん、池田昭子さんと松本健司さんの木管トリオが美音の限りを尽くしていた。木管好きとしてはたまらない時間だった。特にオーボエの池田昭子さんは、N響でもこの紀尾井でもなかなか出演の機会が少なくてファンとしては久々の登場はうれしい限り。余計なお世話かもしれないけど、また、ちょっとお腹が大きくなりかけのような気がしたけれど気のせいかしら。

最後は、学校の音楽鑑賞曲の定番でありながら、意外に通しでの生演奏には滅多にお目にかかれない「動物の謝肉祭」のオリジナル版。皮肉たっぷりで一種の冗談音楽のようなもので、同時代の作曲家の音楽のパロディ(例えばフレンチカンカンでお馴染みのオッフェンバックの『天国と地獄』)を含んでいたため、サン=サーンスは生前には再演を拒んでいた。その死後、ようやく再演されたのが大オーケストラによる演奏だったために管弦楽組曲として定着してしまった。

だから、学校で聴いたりCDで聴いてそういう管弦楽演奏に耳が馴染んでしまっていると、今回のオリジナルのままの室内楽版はちょっと雰囲気が違うかもしれない。

ここでも小菅さんが中心にはなっているけれど、決してリーダーシップが存在するわけでもなく、皆でアンサンブルを楽しむという「持ち寄り」感たっぷりのポットラック・パーティのような演奏。曲毎にちょっとずつ編成が変わり、あるいはクラリネットがバンダに下がったりと趣向があるので、一曲ずつ皆さんが顔を合わせるようにして「せ〜の」という感じで始まる。それだけに演奏者の楽しさが会場いっぱいに拡がってくるようなコンサートでした。




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紀尾井シンフォニエッタ東京メンバーによるアンサンブル��
小菅 優とともに贈る楽しい室内楽

2016年10月1日(土) 14:00
東京・四ッ谷 紀尾井ホール

小菅 優(Pf)
野口みお(Fl),池田昭子(Ob),松本健司(Cl),山��貴子,千葉純子(Vn),鈴木 学(Va),河野文昭(Vc),池松 宏(Cb),和田光世,西村安世(Perc),居福健太郎(Pf)

ショパン:ピアノ協奏曲第1番(弦楽五重奏版) NAXOS
サン=サーンス:デンマークとロシアの歌による奇想曲 NAXOS

サン=サーンス:動物の謝肉祭

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