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2024年03月11日01:38

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「光る君へ」と映画「追憶」

今年のNHK大河ドラマと、1973年のアメリカ映画(バーブラ・ストライサンド(以下バーブラ)、ロバート・レッドフォード主演)。両作品を結びつけるのは、脚本家・大石静である。花山天皇を無理やり出家、退位させる陰謀シーンの直前は、まひろ(紫式部)と藤原道長のラブシーンだった。このラブシーンを見ながら、大河ドラマの紫式部と映画「追憶」のバーブラ演じるヒロインが重なったのだ。

「一緒に逃げて二人で暮らそう」と誘う道長に対し、式部はそうなれば幸せだと思うが、きっぱりと拒絶する。「あなたは偉くなって、国のため人々のために働くべき。私はそういうあなたをずっと見ていたい」のだと。映画「追憶」では、男はWASPで良家の出身で金持ち、ハンサムでスポーツ万能だが、ノンポリで日和見的。女はユダヤ系移民の出身で、世界や社会に関心が深く、思想的には左翼で活動家で過激だが、ハンサムな男に憧れている。男は自分にはない特徴・長所を持つ彼女に興味がある。藤原道長ほど、国家権力のトップに近い立場にはないが。

「追憶」に興味を持ってAmazonで見たのは、大石静が映画監督で映画評論家の馬場康夫との対談動画で、「映画この一本」として挙げていたから。大石に言われて、僕もそう思ったが、この映画は、恋愛映画にしては珍しく、「男女が『思想』によって惹かれ合い、愛し合うが、またその思想ゆえに別れる」。そして、男ではなく、女の方が世界や社会に強い関心を持って生きている。

「光る君へ」でも、道長よりも紫式部の方が知的に優秀で、世界や社会に関心を持ち世の中のことを考えている。――このことは他の研究者もそうかもしれないが、「光る君へ」の時代考証の監修者である、平安時代史研究の第一人者らしい倉本一宏も示唆している。――大石静は、倉本氏などの本から得た知識で、あるいは直接レクチャーを受けて、知識人・紫式部のイメージを構想したのではないか。その際、映画「追憶」が脳裏にリフレーンしたことだろう。
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