新進演奏家の魅力を紹介する紀尾井ホールの「明日への扉」シリーズ。このシリーズに登場する“新進演奏家”が、新人というイメージをしばしば裏切ってしまうことは、これまでも何度も書いてきました。ところが今回のティシチェンコほど、新人離れした新人はい
恒例となりつつある新国立劇場の研修生によるオペラ試演会。厳しい選抜と研修を重ねてきた若手たちによるオペラ上演が安価に手軽に楽しめるとあって、人気が静かに浸透しているようです。当初は2回の公演を予定していたのですが、あっという間に完売。もう1
先日、たまたまTVのスイッチを入れたら、池袋の自由学園明日館のことを特集していて、久しぶりに行ってみたいと思っていました。そんな時に、コンサートで配られるチラシにここでミニコンサートがあることを知りました。明日館は、アメリカの巨匠フランク・
大規模修繕工事のために約半年間休館していたミューザ川崎シンフォニーホールが、この7月1日にリオープンしました。その日は、15周年となる開館記念日(ミューザの日)でした。大規模修繕工事は、主に設備の更新工事で以下の内容となります。(1)PA用ス
芥川龍之介の評伝的なエピソードを時系列的に追いながら、極度の気鬱による幻惑、凶夢、あるいは、乃木希典夫妻の殉死、師の夏目漱石、精神科医斎藤茂吉との長崎での出会い、上海紀行、関東大震災などの時代事象とその心理告白的情景、さらには芥川作品そのも
紀尾井ホール室内管に初登場の鈴木雅明は、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の創設者で世界的なバッハのスペシャリストとして知られています。近年は、古典やロマン派の楽曲にもタクトを振るっていますが、しかし、初登場でバルトークとストラヴィンス
意外感といってもよいほどの、どこか新鮮ですがすがしい、何かふとつきものが落ちるかのような読後感がある。「事大主義」と言えば、韓国併合に至った朝鮮の混迷ぶりを見下す言葉として記憶している。政治姿勢に本来の主体性や自立性を欠く卑屈な態度というネ
少し前のことになるが、映画「グリーンブック」を観た。映画そのものは、お定まりのロードムービーで話しも予定調和でどうということもないが、実在の人物を描いたものだけに興味をひく場面が多々あった。そもそもクラシック音楽の殿堂・カーネギー・ホール階
今回の音楽旅行もついに最後のシーンを迎えました。私たちのミラノ・スカラ座の最終夜は、いよいよ御大リッカルド・シャイーがピットに入ります。そしてスカラ座新制作のプッチーニ「マノン・レスコー」の初夜。会場は、いっそうの華やいだ雰囲気で沸き立って
UNICORNさん宅を久しぶりに訪問しましたが、そのサウンドの躍進ぶりに大興奮。かつて初めてGermanのUNICORNに接してウーファーがどこについているのか探したというあの懐かしい日々を思い出してしまったくらいに驚き、興奮してしまいました。最初はUNICORNさ
ミラノの三日目は日曜日。前回もそうでしたが、月の最終日曜日ですのでミラノ名物ノミの市が立ちます。というわけで、午前中は様々な骨董市のテントが軒を並べるナヴィリオ運河のそぞろ歩き。去年は大寒波が襲った凍えるような寒さの2月でしたが、この日はち
一夜明けたその朝は、列車に乗って湖水地方へでかけました。ミラノからほんの1時間ほども行けばそこはもうアルプスのふもと。氷河によって造られた湖がここに連なっています。35年前に初めてミラノを訪れたときも、同じように湖水地方へでかけて、いろいろ
トリノでの第2日目。午前中だけの滞在でしたが、ゆっくりと市内散策を楽しみました。最初に目指したのは、市内のランドマーク、モーレ・アントネリアーナ。地上121メートルの高さで、20世紀以前の建築としてはエッフェル塔、ワシントン記念塔に次いで3
楽しかったヴェネツィアを後に、トリノへ向かいます。出発はヴェネツィア本島に乗り入れた鉄道(FS=トレニタリア)のターミナル駅・サンタ・ルチア駅から都市間特区(IC)に乗ります。あの長い鉄橋を渡るのは、独特の高揚感があるのですが、到着の時のよ
河村尚子のベートーヴェン:ピアノ・ソナタ・プロジェクトの第3回。いよいよ、孤高のベートーヴェン後期作品への扉が開いた。ベートーヴェンは、常に新しいものを目指して実験的な作品を世に問い続けた。新しい音楽の形やあり方を追求し、新たな可能性に挑戦
