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2022年05月16日07:47

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歴史観の転換:近代日本150年その4

ここで言う転換とは、「反ファシズム史観から総力戦体制論へ」の転換。『近代日本一五〇年』の山本義隆もこの立場に立つといえる。
 支配的だった「日中戦争とアジア・太平洋戦争が1945年、日本の敗北で終結するとともに、日清戦争の勝利で台湾を植民地として手に入れた帝国日本が崩壊。それに続く米軍による占領と非軍事化政策で、日本は天皇制ファシズムの国家から主権在民の民主国家へ生まれ変わった」との見方は、歴史研究者の間では過去のものになったのだろうと、素人ながら僕も思う。
 山本義隆も「しかしソビエト連邦が崩壊した1990年代になって、第二次大戦とその後の歴史について、その機軸をファシズムにたいする民主主義の勝利とする歴史観にかわり、総力戦体制による社会の構造的変動とその戦後への継承と見る歴史観が、ポツポツと語られ始めた」とし、その例として山之内靖やジョン・ダワー、野口悠紀雄を挙げている。
 僕は山本義隆のこの本まで山之内靖(1933年〜2014年)を知らなかったが、Wikipediaによると、専門は現代社会理論、歴史社会学。

このあたりを読み、浮かんだのが、ファシズムについてしばらく前に読んだ
〇吉見義明『草の根のファシズム』(1987年初版)と
〇佐藤卓己『ファシスト的公共性』(2018年初版)で、対照的だった。
――前者にはどこにも「ファシズムとは何か?」の説明がなく、ファシズムは単なる罵倒語になっている。吉見氏は1946年生まれ。執筆当時も、在籍していた頃の東大国史学科の精神風土にいた、と推察する。一方の1960年生まれの佐藤氏の専門はメディア史、大衆文化論。この2人からだけで一般化するのは危ういかもしれないが、国史学科や歴史学科にいると支配的なイデオロギーに染まりやすいかもしれない。

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