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2018年09月24日17:47

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ホーネックのモーツァルト 紀尾井ホール室内管

紀尾井ホール室内管の定期。

プログラムは、全てライナー・ホーネックの弾き振り。…というよりも、指揮者無しに近いでしょうか。前半の協奏交響曲は、今井信子さんのヴィオラとの共演でソリスト。後半の「ハフナー・セレナーデ」では、曲によってソロに立ちますが、ソロがない曲ではコンマス席に座ります。いずれもキューはホーネックさんが出しますが、タクトを振ることもありません。

今回は、翌日がつくば遠征と重なったために振り替えをお願いしたところ、かなり席が埋まっているとのことで、いつもの2階正面バルコニーとは違ってこんな席になってしまいました。

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2階バルコニーの右手奥。ほとんごステージ右横真上。1列目ではなくて2列目なのは不満でしたが、こういう席ではどんな視界と音がするのか、それはそれで楽しみです。それによって音楽や演奏の違ったニュアンスや新たな発見があるからです。

さて…

「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」は、モーツァルトの協奏曲の中でも異彩を放つ名曲。その独特の味わいは、若い頃から楽しんでいましたが、結局行き着いた演奏は五嶋みどりさんと今井信子さんという日本を代表する二人の独奏者が共演したこのCDです。

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その今井信子さんが、ホーネックさんと共演するというので楽しみにしていた演奏です。

演奏は、その期待に違わずとても素晴らしいもの。

ウィーン・フィルのコンサートマスターであるホーネックさんなので、いかにもウィーンらしい優雅なモーツァルトを予測していたのですが、ずっと主情的で堂々とした気持ちが前に出て来る音楽です。

モーツァルトがザルツブルク宮廷の束縛の鬱屈のなかで密かに野望を温めていたという時期らしい、人間中心的なロマンチシズムの萌芽を宿し、大衆的な注目を集めるようなヴィルティオージシティを華麗なカデンツァに込めた野心を積極的に打ち出した演奏でした。

オーケストラの響きも決して美麗で軽い音色ではなくて落ち着いた自制的なもの。オーケストラの音量が控えめなので、最初はおや?っと思いましたが、ソロを引き立てつつも「交響曲」らしい融合的なトゥッティをも作り上げています。ホーネックさんの指揮については以前にちょっと苦言を呈したことがありますが、今回のようにコンマス的な立場でリードするとかえってよい面がどんどん出て来るような気がします。

オーケストラを美事にコントロールしたのはそのせい。レコード制作者の井阪紘氏がその著作のなかで、カラヤンがムターを世に送り出すために企画されたヴィヴァルディ「四季」では、「ムターのデリケートで音量の小さなソロ」を巧みに助けたのは、ウィーン・フィルのコンマスだったウェルナー・ヒンクだったと証言しています。ソロを引き立てるのはコンマスの仕事なのでしょう。

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この曲で、実は、モーツァルトはヴィオラ・ソロに対して通常よりも半音上げて調弦するスコラダトゥーラを指示しています。今井信子さんも先にご紹介したCDではその変則調弦で弾いていますが、この公演では通常の調弦で弾いていたように思います。その分、曲全体は重厚な音調の方に傾いていましたが、第2楽章の二人のカデンツァは本当に心に染みいるようで、それでいて気持ちを揺さぶられるような素晴らしい演奏でした。

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「ハフナー・セレナーデ」では、ソロに対するそういう忖度が一切外されて堂々たる自発性の高い音調へと一変します。そして、その音楽は宮廷の晩餐を飾るようなものというよりは、さながら“歌のない”歌劇のよう!やはり奥底に潜んでいるモーツァルトの劇性への目覚めのようなものが前面に出て来るような演奏です。ホーネックさんが自分の身についたモーツァルトを、ウィーン・フィルの高めのピッチではない、標準ピッチの日本のオーケストラが演奏すると巧まずしてそういうモーツァルトの本性が現れるということかもしれません。それが、この「セレナーデ」の新たな魅力を教えてくれました。

それもこれも、ステージ頭上のバルコニー席だったからこそ味わえたことだったのかもしれません。





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紀尾井ホール室内管弦楽団 第113回定期演奏会
ホーネックのモーツァルト選集��
2018年9月21日(金) 1900
東京・四谷 紀尾井ホール
(2階BR2列4番)

ライナー・ホーネック(指揮、ヴァイオリン)
今井信子(ヴィオラ)
紀尾井ホール室内管弦楽団
(コンサートマスター:千々岩英一)

モーツァルト:
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調 KV364(320d)

セレナーデニ長調KV250(248b)「ハフナー・セレナーデ」

(アンコール)
行進曲 KV249

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