「いつも一緒」の仲間が「いつまでも一緒」であることは、切ないまでのドリーム。誰であっても、どこに生きていても、どんな年齢になっても、それは共通の夢。そのことが現実に直面し、夢が夢に終わるとき、ほろ苦い思い出として、心の底に沈殿していく。読後
ヨーロッパの「中世」には、その時代への憧憬とともに虚偽に満ちている。例えば、『中世は暗黒時代』などと言われるが、それはフィクションだという。本書は、中世ヨーロッパについてのフィクション11項目とりあげて、その概要と成立過程などを概観し、そう
ユダヤ教が、食前に手を洗う掟や食物のタブーなど衛生観念を厳格な教条として守っていた。その教条主義と偽善を、イエスは、厳しく批判した。イエスは、むしろ、不浄や穢れに触れることを厭わず、病人の身体に直接手を触れ按手することで治癒の奇跡を行ったと
8月15日、ラジオ放送で蒋介石は「仇に報いるに徳をもってせよ」(「以徳報怨」)と日本軍の武装解除を呼びかけた。この発言がもととなって日本には賠償を求めなかった。中国は連合国の一国として戦勝国の地位を得て国際連合の常任理事国となった。長きにわ
歴史研究は、新資料の発見や論考など日々更新され蓄積されていく。特に、日本史は、戦前の皇国史観から戦後の占領政策へと教育内容が一変しているだけに、その解釈の変転が著しい。本書は、古代から現代まで各時代の論点ととなるテーマをあげて、最新の研究成
田部京子さんが、浜離宮朝日ホールで続けているドイツ・ロマン派のリサイタルシリーズ。『シューベルト・プラス」の第7回。コロナ禍での中断で、このシリーズ、実に1年半ぶりのことになります。予定されていた回の振替として、昨年末に特別演奏会がありまし
読響のアンサンブル・シリーズ。今回は、日下紗矢子さんがリーダーとなっての室内合奏団。日下紗矢子さんは、ベルリンのコンツェルトハウス管弦楽団のコンミスとして活躍されています。コンツェルトハウス管といっても、日本ではちょっとなじみがないかもしれ
友人の奥谷浩子さんのコンサート。奥谷さんは私にとっては友人というだけでなく、ピアノの先生。といっても私はピアノが弾けるわけではありません。いろいろと音楽のこと、ピアノ奏法や楽器のことを教えていただいたという意味で「先生」というわけです。奥谷
古楽ファンにとっては、NHK-FM「古楽の楽しみ」案内役としてもおなじみの大塚直哉さんが、2018年以来続けているレクチャー・コンサート。「オルガンとチェンバロで聴き比べるバッハの“平均律”」と題して、バッハの“平均律”のプレリュードとフーガを1
田中角栄は「金脈」で失脚し、「ロッキード」で息の根を止められた。田中は、最後まで無罪を主張し続けたが、脳梗塞で倒れ政界引退を余儀なくされ、その死去により上告審審理途中で公訴棄却となった。田中の元秘書・榎本敏夫の上告審では最高裁は田中の5億円
自由奔放、そして軽妙なカルメン。いわゆる現代への前衛的《置き換え演出》のなかでも近年もっとも成功した、楽しくなおかつ見応えのあるプロダクションだった。それでいてその五感いっぱいに拡がるノリのよさは、オーケストラピットとの相乗効果を生み出し音
コロナ禍のなか満を持しての登場は、とびきりのフレッシュアーティストそのもの。体を張った演奏は、打楽器奏者というよりボディ・アーティストというべきか。樋渡さんは、4歳のころからヤマハ音楽教室に通い、中学の部活で打楽器、高校でマリンバを始め、東
オーケストラ団員による室内楽アンサンブルというのは、ウィーン・フィルが古くから取り組んでいました。日本では、何だか兼業禁止のような雰囲気があったし、地味な世界なので集客力もなく、機会はとても限られていました。そういう中で読響のメンバーは、虎
日清戦争の前後、1894年から1897年にかけて4度にわたって朝鮮を旅行した英国婦人の大旅行家イザベラ・バードがつぶさに見聞した朝鮮旅行記。すでに60歳を超えていた老婦人の老獪なまでの忍耐力、確かな観察眼による詳細な描写、正直というより無遠
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンというウィーン古典派の3大スター。しかも、そのピアノと弦楽器の室内楽となると、まさに、これこそ「ザ・クラシック」。この日、スポットライトを浴びたのは、チェロの香月麗(かつき うらら)さん。全三曲に出ずっ
