インバウンドも増え、大盛況の観光業界だが、
ホテルの備品を持ち去る人が増えて、
ホテル側が対策に苦慮している、
という話がネットに紹介されていた。
もう大昔の昭和39年頃、私はホテルマンとして
フロント業務に就いてた。
北海道札幌にオープンしたばかりの大型ホテルで、
そこに某自動車メーカーのディーラーの団体が宿泊した。
2泊3日で、ホテルはほとんど貸し切りだった。
会議も宴会も無事に終了し、朝の勤務に就いていた私は、
フロントで団体客がチェックアウトするのを見送った。
すべての客がチェックアウトすると各フロアのルーム係が
ルームチェックをして、その報告をフロントに連絡してくる事になっていた。
フロントカウンターの下に置かれている電話には、
各ルームからの報告が順次入ってくる。
私が電話を取ると「お部屋になにもありません」という連絡だった。
「異常なしですね」と私が答えると、「部屋に何もありません」と
繰り返しさらに「本当にベッド以外なにもないんです」
それから大騒ぎになって、保安係が部屋をチェックすると、
ベッドカバー、毛布、デスク用の電気スタンド、テレビ(ブラウン管式)、
スリッパ、ハンガー、ねまき、バスルームのタオル、足ふき
とにかくすべてが持ち去られていた。
泊まっていたのは二人で、どうも二日間で持ち出し、
自分の車に積み込んでいたようだ。
ホテルから車メーカーに連絡を入れたところ、
「責任を持って弁償します」ということで決着した。
こんな強者は、後にも先にもこれ1回だったが、
宿泊客がタオルとかスリッパなどの小物を
持ち去るのは、日常茶飯のことだった。
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