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2018年10月18日13:18

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追悼 菅野沖彦

先日亡くなられた菅野沖彦氏を勝手に追悼させていただいています。

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SESSION
SOUNDS BY OKIHIKO SUGANO
YAMAHA YM-1009

最初に菅野氏の録音に接したのがこのレコード。非売品で秋葉原のショップで何かを購入した時に特典でもらったものだと思いますが、記憶が定かではありません。自分の装置が良くなったと思わず信じさせてくれるレコード。よくこれをかけては悦に入っていましたが、それは今でもあまり変わりません。

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YAMAHA GT-2000Xの足元のウェルフロートボードも、強化型のピアノメカに換えたばかり。いかにもアナログらしい鳴りっぷりがますます増大して絶好調。そういう自己満足も、このレコードをかければこそです。

菅野氏は、ジャズの録音であってもクラシック的な音場型の録音をします。ステージをイメージしてそれぞれの楽器がそれぞれの位置に自然な大きさの音像で定位します。ピアノやドラムスがお化けのように左右に広がることもありません。八城一夫ピアノ・トリオの演奏では、ドラムスが右スピーカーの外側に定位します。

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菅野氏の録音したレコードには、律儀にこうした録音の細かいデータが記載されていました。マイクセッティングなど録音のテクニックや機材に興味を持ったのもこの頃。当時は、ステレオサウンド社から「テープサウンド」という雑誌が発刊されていて、「ステレオサウンド」誌は買ったことすらありませんが、そちらはよく買って一心に目を通していました。


『技術のない音楽性、音楽性のない技術は無意味である』イシドール・フィリップス

以前に日記で、何度かこの言葉を引いたことがありますが、実は、これはこのレコードの菅野氏自身によるライナーノーツからの孫引きであることを、今ここで白状しておきます。これは演奏家のみならずオーディオにも通ずる言葉。まさに菅野氏のオーディオに対する姿勢をも示しているのだと思います。

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MEIKO MIYAZAWA
THE BAROQUE ALBUM
TRIO PA-1120

宮沢明子は、1963年ジュネーヴ国際音楽コンクールで最高位受賞。帰国後に菅野氏と出会い数々のレコーディングを行います。氏と進めたモーツァルトのピアノソナタの全録音は、その当時、リリー・クラウス、イングリット・ヘブラーに続く偉業でした。一方の菅野氏もピアノの録音に特に優れ、いくつもの素晴らしい録音を残すことになります。私がベーゼンドルファーの魅力を知ったのも氏の録音からでした。

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ラモー、クープラン、スカルラッティの小曲を集めたこのアルバムは、中古で求めたものですが、宮沢のアルバムのなかでも一番好きなもので、しばしば針を落とします。

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LA VIE
PIERRE BUZON PIANO BALLADE
AUDIO LAB RECORD ALP-1039-40

評論家の嶋護は、この二枚のアルバムについて『隅から隅までが美しい。美しさでむせかえるようだ』と言っている。

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菅野氏がもっとも脂がのりきっていた頃の録音で、氏の録音の中でも“他を圧したベストセラー”。氏のレーベルであるオーディオラボの財政を支えた名録音。ピエール・ブゾンはフランスのピアニストで、日比谷の帝国ホテルのフレンチレストラン“フォンテンブロー”で、いわゆる“ムードピアノ”を弾いていて氏の目にとまった。氏も同行していた宮沢明子も、その楽器が『何の変哲もないちっぽけなグランド』であることに驚いたという。

そのブゾンに、ベーゼンドルファーを弾かせて録音したもので、おそらくこれが菅野氏のピアノ録音のなかでも最高傑作だと思います。すべてワンテイクの『リハーサルも編集もない』ものだったそうで、そのことを菅野氏は『形を整えようとするあまり、流れが止まり、肩が張り、どこか、とりすました硬さが出るといったレコードの陥りやすい難点が全く出ていない』と自賛しています。





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菅野レコーディングバイブル
OKIHIKO SUGANO RECORDING WORKS DESCOGRAPHY
編著 嶋護
ステレオサウンド社


以上の話しは、レコードのライナーノーツの他はほとんどこの本がネタ元。

菅野氏の録音エンジニア・プロデューサーとしての全てを網羅していると言ってよいでしょう。ベスト・サウンド・セレクションとして、13曲が収められたSACDがついています。菅野ファン必携の書。

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