宮本常一はバードの紀行文の読書会を1974〜79年に行った。高度経済成長が終わったその頃はもう今から40年も前だが、高度成長以前の日本とさまざまな面で断絶があるのに対して、現在まで地続きの感がある。
その頃は既に「日本女性は若く見える」というのが常識になっていて、宮本は「バードが50歳くらいに見える宿の奥さんに年齢を尋ねたら、22歳だと答えた」ことにハッとしている。数えで22歳は満なら21歳か20歳! 宮本自身はバードの経験との落差について考察していないが、明らかに経済の高度成長が日本列島の隅々にまで波及した結果だろう。
宮本は、バードが「アイヌは帯にナイフを付けている」と書いている引用のついでに、「昔の絵巻物を見ると、坊さんまで腰に小刀を差している」ことを取り上げ、これは「旅で何かを食べる時に使ったもの」だとしている。そして、この食事用の小刀が様式化して残ったのが「武士の脇差」だろうという。果たして、そうなのか? 他の学者の考えが知りたい。
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