mixiユーザー(id:26897873)

2022年07月13日10:14

111 view

「脳は世界をどう見ているのか」(ジェフ・ホーキンス 著)読了

表題につられて手にしたが、久々のガッカリ本。

表題はどうやら翻訳の出版社がつけたようで、原題は「A Thousand Brains -- A New Theory of Intelligence」。まあ、直訳すれば「千の脳 ――知能の新理論」ということになるだろう。

その新理論とは、《人間の脳のなかで「知能」を司るのは新皮質である》ということ。その新皮質は、同質的な1500ほどの皮質コラム(=千の脳)で構成されていて、それぞれの皮質コラムはどれも同じ構造、同じ機能を持つ。そして、それらの皮質コラムは、それぞれに世界モデルと座標系を持つ。知覚や認知は、それらの皮質コラムが相互に関連し統合した投票結果のようなものだ…というもの。

そもそも著者のホーキンスは、脳科学者、神経科学者でも何でもない。パームという手のひらに載る小型コンピューターを開発して大成功したエンジニア。大学は卒業しておらず、学術的な資格といえば、電気工学の学士号をコーネル大学から受けたのみ。パームの成功後に、脳科学に興味を持ち紆余曲折の末に50歳手前で自身の脳科学研究所を開設した。

この「新理論」も、神経学者のヴァーノン・ベンジャミン・マウントキャッスルの提唱の受け売りに過ぎないようだ。マウントキャッスルは、1950年代に大脳の新皮質が円柱状組織になっていることに着目、感覚機能の皮質研究が一大転換を遂げた。その彼は、1978年に、新皮質のすべての部分が共通の原理で動作し、皮質の列が計算の単位になるという理論を提案したという。

本書は、そのことに自分が感化された経緯を語っているが、理論そのものは複雑で難解だから、興味があるなら専門書を読めとにべもない。その後は、えんえんと人工知能は、コンピューターでは実現できないとか、それは人間を滅ぼす敵となるのか、人間の知識はウィキアースのような形で保存できるか、人間の脳内の知識ベースの永久保存だとかコピーだとか、他愛もない想像をさも大げさな科学論であるかのように、勝手に語っているだけ。

読み進めば進むほど、読書の時間を浪費したとの後悔にさいなまれる。


フォト


脳は世界をどう見ているのか: 知能の謎を解く「1000の脳」理論
ジェフ・ホーキンス 著
大田直子 翻訳
早川書房

A Thousand Brains A New Theory of Intelligence
(Jeff Hawkins)

6 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する