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2016年06月10日10:00

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hijiyan邸オフ会

相互交流を通じて定点観測を続けているhijiyanさんとのオフ会。今回はhijiyan邸を訪問しました。

何しろミュージカル熱が昂じてカラオケに入れ込み、それにも飽きたらずオーディションを通じてステージにまで立ってしまったhijiyanさん。最近はきちんと先生についてレッスンも受けているとか。すっかりオーディオから離れていたようでしたが、前回の久々の私とのオフ会でのくさび型インシュをきっかけに再びオーディオ熱も再燃したとか。

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今回は、壁の反射。

以前から気になっていたという左右の壁の材質の非対称。向かって右側はテラス窓になっていて、一方の左側は収納棚で木製の折戸になっています。窓はガラスの直接反射音を嫌って和紙を貼ってあります。右の折戸は木製ということもあって若干の鳴り止め(防振)でチューニングしていたというのが従来の状況でした。けれども表面材質の違いによる反射の非対称が気になり出して、今回のオフ会に合わせて急遽こちらも全面的に和紙を貼ってみたというわけ。

恐らく一般のオーディオ愛好家であれば同じような状況はあるのではないでしょうか。私などは《お茶の間オーディオ》なので左右はぐちゃぐちゃの非対称のままです。もともとhijiyanさんはルームチューニングで音の響きを創ってきたひと。そのルームアコースティックのセンシティビティは尋常ではありません。小さな木片ひとつで微妙な音像定位や帯域バランスをコントロールしてしまう。それはもうマジック。

聴いてみてびっくりしました。

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例によって定点観測用の定盤ソフト。幸田浩子さんの「アヴェ・マリア」ではセンターボーカルが少しだけ奥目ですがしっかりとした実在感で、それを囲むようなストリングオーケストラが艶やかで深紅色のような濃いめの音色であでやか。シンプルなソフトですが、千万円オーダーのハイエンドであってもなかなかこうは鳴りません。大概はセンターボーカルが遠く奥に引っ込んでしまい、ストリングスは薄くて少し人工的な光沢がついてしまいます。

それがむしろ今までよりも濃厚な味わいで低音域がより濃密でリアル。今まで聞こえなかった超低域のノイズ様の暗騒音が耳に入り驚いてしまいました。私のような小型スピーカーでは到底出て来ない低音のマッスとリアリティです。これだけの中低域が出せるのならB&W802Dで十分すぎるほど。何も高価な新機種に買い換えることはないと思いました。

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もっともこれだけの音を引き出しているのは、出川式電源で強化したサンスイの名機なればこそ。あらためてこのアンプは化け物だなぁと思います。

サウンドの方向やチューニングの考え方は私とはまるで違うhijiyanさんのサウンドですが、こういう濃いめの音も好きですし、とてもうらやましいと思いました。

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もうひとつの定盤、「パッヘルベルのカノン」をかけてみると、急ごしらえのチューニングで詰め切れていなかった音場の問題が聞こえてきました。左半分の音場が少し窮屈で凝集気味なのです。妥協が成立していたバランスが左右対称化によって微妙に変化し、その調整がオフ会までの時間に間に合わなかったとのこと。スピーカーの位置セッティング、折戸の角度、補正用の木片などあらゆる手だてを総動員しているので、最後の最後のぴたりと合わせることは大変なようです。

この日の最大の痛快事は、「カフェ・パラディソ」。

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このアルバムのトラック8「プレリュード」は、hijiyan邸で何度か聴かせてもらっていて、その度に音像定位について互いの齟齬があったもの。最近、私もようやくこのCDを入手し、改めて聴き込んでみて思うとことがあったところだったのです。聴いてみると積年の互いのくい違いがきれいに解消。これも音響対称化の成果なのでしょう。

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それからポッジャーのバッハ。このドッペルコンチェルトは一筋縄ではいきません。また、改めてご紹介したいと思っています。それから私のブダペスト旅行にお気遣いいただきフィッシャー/BFOのブラームス。このコンビの録音をもっともっと聴いてみたいと思いました。いずれもチャネル・クラシックです。



