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日記一覧

 物に拘りのない人の人生は面白くない。物に拘るというのは、何も物が捨てられないとか、物を集めるとか、高級な物を買うとか、そうしたことばかりではない。いや、むしろ、物の拘りとして、捨てられないとか、集めるとか、そうしたことは、たいした拘りでは

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 活字離れ、と、最近の日本人のことを言う人に対して、インターネットなどの普及でむしろ、最近の日本人のほうが、より活字に親しむようになっているのだ、と、そんな意見を言う人がいる。愚かな発想なのだ。 では、こうした喩えで考えよう。 たとえば、現

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 二十四時間、二十四話、意外と大きな仕事になった。苦しい仕事になった。何が苦しいといって、この時間の話なら、これではなくあれだ。いや、あれではなく、彼のことだ、彼女とのあれも確かこの時間だった、と、思い出され、その内から一つに決めなければな

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午前六時のエロ本屋
2018年12月28日01:17

 午前六時も筆者はエロ本屋だった。 エロ本屋といえば、夜は眠れないような連中ばかりだったから、朝の早い撮影は苦手な者が多かった。しかし、筆者は好きだった。朝の六時に一人でいたくなかったからだ。 部屋にこもって一人で仕事をしていると、ちょうど

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午前五時のエロ本屋
2018年12月27日00:45

 午前五時も筆者はエロ本屋だった。 新宿の朝五時は面白かった。周囲の明るさが人工的なものから太陽のそれに代わりはじめる。早起きの人と徹夜の人が道ですれ違う。カラスは地上に降り、星よりも確かで美しいところの灯が消える。仕事に向かう人や仕事をす

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午前四時のエロ本屋
2018年12月26日01:35

 午前四時も筆者はエロ本屋だった。 徹夜での撮影はいつも大がかりだった。モデルを二人、三人入れ込んで、三本、四本分の撮影をしてしまうのだ。貸別荘や旅館を借り切ることもあった。四本分の撮影が出来れば、それでも経費が出たからだ。もちろん、撮影は

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午前三時のエロ本屋
2018年12月25日02:50

 午前三時も筆者はエロ本屋だった。 都内のシティホテルでこっそりと行わるSМクラブ主催の秘密パーティは、たいてい午前零時に終了となった。まずは、単独で参加している男たちが帰される。その後、カップルたちが帰ることになるのだが、こちらは車で来て

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午前二時のエロ本屋
2018年12月24日00:23

 午前二時も筆者はエロ本屋だった。 あの頃。あの頃とは今から四十年前とは言わないがそれに近いぐらい前のことだと思う。SМ雑誌は、まだ、小説中心で、いくつかのビニールに入ったミニ写真集、いわゆる「ビニ本」と呼ばれるものの中に、少しSМがあった

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午前一時のエロ本屋
2018年12月23日01:07

 午前一時も筆者はエロ本屋だった。「入れたいなら、シャワー浴びて来ていいよ。勝手知ったるでしょ」 午前一時。この時間に筆者はしばしばSМクラブのママとお酒を飲んでいた。当然だが、たいていは飲み屋にいる。このぐらいの時間から飲んで始発で帰るの

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午前零時のエロ本屋
2018年12月22日16:06

 午前零時も筆者はエロ本屋だった。 まだ、携帯電話さえ持っていなかった頃。地方の風俗取材は、たいてい午前零時までには終わった。面白いことに、オカルト雑誌のようなメジャー雑誌のほうが、エロ本よりも、少しばかりおおらかだった。つまり、地方のオカ

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午後十一時のエロ本屋
2018年12月21日01:03

 午後十一時も筆者はエロ本屋だった。 SМパーティの取材に呼ばれるのが嫌だった。パーティ取材には良いことがないのだ。そもそも、他人の楽しみに無関係な人間が加わるのが難しい。М女を中心とした緊縛会のようなものなら、まだ、少しはいい。邪魔になら

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午後十時のエロ本屋
2018年12月20日16:19

 午後十時も筆者はエロ本屋だった。 午後十時の新宿の飲み屋。そこを筆者たちは学び舎と呼んでいた。ゴールデン街は当時、各業界の人たちが集まる場所だった。演劇、出版、政治。おかしなもので、そこではエロ本屋は差別されていなかった。エロ本屋だと分か

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午後九時のエロ本屋
2018年12月19日01:25

 午後九時も筆者はエロ本屋だった。 仕事が何もなければ、午後九時には居酒屋にいた。相手はマニア系雑誌やマニア系ビデオのモデルか風俗嬢だった。これだけを書くなら、優雅な暮らしに読める。仕事がない夜には優雅に若い女の子と遊んでいるのだ。 しかし

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午後八時のエロ本屋
2018年12月18日16:14

 午後八時も筆者はエロ本屋だった。 たいていの取材は八時まで終わらせる。そこからは風俗店は稼ぎ時となるからだ。そして、都内での撮影は八時には解散していることが多い。しかし、十時、十一時には秘密パーティやスワップ系の取材が入ることがある。また

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午後七時のエロ本屋
2018年12月17日00:26

 午後七時も筆者はエロ本屋だった。 午前十時の集合で都内のラブホテルで撮影をして、午後六時に終了するというのは、マニア撮影では、しばしばあるパターンだった。そこまでがラブホテルのサービスタイムで、撮影もそこまでの時間なら低料金でホテルを使用

