ごく普通の駅前の区民文化センターなのにとてもよい響きのサルビアホール。100席ほどの小さいホールですが、いや、それだからこそ実現できた響きなのでしょう。その音の良さは、ここで開催される弦楽四重奏シリーズで体感してきましたが、なるほど古楽アン
著者の陳思宏は、台湾でいま最も注目される若手作家。著者自身が生まれ育った永靖郷を舞台とした大家族の物語。主人公・陳天宏は陳家の末っ子で、五人の姉とその末に生まれた兄弟。著者も9人姉弟の末っ子で、ベルリン在住、同性愛者であることを告知している
クァルテット・エクセルシオは、川崎・鶴見のサルビアホールでのショスタコーヴィチを聴いて、思わず興奮してしまうほどの感銘を受けました。サルビアホールというの100人ほどの音楽専門小ホール。駅前の公民館風のビルの中の質素で何でもないような小ホー
ハードタッチの西部劇ならぬウェスタン・ノベル。時代は、日本で言えば幕末、ペリー来航の時代。1845年のアイルランドの大飢饉、1859年にオレゴンが米国33番目の州に昇格、4年にわたった南北戦争が1865年に終結する。大平原での凄惨なインディアン戦争は最
ドイツで一人暮らす日本人女性の何気ない身の回りの隣人たちとの日常の交流を綴ったエッセイ風の私小説。作者の多和田葉子さんは、大学を卒業後、およそ40年にわたってベルリンで暮らしていて、日本語とドイツ語の二つの言語で小説の執筆を行っていて、作品
フォーレというと、静かで穏やかななかにほのかなロマンの熱がこもっていて、日中の俗気に疲れた気持ちを癒やそうと深夜に聴くにはもってこいの作曲家。特に今のような酷暑の夏には、静謐な大聖堂のなかに入ってその涼気に触れるようで心地よい。そういうフォ
ヴァイオリニスト石上真由子さんが主宰するアンサンブル・アモイベの演奏会。石上さんの名前を知ったのはつい最近のこと。京都を拠点に活動しておられるようで、東京では縁が無いのかなと思いつつググッてみると何とトッパンホールでのアンサンブルコンサート
読響のメンバーによる室内楽プロジェクト。いろいろなリーダーの下で様々な編成での企画のアンサンブルシリーズです。企画そのものにもちろん各リーダーのアイデアが盛り込まれるだけでなく、普段は指揮者のキャラクターに隠れがちなリーダーの統率の個性が浮
私たちの世代までは、蘇我氏は専横のままに政治を壟断し王権を簒奪しようとした極悪人で、大化の改新で中大兄皇子と中臣鎌足に誅せられたのも当然というように教えられてきた。著者は、そういう蘇我氏四代に不当に課せられた汚名の虚偽を暴き、えん罪を晴らし
しばらくは興奮が収まらなかった。頭がほてってしまって、その音楽についていったい何からどう書きとめたらよいのやら考えがまとまらなかったほど。トネッティは、以前から期待していたけれど、コロナ禍で来日が延期になってしまい、その思いが募るばかりだっ
川口成彦さんのフォルテピアノによる紀尾井レジデント・シリーズ第2回。第1回は、1890年製のエラールでムソルグスキー「展覧会の絵」を弾いてみせて度肝を抜いた川口さん。ピリオド楽器演奏というのは、作曲年代と同時期の楽器による演奏ということに意
著者も述べている通り、終わりの見えない現在進行中のこの戦争を追っている限りでは限界もある。けれども、もはやあり得ないと言われていた国家対国家の大戦争が現実には起こっているという衝撃は大きく、誰しもが「なぜ?」という疑問を持っているはず。本書
久しぶりにN響の《ミュージックトモロウ》に足を運びました。日本の現代音楽の作曲家に与えられる作曲賞である尾高賞。その最新の受賞作品をN響が演奏するというのが、この《ミュージックトモロウ》。受賞作品とともに、代表的な現代作品も演奏する。今年は
国際基督教大学(ICU)のチャペルで行われたチェンバロ・コンサート。大学の宗教音楽センターの部屋の片隅に布一枚がかけられたまま永く埋もれていたチェンバロを再生。再び息が吹き込まれたそのチェンバロの復活コンサート。きっかけは、2019年に着任