今回は、思わず持ち込みソフトを次から次へとかけさせていただきました。

まずはボーカル系ということで、今回はテノールを中心にいくつか聴いていただきました。怒濤の音楽三昧ツアーですっかりはまってしまったオペラの世界ですが、発声法や録音の考え方は違えども、ミュージカルもオペラも男声ボーカルの魅力は中域の輝くような伸びと体の幹の太いボリューム感。ほんとうに素晴らしくよく鳴ります。オーナーのヒューマンボイスに対する感性がなくてはこうは鳴らせないでしょう。

オーディオ的なデモも兼ねて現代音楽もかけてみました。「ベルウッドさんはこんなものも聴くンだぁ」と呆れられてしまいましたが、ご本人もまんざらでもなさそう。

武満徹の「ノーヴェンバー・ステップス」は、小澤征爾/トロント響による初録音盤(1967)とサイトウ・キネンとの再録音盤(1989)を両方聴いていただきます。

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やはりトロント盤は、初録音の気負いやステレオ前期であることから音が硬めで、左の琵琶と右の尺八が左右スピーカーに貼り付くようにして大きく左右に分かれて丁々発止の打ち合いになっています。当時は、オーディオ的にも大変なハイファイ録音と感じて、嬉々としてくり返し盤を回したものです。

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サイトウ・キネン盤は、さすがのフィリップス録音で音場が大きく左右スピーカーの外側にまで拡がり、左右に分けられた弦楽オーケストラと打楽器群、中央の金管というパースペクティブが見事。琵琶と尺八は左右スピーカーとセンターの間、リアルでは指揮者の両側というポジショニングが鮮明で《対決》というよりは《対話》という性格がより色濃くなっているのは時間をかけた演奏様式の円熟なのだと感じます。

hijiyanさんからは、DENON盤が値段も手頃なので興味を持っているのだけれど私の評価はどうかと聞かれてしまいました。実は、若杉弘/都響盤は持っておらずじっくり聴いていなかったので、オフ会の後、御茶ノ水のユニオンで中古CDを入手して聴いてみました。

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若杉盤は、東洋と西洋の対決とか琵琶と尺八の厳しい打ち合いというよりは、三位一体、渾然と森羅万象が融合する世界で、風の息を体感するような悠然たる時の流れのような音楽。この曲に新たな境地をもたらすような演奏です。私は、小澤の新盤の裂帛の気合いが漲る演奏のほうが好きですし、この曲の正統のような気がします。

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問題は、琵琶と尺八がセンターでラップして定位すること。この盤には作曲者自身が監修したとのクレジットがありますが、作曲者の空間設計に反するような録音音場には首を傾げてしまいます。

もうひとつはストラヴィンスキーの「結婚」。

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4台のピアノと打楽器、独唱と合唱という編成でこれほどオーディオにとって苛酷な爆音ソフトはないでしょう。hijiyan邸システムでしか鳴らせない道場破り的ソフトです。これが見事に鳴るので感服してしまいました。特にピアノ4台で鐘のように鳴らすところは絶品。“カンパノロジー”とは黛敏郎が「涅槃交響曲」で提唱したものですが、その嚆矢がこのストラヴィンスキーではないでしょうか。ほんとうに快感。

もっともhijiyanさんに気に入っていただいたのは、同じCDにカップリングされたコパチンスカヤのチャイコン。自由奔放なフレージングと型破りなカデンツァで、オーケストラも巻き込んでやりたい放題だけれど、これもチャイコフスキーに土俗的な原始ロシアを入れ込んだ実に魅力的なチャイコンです。

若干の未完成部分を残してはいましたが、hijiyan邸のサウンドの進境ぶりに感服。これほどのサウンドにはなかなか追いつけないけれども、自分も頑張らなければなぁと思って帰路についた次第です。

hijiyanさん、ありがとうございました。超遅レポートご免ください。
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