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2023年05月15日06:01

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ある新聞記者の告白

一冊の本を紹介したい。
書名は「西山太吉 最後の告白」(集英社新書)である。

毎日新聞の元記者、西山太吉と評論家、佐高信の対談形式で、
テーマは、「沖縄返還密約」だ。

沖縄返還密約とは、
1972年の沖縄返還を巡る政府の密約文書を
西山記者がスクープした事件である。

政府は、密約の存在をいっさい否定し、
西山記者が外務省の女性事務官と情を通じて、
文書を手に入れたとして、国家公務員法違反の容疑で、
記者と事務官を逮捕するに至った。

二人は裁判で、いずれも有罪となった。

2000年になって、
米政府が返還に関する公文書が公開し、
密約の存在が明らかになったのだが、
日本政府は、それでも密約を認めてはいない。

西山記者は、政府の嘘によって有罪とされたとして
名誉回復の裁判を起こすも最高裁で棄却された。

この本によると密約には大きく二つの柱があり、
�(峇埔魴錣箸靴堂�縄の米軍基地の自由使用を認めること
��日本政府が駐留米軍の費用を負担すること
だった。

この費用負担については、米軍が負担すべき400万ドルを
日本政府が肩代わりするという密約があり、
西山記者がスクープしたのはこの部分だった。

密約の最大の問題点は、一本目の柱である沖縄基地の自由使用によって、
沖縄から米軍基地が無くなることがないという事実だ。
県民がどんなに反対しようとも、反対する知事を選挙で選ぼうとも
仮に県民投票しようとも、沖縄から米軍基地が無くなることはない。

民主党政権時代の鳩山内閣が
最低でも普天間基地の県外移設を表明した後、
移設を早々と撤回し、顰蹙を買った背景もここにある。

さらに、普天間基地の辺野古移設も、
この密約が前提になっているので、建設が中止されることはない。

つまり、沖縄は事実上、返還されていないまま
いまに至っているといえる。

日本主権は沖縄に関する限り存在していないのと同じである。
これが「西山太吉 最後の告白」のすべてといっても過言ではない。

本書の中では、自民党の隠蔽体質、文書改竄などの手法は
沖縄密約から引き継がれたと、何度も糾弾するとともに
現在の新聞社の腰砕け報道を慨嘆する西山太吉の苦言が
繰り返されている。

西山太吉は、本書が出版されたほぼ2か月後の
今年の2月24日に死去している。

享年90歳。

気骨のある新聞記者であった。

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