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日記一覧

 あれは、まだ、ビニ本と言われる写真しかないようなエロ本があった頃だった。筆者は、ビニ本で稼ぎを上げながら、その余力でマニア雑誌を作っている出版社で手伝いをしていた。けっこう、いいお金になったのだ。何よりも、アルバイトのように日払いでお金が

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 筆者が二十四歳、その女は筆者よりも一つ年上だったので二十五歳だったはずだが、筆者にいは三十歳を過ぎているように見えていた。別に不美人のおばさんだったからではない。身長こそなかったが、スタイルがよく、長い黒髪が綺麗で普段はそれを編み上げてい

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 筆者も、もう、ずいぶんと長く、SМ業界にいる。ついこの前まで、三十年と言っていたのだが、今は、SМ業界に四十年以上と、そう言わなければならなくなった。四十年もいたのだから、これまで、絶対に書いてはいけないと思っていたところの、いくつかの話

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 ホテトル業者は非合法を生業としていた。そして、その取り締まりが厳しくなったことがある。そんなとき、SМ風俗が少し少し流行しはじめていた。ホテトルやマンヘルは非合法だが、SМは合法という考えは、SМの流行に大きく影響していたと筆者は考えてい

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「お前は他人の冷蔵庫の中身で料理をする料理人なんだよ。他人の食べたい物を作るのはいい。そこは俺は認めているんだよ。でもよ。他人の冷蔵庫の中身でばかり作っているもんだから、自分の冷蔵庫の中身は空っぽなんだよ」 記憶が確かなら、あれは新宿七丁目

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 筆者は打ちひしがれていた。左派勢力と言われる人の多くが金持ちだったことに言いようのない気持ちの悪さを感じていたのだ。そして、もう一つ。SМに関わる人たちの意外なほどの貧しさにも落胆させられていたのだった。 SМに関わる人は、金持ちばかりで

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 誰がエロ業界をつまらくしてしまったのか、誰がエロ産業を衰退させてしまったのか、いったい誰がマニアを健全で退屈な人にしてしまったのか。 もちろん、筆者ではない。別に責任逃れに、そう言うのではない。そもそも、筆者には、そんな力はなかった。影響

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 熱心に自分を正当化するマニアのほとんどはズレていた。女のため、男のため、中には子供のためとか、社会のためと、まじめに語るマニアがいたが、そられが本当に何かのためになっていたというような話はなかった。たいていは誰かの迷惑になっていた。そして

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 こんな企画はどうだろうか。「二度と行けない場所」 別にたいそうな場所のことではない。ただ、筆者の生粋の迷子体質と天才的な方向音痴と時の流れのために行くことが出来なくなったというだけのことだ。これもラジオ企画として、絶対に辿り着けないが、そ

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 深夜営業の店で過ごすことが日常だった。あの頃には深夜のチェーン店でない定食屋というのも新宿にあった。飲み屋は当たり前のように朝まで、あるいは始発までやっていた。そして、牛丼屋とカレー屋と立ち食いうどん屋。自分も朝まで飲んでいたときにはいい

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 また、一軒、筆者が利用していた深夜のファミレスが深夜営業を止めた。従業員の給料と売り上げを考えたら、やる意味がないのだろう。ファミレスはフロアー全てが禁煙となり、そして、深夜営業が終わり、ある意味、その名の通りのファミリーレストランとなろ

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 公園が好きだった。貧しい頃は、公園は喫茶店代わりだったりした。しかし、エロビデオやエロ雑誌が景気の良い頃にも公園は、本当によく利用していた。公園で撮影が行われた。ゲリラ撮影と言われるものだった。酷いものだった。やりたい放題だった。個人的に

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 ガメラとギャオスは滅茶苦茶だ。彼らが帰った後は、大きなケンカの後のように部屋が荒れている。ところが、コモドとアイさんが帰った後の部屋は誰かがそこで大きなケンカをしていたなどと信じられないぐらい綺麗だ。コモドにいたっては、掃除しながら酒を飲

