私がある広告代理店の制作部に所属して、
5年ほど経った昭和45年ごろだったろうか。
アメリカの玩具メーカー、マテル社のバービー人形の
広告制作に携わることになった。
オリエンテーションの冒頭で、マテル米国本社の副社長が直々に
「アメリカで最も売れているバービーが、何故日本で売れないのか」と
強い不満をあらわした。
言いたいことは、日本国内で売れているリカちゃん人形よりも、
クオリティもイメージも遙かに上を行くのに売れないのは、
広告代理店の戦略に問題がある、ということだった。
だが、売り出してから日の浅いリカちゃん人形とバービー人形を比べれば、
どちらが日本の女の子たちに愛されるかは一目瞭然だった。
その後、CMなどを作成したけれど、リカちゃんの後塵を拝することに
なったのは当然の成行だった。
結論から言えば、バービーの製品そのものに魅力がないのが
売れない理由だった訳だったにも関わらず、
当時のマテル社はそれが納得できなかったのだろう。
あれから、60年ほどの歳月が経ったが、今度はトランプ大統領が、
日本でアメ車が売れないと不満を募らせて、日本車に25%の
報復関税を課すぞと脅し始めた。
しかし、日本でアメ車が売れないのは、単に燃費が悪く、
でっかいばかりで日本人のニーズに合わないだけで、
それ以上の理由はない。
私は、こうしたアメリカのものはなんでも優れている、
それでも売れないのはおかしいという押しつけ姿勢を
バービー現象と呼んでいる。
分かっていないのは、トランプ大統領本人で、
裸の王様そのものだ。
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