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2022年05月18日07:16

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原子力開発の政治的意味:近代日本150年その6

国策として原子力発電に取り組むべきと、中曽根康弘が1954年に日本で最初に提唱したが、そこにあったのは経済的関心でなく、「大国主義ナショナリズム」だった。戦前に巨大戦艦を保有することが「一等国」の条件と見られていたのと同様に、核兵器が誕生した戦後世界では、日本が帝国主義列強クラブのメンバーに返り咲くための有効な手段が原子力と考えられていた。

原爆を作るためには、「天然ウランから濃縮ウランを作り出すか、使用済み核燃料の再処理によりプルトニウム239を抽出するか」しかない。特に再処理で抽出されたプルトニウムは純度が高く、これから原爆(プルトニウム爆弾)を作るのは比較的容易とされる。実際、インドは民生用原子炉の使用済み核燃料から抽出されたプルトニウムから原爆を作りあげた。増殖炉で得られるプルトニウムも高純度で、すぐれた原爆材料になる。その意味で核燃料再処理によるプルトニウム抽出と増殖炉建設は、原爆製造に直結する機微(センシティブ)技術と言われる。そのため、直接の目的が民生用でも、再処理やウラン濃縮のための施設や増殖炉の建設は、核武装に向けた潜在力を高める。
 このことを明言したのが岸信介。これが、日本が技術的にも困難で超多額の費用を要する核燃料再処理と増殖炉建設に固執し続けた裏の理由であり、外務省の非公式組織による外交政策大綱や元幹部の談話で正直に明言されている。

こうした意図を受けて、1955年制定の原子力基本法に対し、2012年の改正で条文に「並びに我が国の安全保障に資することを目的として」の文言が加えられた。
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