「朝獲れ」の魚

先日、テレビで、その日の朝、九州で獲れた魚を提供する東京の居酒屋が紹介されていた。

○○水産だったか、居酒屋チェーンを展開するある会社は、九州宮崎の漁港から沖に出る漁船に社員を乗り込ませ、朝獲れた魚を、市場を介さず直で東京に空輸し、夜には店で「朝獲れ（あさどれ）」のお勧めメニューとして提供しているという。

また、別の会社は、同じく九州長崎の五島列島だったかの漁港から出る漁船に撮影機材を搭載し、魚を獲る動画をインターネットを通じて配信し、その魚をネット通販しているという。

――上記の、毎晩、「朝獲れ」の魚を出す居酒屋のことを思い出して、同僚や友人に話しているうちに、自分自身のことを思い出した。

僕自身、ふるさと徳島にいた１８歳までは、毎日、その日の朝に獲れた魚を食べていた！ 毎日、同じおばさんが乳母車みたいな木の車を押して、売りに来ていたのだ。実家では、一年中、毎日、朝獲れた魚を買い、煮たり焼いたりして食べていたのだった。

今はもう、あのおばさんの娘や孫は跡を継いではいないかもしれない。しかし、そんな、その日の朝獲れた魚を行商することは、まだまだ全国津々浦々に残っているのではないか。