翌日は、美しい木造アーチのアカデミア橋をわたってアートスポットの集中するドルソドゥーロを散策しました。橋を渡ってすぐのアカデミア美術館は、ヴェネツィア派絵画の宝庫で、見尽くそうにも見尽くすことができないほどの絵画がいっぱいです。サン・マルコ
早い桜の開花があった東京を後にして、イタリアへと旅立ちました。イタリアは、むしろ東京よりも寒いくらいですが、10数時間かけてやっとたどり着いたヴェネツィア近くのマルコポーロ空港は冷たい風雨が吹きすさぶ夜の嵐。びしょびしょに濡れながら空港から
2本立て(ダブル・ビル)というのは、モーションピクチャー全盛時代にはよくあった。比較的短めの映画を2本連続して上映する。野球でいえばダブルヘッダーだが、こちらも今はなくなってしまった。バレエ公演などではダブルとかトリプルとかが多いけれど、グ
青空の下、外堀の土手の桜は満開なのに寒の戻りで風の冷たい日でした。今年の東京は、早めの開花でしたが、花冷えのおかげで花の持ちがよくて、この日も土手は若い人や外国人も多く散策していてにぎやか。この日の紀尾井ホール室内管のテーマは、指揮者のホー
浜離宮朝日ホールには何度も通っていますが、こんなに音がよいホールだったのかとちょっと大発見。すばらしい音響を肌で感じながらの、高木綾子さんのフルートの音色と息づかいに幸福な気持ちと感動をもらいました。最近は、ネットでのチケット購入であっても
新国立劇場には、座席数1000席ほどの中劇場があることをご存知ですか。いろいろな舞台公演にも対応できる柔軟な構造と設備を備えた中規模の劇場で、額縁型のプロセニウム型と舞台面を客席にせり出したオープン型のどちらにも対応できて、しかも、舞台前には床
昨年(2018年)、死去した津本陽が本書で1978年に第79回直木賞を受賞、文字通り出世作となった作品。著者は、和歌山市出身。その地元である紀伊半島南部太地湾は慶長年間から鯨漁で栄えたが、明治11年年末に起きた"大背美流れ"と呼ばれた大規模な遭難と、
イブラギモヴァといえば、震災の年に所沢で聴いたバッハの無伴奏が忘れられません。会場は針を落とせば聞こえるかという極限までに静まりかえり、その漆黒の静寂の闇のなかで、まるで真っ白な羽毛が宙に浮遊し舞うかのように美しい音楽でした。彼女たちのリサ
新国立劇場の新作オペラ『紫苑物語』(作曲:西村 朗)の初演・開幕に行ってきた。日本人作曲家による新作オペラの上演は、新たに芸術監督に就任した大野和士の執念のようなものだったらしい。そのことにふさわしい大作オペラの誕生だった。『紫苑物語』は石
先日、NHKBSの早朝に放送されている「クラシック倶楽部」をのぞいたら(ビデオ再生ですが)、ジャン・ロンドーという若いチェンバロ奏者のリサイタル収録が放送されていました。ジャン・ロンドーは、1991年パリ生まれで、パリ国立高等音楽院でチェンバロ
ピアニストのアリス・紗良・オットが難病の多発性硬化症と診断されたことを明らかにしたという。水泳の池江璃花子の白血病と相次ぐショッキングなニュースだ。実は、つい最近、オットのコンサートのライブ録音を聴いて、改めてこのピアニストをもっとフォロー
東京の空に雪の舞う寒い一日でしたが、トップクラスのオールスター弦楽器軍団の魅力たっぷり、新しい境地を楽しませる紀尾井ホール室内管弦楽団の定期演奏会でした。テーマを〈アポロンに寄せて〉と題しての、この日の演奏会はすべて弦楽器だけの室内オーケス
ピアニストにしてエッセイスト、そして、無類のドビュッシー・マニアである青柳いづみこの連作エッセイ。その出発点は、著者自身がドビュッシー未完のオペラ『アッシャー家の崩壊』のコンサート形式での上演。伴奏は著者自身ともうひとりの若いピアニストによ
ここのところ青柳いづみこさんのドビュッシー本にはまっていて、そこからドビュッシーのヴァイオリン・ソナタばかりを聴いています。この曲は、いわば"B面"の曲。私は、この曲をお目当てにレコードやCDを買った憶えがなく、しかも、私は、レコード、CDは
ベルチャSQを聴いたのは、もう10年近く前のこと。その真摯で厳しいたたずまいの音楽に清新な風を聴いたというのがその時の感想で、ちょうどアルバン・ベルクSQが解散した直後でもあり、それを引き継ぐ世界トップのクァルテットであることを確信し、むし