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2024年04月15日23:01

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ささやくチェンバロ (マチェイ・スクシェチュコフスキ)

ブルージュ国際古楽コンクールの覇者のスクシェチュコフスキのチェンバ・ロリサイタル。

文字通りの大型新人。2001年生まれのミレニアム世代で身長は194cmだそうだから、間違いない。

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名前が覚えられていないということでも新人の要件を満たす。その舌を噛みそうな名前(Skrzeczkowski)は、出身現地のポーランド人でさえというから、そのことも確かだ。ちなみに「スクシェチュコフスキ」というカタカナを日本人がそのまま読むと、それが一番原音に近いそうだから日本人にはうれしい新人。

もうひとつ日本人にうれしいのは、初の世界ツアーも日本だということ。日本のマネジメントが、優勝者を日本に招聘して優勝記念ツアーとして日本中を回るプロジェクトにしたいと申し出たところコンクール事務局から快諾されたのだとか。

そもそも歴史あるこのコンクールで、日本での優勝記念コンサートがなかったことが驚き。第1回(1968年)のトン・コープマンを始め、ダントーネ、ベザインホウト、最近では2012年のジャン・ロンドーなど、世界の第一線で活躍する超一流の古楽音楽家たちを多数輩出している。コンクール大好きの日本人のクラシックファンもちょっと盲点だったのかも。

うれしいというのはご本人も同じのようだ。ご本人は優勝するとは思ってもみなかったそうだから、日本を訪れることはなおのこと考えてもいなかったでしょう。もちろん、初めての日本。いわき市ではさっそくおでんを食べたとか。関西でもお好み焼き、居酒屋と物怖じしない健啖ぶりも新人の若さ。

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プログラムは、オール・バッハとフランス古典、そのミックスという三通り。この日は、オール・バッハプログラム。使用した楽器は、朝日ホールはチェンバロを保有していないのでツアーで用意したジャーマンタイプのミートケモデル(オランダ/Jan Kalsbeek 2000年製)。もちろんフランス・プログラムではフレンチタイプの楽器を使用するそうです。調律は数ヶ月前に教えてもらって気に入っているオリジナル音律だそうです。

まず最初のフランス風序曲を聴いて、ずいぶんと音量が小さいことが意外でした。張り切って3列目のかぶりつきの席をとったのですが、それでも小さい。身体が大きいだけに余計そう感じるのか。最初は少しくぐもったようなつぶやくような音色と響きで、この曲にもふさわしいかどうかとちょっと懐疑的になったほど。

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ところが、耳が慣れてきたせいもあって、そのタッチに並々ならぬ才覚を感じるようになりました。ジャーマンタイプは、得てしてジャラジャラと饒舌になりがちなのですが、音色は実に軽やかで伸びやか。ジャーマン本来の、各声部がよく通り対位法が美しく流れていく。とにかく粒立ちが精確なのですが、鈴を並べるようなブツブツがまったく無くてつながりが滑らか。流麗なアーティキュレーションでリズミカルで特に鍵盤組曲の典雅な舞踏が軽やかで優しい。こういうチェンバロは初めてのような気さえします。

黙々と表情も変えずにひたすら弾き進むので、拍手するにも戸惑うようなところはありますが、さすがに曲間の拍手には立ち上がって答礼。それでもちょこんとお辞儀をするだけですぐに座り直して次の曲に入ります。とはいえ、プログラム・ビルディングにもなかなかしたたかなところがあると感じました。

ささやくようなやさしさと軽やかさがありながら、その細部は実に精巧で、しかも、バッハの対位法が透き通るレース編みのような可視性の高いもの。決して大声を荒げたり大見得を切るわけではないのに情感豊か。日本の伝統工芸の美意識にも通ずる演奏スタイルはとても新鮮でした。

これからが大いに楽しみな新人。後になってちょっと自慢のタネになるかもしれない体験だったかもしれません。



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ブルージュ国際古楽コンクール2023優勝者
マチェイ・スクシェチュコフスキ
チェンバロ・リサイタル
2024年4月5日(金)19:00
東京・築地 浜離宮朝日ホール
(1階3列12番)

J.S.バッハ:
フランス風序曲 BWV831
平均律クラヴィア曲集第�鬼�より
 第4番 嬰ハ短調
 第14番 嬰ヘ短調
 第19番 イ長調

フランス組曲第2番 BWV813
平均律クラヴィア曲集第�鬼�より
第15番 ト長調
第16番 ト短調
イギリス組曲第5番 BWV810
 
(アンコール)
ジョン・ブル :Myself
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