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2023年05月11日10:30

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SPO

作曲家の池辺晋一郎さんの「私の履歴書」(日経新聞連載)が進行中です。

ちょうど高校時代の話しが終わったところ。そこで池辺さんは自ら仲間を募ってオーケストラを創設したことが綴られています。

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実は、私はその高校オーケストラに所属していました。

新宿フィルハーモニック・オーケストラ。略してSPO(スポ)。

その頃、池辺先生(先輩?)は、すでに芸大を卒業し、音楽之友社から新作スコアも出版されていましたから新進気鋭の作曲家。といってもまだまだ高校のクラブの「あの先輩」というに過ぎませんでした。

創設されてまだ数年。池辺先生も書いているように、合唱部はあってもオーケストラがある高校なんてそうそうなかったし、そこで初めて楽器を手にして先輩について習い憶えるという程度のヤツばかりで、まさに牧歌的田園的素人オケ。ちなみに、先日亡くなった坂本龍一は、同じ高校の同級生で、合唱部で伴奏ピアノと指揮兼任でやっていました。合唱部は女子がほとんど。《女護の島》とよくからかったものです。

毎年、山梨の富士見高原で合宿練習をしていましたが、気さくにやってきて1泊ぐらいして指導してくれていました。

指揮をしながら、すぐに「おい、トロンボーン音が違うよね」と指摘。トロンボーンのヤツが首をかしげてチェックしてみると、写譜の間違いでした。当時は、パート譜などというものは高くて手が出ず、みんな一冊のミニチュアスコアをそれぞれのパートで書き写して譜面を作っていたから間違いも多かったのです。それをちょっと聴いただけですぐにわかってしまうのには感服したことを憶えています。

もっと驚いたのは、両手で複雑なリズムを振り分けてしまうこと。

メンデルスゾーンの「結婚行進曲」を練習していたのですが、そのなかで8分音符と付点音符の16分音符のシャッフルのようなリズムが交錯する部分があります。そこがどうしても一方が一方のほうにつられてしまい同じになってしまう。

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それを注意して、こっちはこう、こっちのほうはこう、と指揮棒で叩いてみせる。そしてそれを指揮棒2本を持って両手で叩き分けてしまったのには度肝を抜かれてしまいました。こんなことは今時の高校オケとかブラバンはあたりまえのことだと笑われてしまうのかもしれませんが、ピアノも習ったことのないど素人ばかりの集団のなかでも群を抜いての初心者、下手くそだった私は「プロってこんなに凄いんだぁ」って半ば呆れてしまったことをよく憶えています。

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まだまだ髪の毛もふさふさ。ちょっとパーマがかかった長髪はいかにも芸術家という風で、気さくに話しかけることのできた先輩とはいえ、すでに雲の上という感じでした。
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