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午後六時のエロ本屋
2018年12月15日00:25

 午後六時も筆者はエロ本屋だった。 新宿のホテルの高層階の部屋から夕暮れの新宿を見下ろしていた。何度も、何度も見下ろした変わらない景色だった。そして、何度見下ろしても飽きることのない景色でもあった。新宿の午後六時は普通の街の午前七時だ。根拠

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午後五時のエロ本屋
2018年12月14日00:49

 午後五時も筆者はエロ本屋だった。 SМプレイルーム。少し前まで、SМクラブといえばプレイルームを抱えていた。風営法という法律によって、プレイルームを持つことが難しくなり、SМクラブは衰退して行ったように筆者は感じている。素晴らしいビジネス

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午後四時のエロ本屋
2018年12月13日15:36

 午後四時も筆者はエロ本屋だった。 午後四時にSМクラブの取材をしていることが多かった。四時から取材をはじめ、五時には終えるのだ。そうすれば、女の子たちは六時からプレイに入ることが出来たのである。筆者がSМ雑誌にかかわりはじめた頃には、そん

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午後三時のエロ本屋
2018年12月12日01:06

 午後三時も筆者はエロ本屋だった。 午後三時。この時間にはSМクラブ関係者とお茶をしていることが多かった。取材は午後四時か五時からはじまる。SМ風俗嬢の出勤がそのぐらいの時間だったからだ。その前に、喫茶店などで、新しいプレイの相談にのったり

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午後二時のエロ本屋
2018年12月11日00:44

 午後二時も筆者はエロ本屋だった。 エロ本屋の多くは一人になることを嫌っていたように思う。ゆえにエロ本屋は寂しがり屋だと思われることがあるが違うのだ。もともと、本を書いたり作ったりしようとする人間は集団でいるよりも一人でいることが好きなのだ

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午後一時のエロ本屋
2018年12月10日00:59

 午後一時も筆者はエロ本屋だった。 男の編集者やライターとの打ち合わせは、たいてい、撮影前の集合場所になるような喫茶店をそのまま使用していた。十時の集合からバタバタと出たり入ったりして、十二時から一時ぐらいまでは、喫茶店の外にいて、一時にも

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午後十二時のエロ本屋
2018年12月09日01:03

 午後十二時も筆者はエロ本屋だった。 正午にきちんと昼飯を食べているエロ本屋が何人いただろうか。たいていのエロ本屋はその時間には朝食、いや、そもそも、まだ、寝ているものも多かったのではないだろうか。ただし、それは撮影や打ち合わせがなければ、

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午前十一時のエロ本屋
2018年12月08日01:23

 午前十一時も筆者はエロ本屋だった。 午前十一時という、その時間の代々木公園を一年を通して筆者はよく知っている。夏も冬も、午前十一時の代々木公園にいたからだ。午前十時の新宿待ち合わせ、そこで集合して、午前十一時に、代々木公園を目指すのだ。そ

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午前十時のエロ本屋
2018年12月07日01:07

 午前十時の新宿東口周辺のいくつかの喫茶店はその日にエロ撮影をするところの出版社やビデオ製作会社の集合場所にされていた。ビデオとエロ本の両方を製作していた筆者も、ほぼ、毎日のようにそこにいた。 エロ業界関係者が集まっているのだから、さぞ、騒

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午前九時のエロ本屋
2018年12月06日01:10

 午前九時も筆者はエロ本屋だった。 エロ業界にいるような人間は、それがビデオだろうが本だろうが、何しろ、少しばかり社会からズレている。特に時間感覚が鈍い。待ち合わせにきちんと現れるエロ業界関係者は極端に少ない。 十時の待ち合わせなら全員が揃

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午前八時のエロ本屋
2018年12月05日01:10

 午前八時も筆者はエロ本屋だった。 撮影が飛ぶ、と、当時は確かにそう言っていた。青ざめた顔の男が公衆電話と集合場所の新宿スバル前の路上を往復する。男は別の場所で、その日のモデルと三十分前に待ち合わせしていたらしいがモデルの女が現れなかったの

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午前七時のエロ本屋
2018年12月04日17:45

 午前七時も筆者はエロ本屋だった。 郊外に撮影に行くときは、決まって新宿のスバル前に集合させられた。新宿駅西口の大きなスバルの看板の下だ。真冬でもそこに集合させられた。集合するのはエロ本屋だけではない。グラビア雑誌関係者や写真集製作関係者も

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 狭間に置くものは六話もあれば十分だろうと考えていたのだが、思えば、賽の河原のこと、三途の河原のこと、村境のこと、ニューハーフのこと、筆者がもっとも好きな場所、階段の踊り場のこと、体育館裏のこと、書きたいことは、まだまだ、たくさんあったとい

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 デジタルというものには境がないように思う。仕切りはあるかもしれないが、その仕切りはゼロなのだ。つまり無に等しいのだ。ゼロと一の間というものがないのだ。デジタルは色にもグラデーションがない。白と黒の中間、白でもなく黒でもないのに、白のようで

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 一日二十四時間にも境目というものがある。昼と夜の境は午後五時。そして、深夜と朝の境が午前三時。この二つの時間が筆者は好きなのだ。 もっとも、都市生活をしていると、この時間の感覚は薄れてしまう。午後五時だからといって、特別なものもない。夕暮

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