今から40年以上前になる1980年代に
私は金融関係の不動産企業と関わり
マンション販売の広告制作を請け負っていた。
何十棟もの物件広告戦略に携わったが、
1988年頃から強い違和感を抱くようになった。
それは、不動産バブルの投機対象となった
マンションの価格急騰であった。
あるとき千葉県の新規物件の現場で、
「この物件の値付けはいくらだと思う?」と、販売担当者から聞かれ
「4500万円くらいですか」と答えたところ
「1億円ですでに予約が入っている。投機だよ」と
いわれた。
私は人の住まいが金融緩和の金余りで
投機対象になっている異常な現実を目の当たりにして、
その翌年早々に、マンション物件広告の仕事に
一切関わらないことにしようと決断した。
果たして、1989年年末、不動産バブルが弾け飛び、
マンション開発会社の倒産、不良債権を抱えた銀行の破綻と、
さらに銀行の統合が行われた。
マンション広告を引受けていた広告代理店、制作プロダクションも
バタバタと倒産したが、私はまったく被害を受けることがなかった。
金本位ならぬ土地本位の日本経済は、
不動産バブルの崩壊で、失われた30年がいまも続いている。
そして再び、アベノミクスによる異次元の金融緩和で、
都心マンションが高騰しているという。
その理由は富裕層のあまった資金が
マンション投機に回されているからだ。
住宅とは人が住んでなんぼのものである。
住空間が金融投機対象になること自体が異常である。
日銀が金融引き締めをすれば、
1990年のバブル崩壊の再来となるので、
当面は金融緩和が続くだろう。
とても健全とは思えない金融政策を
このまま続けたら、と思うと背筋が寒くなる。
異常なことに対して自分は大丈夫だと、
正常のバイアスが働く怖さを忘れてはならない。
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