ここのところ浜離宮朝日ホールの田部京子さんのリサイタルには欠かさず聴きにでかけています。今回は、そのリサイタル・シリーズの20周年記念。しかもCDデビュー30周年という節目でもあるそうです。30年といえばずいぶんと長い歳月ですが、田部さんは
チャペルでのコンサートで、三鷹の国際基督教大学(ICU)のキャンパスを訪れました。ICUのキャンパスは緑が豊富で、とにかく広い。約62ヘクタールと都内の大学でも最トップを争う広さです。ちなみに早稲田大学の早稲田キャンパスが13ヘクタール弱で
訳者によるとロジェ・グルニエは、メジャーな作家ではないが、フランス現代作家のなかでも邦訳されている著書が多く、日本にもコアな読者が確実に存在するという作家だという。大戦中にレジスタンスに参加し、戦後、カミュの知己も得たという。本作は、201
クラシック音楽にも「グルーヴ(groove)」はあるのか?10人のクラシック音楽演奏家に、それを問いかけ、クラシック演奏における繊細で研ぎ澄まされた感覚と途方もなく微細で緻密な音楽造形の秘技を明らかにしていく。クラシック音楽にも、それをグルーヴと
ウィークデーのお昼前のお手軽なコンサートシリーズの「芸劇ブランチコンサート」。お手軽といっても、それは休憩なしの1時間ぽっきり、チケット代もお財布に優しい、ということであって、中味はとても濃くて極上の演奏が楽しめます。司会も兼ねた清水和音さ
若手演奏家を紹介する紀尾井ホール「明日への扉」シリーズは、開始からちょうど10年経つという。その前身の《ニュー・アーティスト・シリーズ》も含めて、プログラムに出演者一覧が掲載されていました。今となって見ると、そうそうたるメンバーで驚いてしま
著者は、まさにフォントマニア!デジタル時代の今日、ふだんから何気なくその恩恵にあずかっている様々なデザインの字体。それがこんなに奥深いものだとは知らなかった。さらには識字障害ということに様々なものがあって、字体デザインによってそのバリアが取
まさに「目からウロコ」の中国史。そもそもこれだけ「唐」王朝に限定して徹底的に俯瞰した本がいままでにない。しかも、徹底的に政治史なのだ。唐といえば、詩文などの文学、水墨画などの書画、唐三彩に代表される陶器など、むしろ文化史中心に論じられること
まったく期待外れの「リゴレット」でした。前回の「ファルスタッフ」が素晴らしかったし、今回も満を持しての新制作とあって大いに期待していたのですが、舞台も歌唱、演技、オーケストラも何もかもが「ファルスタッフ」のプロダクションには及びもつかず、こ
福間洸太朗さんは、コロナ禍のなかのこの3年間、もっとも聴く機会が多かったピアニストかもしれません。寒い国の音楽に特に熱い思いをお持ちの福間さんが、飛びきり5月らしい青空が拡がったこの日に、オール・ラフマニノフのプログラムで登場。その第1曲は
かつて日本の政治は、「右」と「左」あるいは「保守」と「革新」という対立軸で語られることが多かった。最近は、「保守」に対して「リベラル」という対立図式を標榜する政治家が多くなっている。しかし、保守とは何か、あるいはリベラルとは何なのか。著者自
新人の登竜門という「紀尾井 明日への扉」。久しぶりにそれにふさわしい新人の登場でした。会場は、いつもより格段に若やいだ雰囲気。学生風の男女も多く、楽器ケースを背負った若い人や、親に連れられた音楽教室の生徒さんといったふうの小さなお客さまもた
立花宗茂は、太閤秀吉をして「西国無双」と言わしめた武勇、義に生きた名将。関ヶ原で西軍につき敗北、浪人となりながら徳川幕府直参の大名に復活した武将。その宗茂の視点から、三代将軍家光の代替わりをめぐる治天国家の緊張を描く時代小説。宗茂は、近年、
いま注目の新進気鋭の指揮者、沖澤のどかを聴いてきました。何しろ2019年ブザンソン国際指揮者コンクールの覇者。カラヤン・アカデミーでベルリン・フィルメンバーの薫陶を受け、ペトレンコのアシスタントを務め、その代役としてベルリン・フィルのデビュ
プレトニョフの指揮は、どうしても一度は聴いてみたかった。しかも、生誕150年を記念するオール・ラフマニノフとあっては願ってもないチャンス。大きな期待をもってサントリーホールまで出かけたのですが、その期待をさらに上回る演奏でした。コンチェルト