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2017年12月28日13:48

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マイベストCDs 2017

2017 今年のマイベストCDs2017です。

…とは言ったものの…

実は、取り上げる5つのソフトのうち3つまでが、CDではなくて、ダウンロードしたファイル音源ということになってしまいました。

それは、今年、2月にGRANDISO K1を導入したことと分けては語れません。K1の内蔵DACを使用してK1がコントロールセンターのように使えるようになったことから、HDDプレーヤーのSONY HAP-Z1ESによるファイル再生で音楽鑑賞をする時間がいっきに増加したことによります。

また、クラシック系の配信ソフトもここに来て急速に充実してきました。メジャーレーベルによる新譜ソフトが積極的にリリースされるようになってきました。これまでは、ハイレゾフォーマットによる優秀録音といっても、マイナーなレーベルによるいかにもオーディオデモ的なソフトやいささか本道から外れた音楽や演奏に限られていました。あるいはメジャーレーベルであっても配信会社のハイレゾのプロモーション的なリマスターものの再版ばかりだったので、あまり購買意欲をそそるようなものがなかったのです。


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1,シューベルト: ピアノ・ソナタ 第20番&第21番 クリスチャン・ツィメルマン

ツィメルマンの25年振りの新録音。

ツィメルマンは、中越地震の復興を祈念したコンサートを柏崎市で行い、柏崎市に義援金を寄付。その時に、復興のシンボルとして建設される新しいホールでのコンサートを約します。そして、その約束が2015年11月に実現します。その音響の素晴らしさに感動したツィメルマンは、新しい録音をここで行うことを切望し、柏崎市とホールの全面的な協力を得てこの録音が実現したというのです。

その実演を、私は水戸市芸術会館で聴いたのですが、60歳を迎えようとするツィメルマンの新境地とも言うべき素晴らしい演奏。学生時代に弾いたというシューベルトのごく若い時期の小品とその最晩年の傑作ソナタ2曲。そして、アンコールでは、直前に亡くなったブーレーズを偲ぶシマノフスキーに深い感銘を受けました。この時、このレコーディングが同時並行で進められていたのです。

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2.幻想ポロネーズ、舟歌 〜ショパン後期作品集 マウリツィオ・ポリーニ

ショパンの再録を進めているポリーニが、作品59〜64と番号順にショパン珠玉の作品をとりとめもなく並べているように弾いていますが、実は、この作品群はショパン最晩年の1845年以降に作曲された曲ばかり。かつて輝くばかりの技巧と透明で粒だった音色を誇ったポリーニ自身も老いていくばかりですが、そういう技巧の衰えのようなものを穏やかに受け入れた心の奥底から静かに歌い上げるようなショパン。終生こだわり続けた録音会場であるミュンヘン・ヘラクレスザールの豊かな響きが、そういう晩年の心境のようなものを慈しむように包んでいます。来年には、ミラノでポリーニのやはりショパンを聴く予定にしています。ポリーニを聴くのは久しぶりのことで楽しみです。

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3.京都リサイタル2016『ショパン・リサイタル』 イリーナ・メジューエワ

つい先月に、メジューエワのリサイタルを聴いたばかり。GRFさんのご厚意でその素晴らしい演奏を聴く機会に恵まれましたが、そのとてつもない感動を最もよく伝えてくれる録音ということでも取り上げておきたいCDです。

ライブ録音というハンディにもかかわらず、ピアノのソノリティが素晴らしく見事に捉えられていて、面前に現出する実物大のピアノに思わず息を呑みます。特に低域の響きがさながら大伽藍の鐘のように深くリアルに響くのは録音の優秀さというだけではなく、ここで使用されたニューヨークスタインウェイのビンテージピアノのおかげなのだと思います。私が東京文化会館小ホールで聴いたのが、まさにこの楽器だったというわけです。ロシアピアニズムの神髄を伝えるメジューエワのタッチと、ビンテージの名器の音色が見事に再現されます。

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4..シューベルト:ヴァイオリン作品集 イザベル・ファウスト(Vn) / アレクサンドル・メルニコフ(Pf)

2004年の録音と古いCDですが、パグ太郎さん宅で聴いてすっかり気に入って購入したもの。シューベルトの「幻想曲」は、とても好きな曲ですが、シモン・ゴールドベルクとラド・ルプーのシューベルト集のLPしか持っておらず、ぼんやりとCDの決定盤のようなものを待望していたところでの出会いでした。

曲の方からそれにふさわしいヴァイオリニストを想起させる、指名するというようなところがないのですが、確かにファウストのように才気走ったところを感じさせず純朴といってもよいほどの素朴さと古風にさえ聞こえるような自然な奏法がこの曲にふさわしいのだと思います。

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あわせて買い求めたのが、今年の夏に訪問したfukuさんのところで聴かせていただいた同じ顔合わせのブラームス。残念ながら音のよいSACDは入手できませんでしたが、我が家ではCDでもそれなりに鳴ってくれて比較しなければ気になりません。ご紹介しておきたいのは、ファウストの弾くストラディバリウス「スリーピングビューティ」の音色。ブラームスの録音は2015年の録音で、シューベルトとは10年の隔たりがありますが、150年の眠りから目を覚ました「スリーピングビューティ」がいまだエージング期間中で、同じ楽器、同じ演奏者でありながらほのかにその違いがあることを確かに感じさせてくれます。メルニコフが1875年製のベーゼンドルファーのビンテージ名器を弾いていることも聴きどころです。

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5.Turn Up The Quiet ダイアナ・クラール

おそらく、今年もっとも活躍したソフトです。拙宅でのオフ会でも定番になりましたし、自分としても機器のウォームアップやその仕上がりを確認するために最初にリプレイするソフトとしてもよく聴いています。よくかけるのは9トラック: 月とてもなく / No Moon At Allですが、他のお宅のオフ会でもよくかかるのでこれは半ば定点観測ソフトのようになっています。そうやってオーディオ耳で聴き出して、いつの間にか音楽に没入してしまって全トラック通しで聴いてしまうということもしばしばです。



こうやってみるとピアノの曲ばかりが並んでしまいました。そのことは、私がピアノ好きということもありますが、やはりK1を導入したことがあるようです。もともとはDACを導入することが第一の動機だったのですが、いざ導入してみるとCDトランスポートとしての安定性とその正確な再生音にも凄味のようなものも感じさせてくれます。そういうところが、特にピアノ録音ではよく現れるのです。ダイアナ・クラールも、ボーカルの他はシンプルなバックとなっているので、やはりピアノとベースというところでK1のDACの優秀さと堅牢な筐体が活きてきます。今年のベストCDにはやはりK1の影が色濃く反映しているようです。
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