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2016年09月26日13:55

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紀尾井 明日への扉13 守岡未央(トランペット)

若手や新進気鋭の新人の登竜門ともいうべき、紀尾井ホールの「明日への扉」シリーズ。

このシリーズは、無料公開だった「ニュー・アーティスト・シリーズ」を引き継いだもので、その歴史は1955年に開始されたニッポン放送の公開録音「新日鉄コンサート」(放送開始当時は「富士製鉄コンサート」)にまでさかのぼります。無料公開で、はがきで公募し抽選で無料招待というものでした。ラジオ放送はもとより、なかなか生演奏を聴く機会がなかった当時の人々を大いに魅了しました。しかも外国の有名演奏家を招聘するのではなく、巌本真理弦楽四重奏団や桐朋学園オーケストラと学生指揮者小澤征爾など、日本の新進気鋭の若手に演奏の場を提供してきたことでも歴史的な貢献をしてきたといえます。

最近は、日本の音楽界事情も大きく変わり、若手であっても国際的な活躍の場が拡がり、海外コンクールで日本人が上位入賞を果たすことも珍しくなくなり、若い新人であってもあっという間にスターダムへと駆け上がっていくようになりました。このシリーズに登場する「新人」も、リサイタル本番時点ではすっかり名の通った旬の音楽家になってしまっていた…ということが続いています。

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そういうなかで、今回は久々に新人らしい新人の登場。

何しろ、ご本人が自ら「初めてのリサイタル」なので「キンチョーしてます」とちょっとうわずった可愛らしい声でのごあいさつ。そういうスピーチから始まるというのもちょっと今までになかったことです。

実際、前半はピアノ伴奏の林さんともども、かなりの緊張の様子。息づかいを落ち着かせ、演奏開始前の呼吸の波を待つような間合いが長いので、開始の小さな合図を待つ林さんも緊張が高まってしまってうまくリードがしにくそう。トランペットというのは、そういう緊張がそのまま音になってしまう怖い楽器です。話しが苦手なひとが人前で話す時に、緊張のあまりちょっと息がつまってしまうことがありますが、トランペットはそういう呼吸のテンションがそのまま音になってしまいます。

そもそも、前半はかなりの難曲が続きます。いきなりアルビノーニの協奏曲でショートトランペット。二曲目は、管弦楽版原曲の冒頭はホルンですが、このいきなりの吹き出しが難しくて、欧米の超一流のオーケストラであってもほとんどがうまく行かない。サイトウキネン/小澤征爾のライブ録音は、松本で実際に生演奏を聴いていますがCDでは明らかに修正が施されています。

そういう緊張で少し堅くなりがちななかにも、その明るい素直に伸びた音色と技術の確かさは大したもの。数々のコンクールを総なめにしてきたということも納得でした。前半最後の近代曲は、難しそうですがもともとトランペット用に書かれているので、なかなか堂に入った演奏です。後半は、やはり最初のバッハの「G線上のアリア」が難曲。しかも、ピッコロトランペットを持ち出しての挑戦です。こういうシンプルで静かなテヌートの曲ほど難しいものです。これを見事に乗り越えてからはがぜん本調子となります。

ステージにはずらりとスタンドが並んでいて、各調性のトランペットを吹き分けての演奏です。ひとつひとつ丁寧にコメントしてくれたのでトランペットの魅力が倍増です。

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特に2曲目のラベルではフリューゲルホルンを持ち出しての演奏。これは厳密にはトランペットではなくて、サクソフォンと同じアドルフ・サックスが考案した近代楽器。私にとっては、むしろ、アート・ファーマーなどジャズプレーヤーのほうを連想する楽器です。目の当たりにして聴くのは初めてですが、ちょっとずんぐりむっくりした楽器。守岡さんが説明のスピーチで、「私にちょっと似ています」というと会場からクスクスと笑い声。そこですかさず「皆さん笑い過ぎです」と二度の笑いをとって大うけ。同行したマイミクのUNICORNさんが「(小さな)熊のプーさん」と言っていましたが、本当に愛嬌のある可愛らしいお嬢さん。

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アンコールでは、大好きで追っかけもしているという久石譲のスタジオジブリの名曲、「天空の城ラピュタ」。これが一番よかった。バッハではうまく出なかった音色の吹き分けが鮮やかで、とても情感豊かな演奏になっていました。



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紀尾井 明日への扉第13回
守岡未央(トランペット)

2016年9月21日(水) 19:00
東京・四ッ谷 紀尾井ホール

守岡未央(トランペット)
林 浩子(ピアノ)

アルビノーニ:トランペット協奏曲 ハ長調(C管トランペット)
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ(フリューゲルホルン)
ピルス:トランペットとピアノのためのソナタ(B♭管トランペット)

バッハ:G線上のアリア(ピッコロトランペット)
ヘーネ:スラヴ幻想曲(B♭管トランペット)
立原 勇:舞−無伴奏トランペットソロのための−(B♭管トランペット)
フンメル:トランペット協奏曲 変ホ長調(E♭管トランペット)

(アンコール)
久石譲:天空の城ラピュタより「ハトと少年」「君をのせて」
アメイジング・グレイス

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