プログラムの曲、ひとつひとつが興味深く、そこが魅力。ところが聴き終わってみると、そのプログラムが巧みにくみ上げられていて一本筋が通っている。しかも、そのピアノそのものにも何とも言えぬ充足感がある。そんなピアノ・リサイタルでした。テーマは、“
『キリスト教と音楽』『古楽のすすめ』がとても面白かったので、これも読んでみました。昨年の新刊ですので、すでに90歳近いご高齢の著者にとっての最新刊ということになります。音楽史の俯瞰として最後に触れられているのは、1980年に作曲された武満徹
音楽の都ウィーン、なかでもクラシック音楽の殿堂とも言えるのがウィーン楽友協会。創設されたのが1812年、今から200年前ということになる。1812年といえばチャイコフスキーの序曲を思い浮かべる。その創設はまさに、対ナポレオン戦勝記念の音楽会
「寛容」とは、「不寛容」と逆接的で表裏をなす。「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」そう言ったのはヴォルテール。恐らく本書の表題は、そのヴォルテールの「寛容論」をもじったものだろう。私たちはともすれば
2019年4月15日のノートルダム大聖堂の大火災のニュースは、生々しい映像とともに世界中を駆けめぐった。その衝撃の記憶はまだ新しい。著者は、パリ生まれで、パリとロンドンで政治学、国際史を学び、「ル・モンド(仏)」、「ガーディアン(英)」、「
日蓮というと、他宗を痛烈に攻撃し、二度も島流しにされ、それでも屈しなかったひと。元寇の予言や強烈な信仰心と教宣は、攘夷論をはじめ戦前の皇国史観などの国家主義と結びつけられるなど、排外的で攻撃的、侵略的な政治イメージも強い。その宗祖の生涯は、
ちょっと地味な組み合わせのアンサンブル・トリオ。もともとは、元ベルリン・フィルの首席オーボエ奏者のシェレンベルガーを迎えての公演予定でしたが、新型コロナ感染対策の制約で来日中止を余儀なくされ、クラリネットに代わっての公演となったもの。1曲目
久しぶりの紀尾井ホール管弦楽団定期演奏会。【バレエ音楽特集&ストラヴィンスキー没後50年記念】と銘打ったプログラムですが、これが素晴らしい演奏でした。1曲目は、モーツァルトのバレエ曲。いきなり意表をつかれる思いだけれど、歌劇《イドメネオ》に
ウソをつく国民、ウソをつく政治、ウソつきの学問、ウソの裁判。実際、韓国は度しがたいウソつき文化だ。偽証罪で起訴された人の数は日本の172倍、誣告件数は500倍、保険詐欺総額は4500億円でアメリカの100倍。パク・クネ大統領は、セウォル号沈
「楽しいのに寂しい、強いのに壊れそう」モーツァルトの音楽の魅力を、そう喝破したのは「ミスター」こと巨人の長嶋茂雄さんだそうだ。長嶋さんは、立教時代や巨人に入ったばかりの頃に、よくモーツァルトを聴いていたという。同じ曲が、ある時は自分を元気付
とても好きなモーツァルトの歌。メロディは、ピアノ協奏曲第27番の終楽章のロンド主題を転用したものだと言われていて、両者を聴いてみればほんとうにそのままです。モーツァルトは、それを子供の歌にしているのですね。この曲は、♪楽しや五月 草木はもえ
日本の人口減少は避けられない。人口減少は、すなわち国勢の衰退に他ならない。そういう日本経済悲観論に「否」を唱える…というのがキャッチフレーズ。人口問題と経済成長をめぐる経済学史としては確かに面白い。テーマは日本が直面する深刻な問題だが、わか
色覚(色の見え方)の先端科学の世界を5年の歳月をかけて取材。そこから見えた「色のふしぎ」の世界は驚きの連続。わかっているようで、まるでわかっていなかった色覚の世界は、実にエキサイティング。20世紀までの社会通念や思い込みがことごとく覆り、吹
久々にホール満席の空気と熱気を味わいました。さいたま芸術劇場・音楽ホールは、最前列こそ飛沫感染防止のために空けられていましたが、席間も空けることなくほぼ満席でびっしり。客席のざわめきにも熱気をはらんだ密度の濃い空気を感じます。河村尚子さん自
楽しみにしていた新国立渾身の新制作オペラ2作品の同時上演。しかも、両作品ともに上演される機会が少ないレアなものだけに期待は大きかった。チャイコフスキーとストラヴィンスキーは、同じロシアの作曲家だけれど時代も作風も違うが、この2作品の根底には