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2023年04月26日00:38

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妾と愛人のフェミニズム(その2)

石島亜由美著『妾と愛人のフェミニズム 近・現代の一夫一婦制の裏面史』のうち、「愛人」をめぐる議論は、対象が百年以上に及ぶから単純化するのが難しい。そこで、最後の第4章「戦後の愛人――働く女性、性的存在、不道徳な存在」(副題が要約になっている)から、二つの話題を引いてみる。

一つ目が「ポストフェミニズム」。僕はこの本で初めて知ったが、著者は「男女平等はすでに達成されフェミニズムはもはや必要なくなったという考えを生みだす社会の空気といっていいだろう。」としている。僕自身はそんな空気を承知していなかったが、著者が言うのだから、社会の一部にはあるらしい。

この引用のすぐ後に「この事態をフェミニズムは懸念する。」とあり、著者は「『輝く女性』などと呼ばれるようなエリートも出現し、そのような女性たちが男性の組織に入り、彼らとうまく共生していくことで、問題の本質がみえにくくなっているのである。」とする。――僕には自民党選出の女性国会議員たち浮かんでくる。国会議員にまでならなくとも、仕事での成功も、結婚や子どもも、欲しかったものを全て手中にしている女性たちにとって、世の中はポストフェミニズム的状況にあるのかもしれない。

もう一つが、恋愛をめぐる「主婦と愛人の逆転」である。大正から戦前まで、「性・愛・結婚一致のロマンチックイデオロギーの主役として、恋愛→結婚を遂行するのは愛人だった。しかし、戦後に恋愛結婚が大衆化したことで、恋愛と結婚の役割は妻へと移行する。(中略)妻には恋愛と結婚という表舞台が用意され、愛人には性の暗部が残される…」という構造ができ上がった。
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