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2019年03月22日11:26

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高木綾子フルート・リサイタル

浜離宮朝日ホールには何度も通っていますが、こんなに音がよいホールだったのかとちょっと大発見。

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すばらしい音響を肌で感じながらの、高木綾子さんのフルートの音色と息づかいに幸福な気持ちと感動をもらいました。

最近は、ネットでのチケット購入であってもピンポイントで席が指定できます。今回は、ふと見てみると2階センター最前列のど真ん中の席が空いているのが目にとまり、初めてこの席に座ってみました。いままでは全て1階土間席でした。

浜離宮朝日ホールは、もちろん音響のよいホールですが、最上級のアコースティックとまでは思ったことがありませんでした。こうやって2階正面最前列に座ってみると、天井がさほどは高くないのでどうかと思っていたのですが、とてもよい響きです。ホールの響きというのは開演前でも感じるとることができるもの。こうやって眺めてみると、ウィーンのムジークフェラインの2階正面バルコニー席とそっくり。宙に浮いているような響きもよく似ていて、ミニ・ムジークフェラインという気がしてきました。ただ、ステージとの距離をほとんど感じさせないところまで同じかどうか…?そこがどうかなと思いました。

ところが、第1曲目のバッハ/グノーの「アベ・マリア」が始まると、その響きと音色にすーっと引き込まれてしまいました。

この曲は、よく知られているように、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の第1曲目。原曲は、天国的に純粋無垢のハ長調ですが、この日はフルートの音色に合わせてヘ長調に移調されています。高木さんによると、そのほうがフルートのパンの笛のような音色が引き立つとか。そういうピュアな音調が真っ直ぐに、ホール最奥のこの2階席まで飛んできます。そして、ブレスの息づかいがほんとうに生々しい。オーディオ再生ならば近接マイクによる収録かと見まごうほど。そういう鮮度の高い音が心地よいホールトーンと見事に調和しています。

バッハの「シチリアーノ」も、ブラームスがクララ・シューマンを慰撫するために捧げたヴァイオリン・ソナタも、ほんとうに夢見心地で聴きました。休憩後のシューマンのロマンスは、高木さんのハンミッヒの芯のある音色、細身の怜悧な美音が活かされていて、前半とは少し音楽の様相が微妙に変化してきます。

大きな感動をもらったのは、最後のシューベルト。

「しぼめる花による序奏と変奏」は、フルートのレパートリーとしてはとても大事な名曲です。もともとは、歌曲「美しき水車小屋の娘」の第18曲「枯れた花」を音楽仲間の
フルートの名手が高く評価したので、それをフルートとピアノのための変奏曲に仕立て直して献呈したという曲。シューベルトの死後、自筆譜が発見された遺作。

恋に破れた若者が小川に身を投げ、その墓で若者とともに萎れ枯れた花が、やがて春が来て彼女の悔恨の言葉とともに再び芽吹いて新たな5月の到来を告げる…という切ない歌詞。葬送のような暗い歩みの序奏から始まる曲は、絶望の自死と希望と浄化の再生という、死と生が表裏で隣接しているシューベルトの死生観を痛々しいほどまでに現しています。ランチタイムのコンサートには本来ならちょっと重すぎるかもしれないテーマです。

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ここに至って、ピアノの坂野さんも伴奏者というよりも、デュオのパートナーとして対等になって大変な熱演を繰り広げます。ピアノが全力で弾けば、その音量はフルートをはるかに凌ぐはず。実際、クライマックスではピアノソロとしても大変な音量になってホールいっぱいに響きわたります。ところが、高木さんのフルートが、そのピアノに埋もれずにしっかりと届く。ピアノの音符の数が圧倒的にが多いところやユニゾンでも、その中からフルートの音色の香華が荒海の懸崖に咲く黄水仙の群生のように冴え渡るのです。

高木綾子さんにブラヴァ、坂野さんも一緒にブラーヴェ、そして朝日ホールも加えてブラヴィー!

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浜離宮朝日ホールのベストポジションは、間違いなく"ここ"です。





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【浜離宮ランチタイムコンサートvol.182】
高木綾子フルート・リサイタル
2019年3月18日(月) 11:30
東京・港区 浜離宮朝日ホール
(2階C 1列11番)

フルート:高木綾子
ピアノ:坂野伊都子

J.S.バッハ/グノー編:アヴェ・マリア(グノー編)
J.S.バッハ:フルート・ソナタBWV1031より「シチリアーノ」
ブラームス:ソナタ第1番「雨の歌」Op.78

シューマン:3つのロマンスOp.94
シューベルト:しぼめる花による序奏と変奏

(アンコール)
クララ・シューマン:3つのロマンス Op.22より 第3楽章

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