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2023年04月10日07:50

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永井荷風、ザビエル、ザ・タイガース

読みかけ、積ん読は措いて、この間に読了した本を挙げると、
1永井荷風『濹東綺譚』(最初の字は手元の岩波文庫で「濹」となっているが、通常の「墨」と書かれることも)
2同『つゆのあとさき』(岩波文庫)
3沖浦和光『宣教師ザビエルと被差別民』(筑摩書房、2016年12月初版第一刷)
4磯前順一『ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた』(集英社新書、2013年11月第一刷)

1と2の荷風を読んだのは、3の沖浦氏の影響。日本文学史では、同氏は鶴谷南北と荷風を評価している。沖浦氏は初め中野好夫が教授だった頃の東大英文科に学ぶが、全学連の創立メンバーでもあった。その後は独学で日本とアジアの歴史や民俗、中でも各地の被差別の民の歴史と実態を追究した。その中でフランシスコ・ザビエルと出会う。ザビエルは、日本史上の宗教者の誰よりも社会から見捨てられた弱者たちに寄り添い、救済に努めたとみて、沖浦氏はその最晩年にザビエルの軌跡を、インドやインドネシアの離島にまで探査して追究した。

4の磯前氏(1961年 〜)は、日本の宗教学者。国際日本文化研究センター研究部教授。新刊の「シリーズ宗教と差別」(法蔵館、第3巻『差別の地域史』を入手)の編者に名を連ね、分厚そうな宗教関連の学術書が並ぶ著作リストの中で、異色の4『ザ・タイガース』を読んでみた。タイトルの通り、日本の音楽・大衆文化史上に重要な位置を占めるこのグループの結成前史から解散までを、膨大な資料・史料を踏まえて描ききった。
 ただ生まれたのが1961年だから、この「タイガースの時代」に著者は幼稚園から小学校の半ばだが、著者がなぜタイガースを描くのか、その動機や思いは書かれていない。国立の研究機関に勤める学者の研究書らしいのかもしれないが、沖浦氏の学問がその人生から湧き出る思いの発露でもあり、人生とないまぜになっているのに比べると、その欠如が物足りない。
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