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2014年12月17日16:48

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オリヴィエ・スタンキエーヴィチ オーボエ リサイタル

マイミクのベイさんから招待券を譲っていただき同じくマイミクのGRFさんとともに久しぶりにトッパンホールに足を運びました。

オーボエのスタンキエーヴィチさんは、トゥールーズ・キャピトル国立管の首席奏者で、標題の通り2012年の軽井沢・国際オーボエコンクールの覇者。「大賀賞」受賞記念ということで「ソニー音楽財団」主催のリサイタルコンサート。

スウェーデン国籍のポーランド人の両親のもとフランスに生まれ、パリ音楽院で学んだという。なるほど名前も顔立ちもポーランドだけれども、立ち居振る舞いは若々しく颯爽としていて、その音楽的なセンスにはとてもフランス的なものを感じさせます。現代音楽グループの一員として活発に活動するほか、ロンドン響の首席にゲストとして招かれるなど国際的に活躍しているそうです。

まずは、テレマンの無伴奏。

第一声を聴いて、「ああ、いい音だなぁ」と思いました。とてもラジアントな音。痩せて細身にならず響きにふくらみがあってホールいっぱいに拡がっていきます。ふだん聴いているオーディオでは、ともすれば小さな音像に凝縮してちょっと金ピカの美音一辺倒になりがちで、そういう人工的な音をオーボエだとつい思いこんでしまいます。やっぱり、生で聴くオーボエとはこういう音色と響きなのだという幸せな納得が胸に拡がっていきます。

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テレマンの「幻想曲」は、同じ曲ではありませんが12曲のうちのひとつを、今年、ロンドンのウィグモアホールでヒラリー・ハーンの演奏を聴いたばかり。高貴な精神性を湛えた深々とした音色に心奪われる思いをしましたが、スタンキエーヴィチさんのオーボエは、もっと朗々としていて洒脱な喜悦に満ちています。もともとはトラヴェルソ(フルート)のために作曲されたものですが、私たちにとってはハインツ・ホリガーのオーボエ独奏が鮮烈な印象を残しています。こうして聴いてみると、時代の熟成がもたらす多様な解釈とバッハに優るとも劣らないほどのテレマンの音楽の多義性を感じます。

二曲目は、モーツァルト。こちらは、原曲がヴァイオリンとピアノのためのソナタ。

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ピアノが加わったせいもあるのか、モーツァルトのよさがあまり感じられません。デュメイのようなピュアさも、ムターのような色香もありません。何よりもオーボエとピアノが合わずに音色や音量のバランスがばたばたします。

ここからは、ブラームスの歌曲やシューマンの歌曲。シューマンの「ロマンス」は、純器楽でヴァイオリンなど他の楽器で演奏されることも多いのですが、逆にこれはオーボエがオリジナル。モーツァルトで感じたピアノのちぐはぐさがここでも尾をひいていて、いたずらに叩くだけで単調で雰囲気が重めで鈍くロマンチックな情感に欠けていささか退屈します。前半最後のシューマンの「幻想小曲集」は、原曲がA管のクラリネットのために書かれていますが、スタンキエーヴィチさんはここでオーボエ・ダモーレに持ち替えての演奏。C管のオーボエより短3度低いA管楽器ですが、A管クラリネットよりもくぐもった陰鬱さがあって、ちょっとピンとこなかった。

後半は、20世紀音楽のオンパレード。

ちょっと気負いというのか硬さがあった前半とは打って変わって活発で溌剌とした演奏。ピアノのシニーヴィアさんは、どうもこちらが本業らしく、自信に満ちた闊達な演奏ぶり。もちろんスタンキエーヴィチさんも、ホリガーのような前衛的技法の披露こそなかったものの、目の覚めるような技巧で縦横に活躍する。

一番面白かったのは、スカルコッタス。ギリシア人でベルリンに学んだがシェーンベルクらの十二音技法に加担したとがでナチに追われ帰国。作曲家としては不遇だったそうですが、キレのよい協奏曲風の華やかな即興的対比がとても面白く感じました。

ブリテンは、よくわかりませんでした。いろいろな音楽語法を試したコンポジション風でもあり、一種の連作絵画のような物語性も垣間見せるようでもあり、それでいてなにやら抽象的な音列の提示でいつのまにか何となく終わってしまいました。ちょっと集中できないまま退屈してしまいました。

最後のプーランクは、プロコフィエフへのオマージュ。とにかく楽しくて面白くて、しかもちょっと自分もお洒落なパリジャンになったような気分のよさがあります。

アンコールは、いずれもシューマンとブラームスの歌曲。がぜん吹っ切れたようにオーボエが楽しそうに歌います。ここでもこのお若いふたりにロマンチックな音色やフレージングの引き出しがもっとあればなぁという不満は残りますが、旋律線豊かに歌うスタンキエーヴィチさんのオーボエはとても艶っぽい。本来の女声よりもメロディラインがくっきりと浮かび上がりとても女性的。歌舞伎の女形は、ほんものの女性よりも女性的だと称賛されますが、こうしてドイツリートの名曲をオーボエで歌われると同じような感想を持ちます。

演奏会後は、例によってGRFさんと有楽町線江戸川駅そばのイタリアワインとイタリア総菜のお店で反省会。何やらここのところ楽しそうなGRFさんですが、ふたりで軽々とボトル1本を空けました。

ベイさん、ありがとうございました。






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「第10回 国際オーボエコンクール・軽井沢」(2012年)第1位[大賀賞]受賞記念
オリヴィエ・スタンキエーヴィチ オーボエ リサイタル

2014年12月14日(日) 14:00
東京・小石川 トッパンホール

オリヴィエ・スタンキエーヴィチ(オーボエ)
アルヴィーゼ・シニーヴィア(ピアノ)


テレマン:幻想曲第8番 ホ短調 TWV40:9
モーツァルト:ソナタ ホ短調 K304(原曲:ヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調)
ブラームス:《リートと歌》作品63より 〈青春歌 その1 わたしの恋は緑にもえ〉
       《6つの歌》作品3より 〈愛のまこと〉
シューマン: 3つのロマンス 作品94
      《ミルテの花》作品25より 〈献呈〉
      《リーダークライス》作品39より 〈森の対話〉
      幻想小曲集 作品73

スカルコッタス:ソロ・オーボエとピアノ伴奏のためのコンチェルティーノ
ブリテン:テンポラル・ヴァリエーション
プーランク:オーボエ・ソナタ

<アンコール>
シューマン:《リーダークライス》作品39より〈異郷にて〉
      《ミルテの花》作品25より〈君は花のよう〉
ブラームス:《9つのリートと歌》作品63より〈青春の歌1−わたしの恋は緑にもえ〉


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