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2016年04月06日00:09

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アリオン試聴室でジャズ・ライブ

恒例のアリオン試聴会。今月は、ジャズ・ライブ。

和太鼓に入れ込んでいた幼少期から、一転してJAZZ VOCALの世界に飛び込み、単身、カナダに留学したというちょっと変わり種のジャズ・ボーカリストのアユコ(Ayuko)さん。

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ファースト・アルバムCD発売を記念してのイベントです。

そのCD制作にまで至った経緯がとても面白い。実現の大きな原動力となったのは、市井のオーディオマニアでありジャズファンというひとたちの存在。学芸大学駅近くのライブハウスに出演したアユコさんのシンガーとしての実力と音楽的な魅力にぞっこん惚れ込んだのが、ハイエンドオーディオマニアとして知る人ぞ知る惣野正明氏。『趣味の極道』と自称し、オーディオコレクターとして勇名を馳せる三上剛志氏の賛同も得て、そこからプロジェクトが発足したそうです。

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アルバムのアレンジを担当した浅川太平さんがこの日のピアノ(エレクトリック)も担当。その音楽性の高さと自在な技能に舌を巻いてしまいました。

初めこそCDからのナンバー紹介もかねつつライブの定石を踏むようにトークを交えながらの進行でしたが、アユコさんの思いが強いビートルズナンバーの2曲を歌い終わったあたりからお二人の会話がどんどん親密さが増して脱線を始めてしまい、それにつれていったいどこへ行ってしまうのかハラハラするような展開へ。“Lullaby of Birdland”は、その場の思いつきで事前の打ち合わせもなく初めて歌ってしまったとアユコさんが笑い飛ばしていましたが、そういうスリリングな予想もつかない瀬戸際さがかえってノリのよさを生んで、アリオン試聴室にはいつもとは違う雰囲気の高まりが生まれてきます。

さらには、アユコさんが「リクエストありますか?」と会場を煽ると、「マイクなしで歌って欲しい」との声が。「おお、そう来たか!?」と笑うアユコさんが、「では、曲はどうしましょうか?」とさらに尋ねると、そのお客さん「実は、私はクラシック派なのであまりジャズは聞かないんです」とのこと。このリクエストには爆笑してしまったアユコさん。それでも少しも動じず、それでは…と歌い出したのが“Amazing Grace”だったのです。後で聞くとこれも初のチャレンジ。それどころか全く歌ったこともなかったそうです。浅川さんのピアノの即興性豊かで感覚のフレッシュなソロ部分もたいへんな聞きものでした。

アユコさんの英語の発音には、かっこうつけのような気取りが一切ありません。ちょっと日本人英語の舌足らずのようなところがあるのですが、ご本人によればカナダ留学時代に「Ayukoの英語の発音はカワイイ」と言われたそうで、どこかそういう自分の根っこに居直ったような口跡のたたずまいが、もともと和太鼓で鍛えた感性と相まって独特の和製ジャズになっているような気がしてとても魅力的です。

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CDのほうもぜひ聴いてほしい。

メジャー系のようにお金がかかったゴージャスな音ではないし、ことさら逆を張った「素朴派」とか「耳元ささやき派」でもない。プロデューサーを担当した古屋明氏さんは、とにかく「一発録り」でピッチ修正のような加工はなし、別録りダビングもしないしブースに入ることすらもないという録音手法。Ayukoさんは、「かえってライブよりも緊張する」と笑っていましたが、音楽そのものの流れを大事にする「自然(じねん)流」とでもいうのでしょうか。しかも、決してアコースティックさを強調しているわけではないのは、浅川さんの先進的なアレンジによる独特な世界のおかげ。ジャンルレスとでも言うのでしょうかとてもフレッシュな音楽感覚です。

古屋氏は、元FRのエンジニアで、横須賀でカートリッジの製作や修理をやっておられて「神の手」とか「横須賀の“針師”」との異名も。そのカートリッジ修理業の傍ら主宰しているのがこの「オーディオ・ファブ(Audio Fab.Records)」というレーベルなのです。

オーディオ的には、いわゆるショップの試聴ソフトのような派手さはありませんが、参加されている大儀見元、岡部洋一両氏のパーカッションが聴きどころ。それから、トラック毎にセッティングが微妙に違っていて、Ayukoさんのボーカル音像の奥行きや質感のさりげない違いなどがいかに聴き取れるかがシステム再生力の試金石というところでしょうか。

〆は、例によって懇親会。いつものお店は改装で休店ということで残念でしたが、楽しい酒飲み会。メンバーは、Ayukoさん、浅川さん、古屋さんを始め錚々たるプロフェッショナルたちと、こだわりのオーディオファンばかり。初対面の方でしたが、私がホール音響にはとても関心があると話しをしたところ、「関東圏ではどこのホールが一番よい音ですか?」とのご質問。即座に「ミューザ川崎!」とお答えしたところ、何とこの方は音響設計に携わっているという建築士だそうでミューザ川崎の設計も担当されたとのこと。知らなかった私は「うれしいです」とのお言葉にすっかり恐縮。大汗をかいてしまいました。



Skylark(Hoagy Carmichael/ Johnny Mercer)
Blue skies(Irving Berlin/ Willie Nelson)
Oh!Darling(Lennon-McCartney)
Fly Me to the moon(Bart Howard)
Blackbird(The Beatles)
Edelweiss(Richard Rodgers/ Oscar Hammerstein II)
Lullaby of Birdland(George Shearing/Weiss George David)
My Favorite Things (Richard Rodgers/ Oscar Hammerstein II)
Amazing Grace(John Newton)
春よ、来い(松任谷由実)

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