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日記一覧

読んだのは紙が茶色くなった文庫本だが、単行本が出たのは1969(昭和44)年。今から53年前である。多くの章が前年大晦日の第19回紅白歌合戦(総合司会・宮田輝、坂本九が白組、水前寺清子が紅組のリーダー)の各出演者が出た場面を話の枕にして、蘊蓄を傾ける

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アメリカの福音派とは
2022年05月26日07:50

橋爪大三郎『いまさら聞けないキリスト教のおバカ質問』にあった、アメリカの福音派やトランプ支持層をめぐる指摘。<アメリカで、キリスト教の信仰はじり貧をたどっています。都市部の若い人びとは、教会にあまり行きません。その昔の学生反乱やヒッピーやカ

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「総力戦体制」のその他
2022年05月24日13:03

「総力戦体制史観」から漏れた巨大な世界が、ソ連と中国とアジア・アフリカ・中南米。スターリン時代と重なる戦間期・戦中のソ連はどうだったのか? 辛亥革命後の中国は民国、日中戦争、国共内戦から共産党の勝利・・・

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山之内靖(1933〜2014年)著『総力戦体制』(ちくま学芸文庫、2015年1月第一刷)を読んだ。本文庫版のために、新たに編集されたもの。戦後の主流だったマルクス、ウェーバーを拠り所にした「反ファシズム・市民社会派」史観に代わり、皇国日本もナチスドイツ

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国策として原子力発電に取り組むべきと、中曽根康弘が1954年に日本で最初に提唱したが、そこにあったのは経済的関心でなく、「大国主義ナショナリズム」だった。戦前に巨大戦艦を保有することが「一等国」の条件と見られていたのと同様に、核兵器が誕生した戦

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近代科学技術の輸入と発展、特に電信網と鉄道路線の敷設は、国民統合と国内市場統一の推進にとどまらず、日本のアジア侵略に大きな役割を果たした。初期の電信線架設工事に携わった工部大学校の外国人教師ダイヤ―は、1877年の西南戦争で電信線の敷設と活用が

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ここで言う転換とは、「反ファシズム史観から総力戦体制論へ」の転換。『近代日本一五〇年』の山本義隆もこの立場に立つといえる。 支配的だった「日中戦争とアジア・太平洋戦争が1945年、日本の敗北で終結するとともに、日清戦争の勝利で台湾を植民地として

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戦争遂行のための総力戦体制は、研究活動や生産活動、経済機構に能率化・効率化を求めたが、国民を人的資源として物的資源と同レベルに扱い、社会全体の合理的編成替えをも必要とし、ナチスドイツと同様に日本でも「社会革命」を担った。例えば、その一環とし

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山本義隆『近代日本150年』における重要な主張の一つが、戦前から戦時中の総力戦体制を経て戦後に至る「政府と産業界の結びつき」において戦前・戦後が一貫していることである。 戦後の復興も高度成長も、総力戦の過程でもたらされた日本社会の構造的変化

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山本義隆『近代日本一五〇年』(岩波新書、2018年1月)を読んだ。 内容は、副題の「科学技術総力戦体制の破綻」が集約し、さらに絞り込むと帯の「黒船から福島まで」となる。明治維新以来の近代史が「科学と技術」を軸に、これとの関連で政治(政府)、軍事

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白川静の限界
2022年05月05日11:11

まだ僕は表題の内容を書けるほど白川静を読んでいないが、やはりその学説の位置づけが気になるので、落合淳史『漢字の成り立ち 「説文解字」から最先端の研究まで』(2014年初版)の第一章と白川静批判の箇所を読んでみた。 著者の落合氏は1974年生まれで、

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最近読んだ本1白石静『孔子伝』(中公文庫;1972年に単行本)2藤堂明保『漢字の起源』(中公文庫;1966年に単行本)3白石静『漢字』(岩波新書、1970年)1の『孔子伝』は今までに読んだ孔子関係の本で一番インパクトを受けた(能楽師の安田登氏が『論語』

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