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2024年02月08日00:28

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地震とオーディオ (京都人さん宅訪問記 前編)

京都・大阪旅行の機会に、京都人さんをお訪ねしました。私にとっては長い間の懸案の訪問で、今回、思い切ってお声がけさせていただきました。寸前の申し出にもかかわらずご多忙のなかイヤな顔ひとつせず、快く迎えて下さいました。

お宅といっても職場の二階にある倉庫のような広大なスペース。まずは、その入り口ともいうべきサブルーム。

こちらはダースベイダーかはたまた黒い巨塔かともささやかれるカーボンDDDユニットの、German PhysiksのHRS130。アンプとCDプレーヤーはオールSOULE NOTE。

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さっそくセンター定位置で聴かせていただきました。次から次へと聴いたことのない面白いソフトを聴かせていただきます。どういうソフトですか?とお訪ねすると、雑誌の付録ですと苦笑されている。なるほど、特定のこだわり音源というわけではなく、ある意味で様々なジャンルや構成のソフトをランダムにかけてみる。そういうオフ会の流儀もあっていいんだなと思いました。かえって思い込みとかが薄まって冷静な試聴ができます。

面白かったのが、トルコかどこかの軍楽隊が向こうから行進してきて演奏するマーチ。その立体感が、空間表現追求の京都人さんの面目躍如。

…でも何だかおかしい。

それまで何となく感じていた違和感を、この辺りからはっきり意識し出しました。何か持参のものをかけてみますか?と言われたので、さっそく手持ちのものをかけていただきました。

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以前はオフ会といえば持ち出すソフトでしたが、最近は、最後の答え合わせのような時に取り出します。

案の定、空間が歪んでいます。

正月の能登地震は、こちらでも震度4を記録したそうで、セッティングが狂ってしまって、万全のものではないので…ということを道すがらしきりに言い訳されていらっしゃいました。先日、来られた御一行にも散々言われたのだとか。セッティング修正には手間もかかるので直せていないとのこと。

京都人さんはとてももの静かな紳士。私があれこれどういう風に聴こえるかを説明するのをじっと聞いておられます。スピーカー位置を修正しませんか?と申し上げると、「いや…それは大変でできません」と言ったきり考え込んでおられる。内心「いらぬコトを言っちゃった。やっちまったかなぁ…」と思っていると、京都人さんはやおら、スピーカーの間に置いてあったボール紙箱を触り始めました。

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これにはびっくり!

みるみる内に修正されていきます。その見事な手腕に驚いたことはもちろんなのですが、もっと驚かされたのは京都人さんが私の手振り身振りを交えた苦心の説明を聞いて100%理解されていたことです。しかもセンターではない、傍らの席で聴いていて、三、四度再生を繰り返しながら修正を重ね、件のボール箱の位置を細かく動かしているうちに、左右のアンバランスはほぼ完璧に修正されてしまったのです

箱のことは気になっていて、いずれその正体を聞こうとは思っていたのですが、吸音材が入っているそうです。先般の御一行様訪問時の指摘で、おそらく急な間に合わせで調整するために置いたのでしょう。見かけもかまわぬ粗末な空き箱利用のグッズです。こんなものひとつでこれだけ違ってしまうことに驚きますが、それを使いこなす手腕にも驚いてしまいます。

続いて、電源の切り換えの実験です。

最近導入されたというEMC電源と従来の電源との比較です。従来の電源とはいってもオーディオ幹線工事はされているそうで、その先の配電盤の切り換えということになるそうで、相当にハイレベルな比較です。

が、…結果は、よくわかりませんでした。

EMC電源に切り換えると、確かに比較して情報量が増えて細かい音も聞こえるし立体的な深度もより深くなります。ちょうどその時、私の持参した中森明菜のCDで比較させていただきました。

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EMC電源の方がボーカルがザラついて質感にちょっと粗さが目立つのです。そのことはEMC電源で聴かされていた当初から少し気になっていました。ヴァイオリンのソロなどもちょっと平板になって、ところどころ倍音が崩れがち。

バックスは解像度が上がるのですが、ボーカルはかえって艶のような快感とか実在感が薄れてしまう。インストルメンタルとボーカルのバランスがよくないのです。京都人さんのように空間表現を追求されていて情報量重視の方が高評価というのはわかるような気もするのですが、他の方はどこにメリットを感じられるのかがいまひとつ理解できませんでした。京都人さんは、低域のエネルギー感ではないかと仰っていましたが、このGerman Physiksではそこのところはよくわかりません。

それにしても、地震の影響――すなわち微妙なセッティングの難しさということに考えさせられてしまいました。

360°無指向性だからセッティングは簡単と思われがちですが、むしろ実はとても難しい。スピーカーの振り角調整などは皆無で、もっぱらスピーカー間隔の調整になるそうです。しかし、DDDユニットは360°無指向だからこそ、部屋との関係が最も重要になってきます。部屋といっても、そこには様々な物が置いてあるわけで、その全てが影響する。地震の揺れは、スピーカーだけではなく部屋のあらゆるものも動かしてしまう。全ての相対関係を微妙に変えてしまうはずです。

そんなことをあれこれ考えているうちにあっという間に時間は過ぎてしまいました。もっといろいろなことをお聞きしかったのですが、では、次に行きましょうと促されて、隣の部屋へ。そこで初めて、まだメインルームがあったのだということを思い出したのです。

そのメインルームこそが、まさに空間表現の真骨頂でした。

(つづく)

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