霞信彦『軍法会議のない「軍隊」』(慶應義塾大学出版会)という本を読んだ。きっかけは新聞の読書欄の片隅の小さな書評記事だが、気になって求めた。軍法会議とは、軍隊内の裁判制度。世界中のどの国でも、近代的軍隊には、その内部に一般社会の司法制度とは
25日の朝日・論壇時評で小熊英二が重要な指摘を行っている。日本で現実に施行されている政策が、あるべき福祉とは逆指向になっているというのだ。その結果、近年の意識調査で「高福祉高負担」を支持するのは高所得層に多く、低所得層に少なくなっているという
東浩紀『観光客の哲学』を読んだ。その最終章は、21世紀の現在の「世界論・存在論としてのテロリスト論」だが、論考で援用されるのは19世紀のドストエフスキーだ。印象的な箇所を引いてみる。<なぜドストエフスキーなのか。それはいまがテロの時代だからであ
相撲協会の横綱審議委員会が、白鵬の相撲の取り口で近ごろ連日のように見られた「張り手」と「かち上げ」を「横綱にふさわしくない」「美しくない」「見たくない」と厳しく批判した。全国の相撲好き、大相撲ファンの多くも同感だったと思われる(少なくとも僕
1月7日付「朝日新聞グローブ」にあったインタビュー記事で、生物地理学者ジャレド・ダイアモンドが言っていることにハッとした。<日本人は人口減を気にしすぎる。現代文明が危機にひんし、食糧や資源の確保がむずかしくなる状況下では、人口増より人口減の方