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「日本ってね。許容してしまう社会だったと思うのよ。よその村の人、よその国の人、新しい生活様式、新しい文化、妖怪とか、幽霊とか、何でも許容してしまうのよ。災害さえも許容して行くところがあるの。強いのよ。地震も火山もある、あることを許容して、ど

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「女って何なのか、と、そこが問題なのよ。女は子供を産むから女だと言うなら、子供を産まないと決めた時点から、その人は女でなくなるのか、と、そう言うことなのよ。文化ってね。細分化なのよ。ようするに分けることで発展してしまうのよ。でもね。分けたら

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「酒もないのに夢を見たよ。コーヒーでウトウトするのは久しぶりだ。気が付けば深夜の二時だろう。酒もないのに、眠くなるなんてなあ。まったく、老いたものだ。何しろ、酒がないのに、こう、ウトウトとしてな」「分かりました。出しますよ。ありますよ。こん

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「私ねえ。ものすごく疑問なのよ。コモドの旦那のこの紳士ぶりね。不格好なスタイル。短い脚。二足歩行というよりは尻尾を利用した三足歩行。その上、この旦那は老いているものだからステッキも使って四足歩行。いっそ、素直に前足を地面につけて普通の四足歩

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「美味しいチョコレート、美味しいコーヒー、素敵な悪口、これが最高なのよね」 アイさんはコーヒーを注ぐコモドにお礼を言った。確かに、最後にアイさんのカップにコーヒーを入れたのはコモドだが、洗い物をして、コーヒーを淹れたところまでは筆者の仕事だ

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 アイさんはチョコレートを口に入れ、しばらく、その香りと味を楽しんでいたかと思うと、サイフォンに残っていたわずかなコーヒーを自らのカップの注いだ。コモドは「新しいものを淹れさせるのに」と、怒っていたが、他人の家で「淹れさせる」と、彼には筆者

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「ドラゴンというのはな」「ドラゴンの話なのね。コモドはトカゲだけど、ドラゴンの話なのね」「じゃあ、コモドというのはな。もともとが一人で生きているものなのよ。うーん。まあ、やっぱり、ドラゴンってことにさせてくれ、調子が悪い。お嬢さんは信じてな

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「あのね。コモドの旦那、幽霊が七代祟るって、どういうことか知っている」 アイさんが突然にそんな話をはじめた。七代祟る。幽霊とは恐ろしい存在である。「実に怖いねえ。コモドは子孫を大切にする生き物だから、余計に怖い」「あのね。どんな恨みを受けた

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「ああ、悔しいけど美味しい。男の傲慢さの象徴の味だけど、美味しいものは美味しいか」 アイさんはコーヒーカップを鼻の下におき、その香りを存分に楽しんだ後、ゆっくりとコーヒーを飲み、そして、言った。コモドはそれを満面の笑みで眺めていた。もっとも

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「お嬢さん。いいコーヒー豆を持って来たので、この男に淹れさせますよ」 コモドが燕尾服の上だけ着たような格好のその上着の裏の大きなポケットから、いかにも高級そうな包に入ったコーヒー豆を筆者に差し出して言った。コモドはお土産に糸目をつけない。そ

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「おこんばんは。あら、お邪魔さま、おやすみなさい」 二階のベランダの窓を開けたアイさんは、そこにいたコモドオオトカゲを見て、すぐに窓を閉めようとした。「逃げるのかね、お嬢さん」「その偉そうな態度がむかつくから帰るのよ。逃げるって何。それにお

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 ああ、そろそろサロンはつぶれるのだろうな、と、そう考えていたら、若い頃に出会った、いろいろな業種のダメな社長たちのことを次々と思い出した。会社がダメだった社長もいるが、会社の業績はいいのに、とにかく生活がダメだった社長も多くいた。一番は、

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課題小説
2019年12月06日17:32

 コインパーキングに車を停めエンジンを切り、そして、シートを後ろに倒して天井を眺め、その後、ゆっくりと目を閉じてため息を漏らし、再び目を開けると、ようやくピントが合った気がした。今度はゆっくりとシートをもどしながら前を見る。郵便局が見える。

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 サロンの運営がかなり厳しい状態になっている。先月の赤字はついに二十万円を超えてしまった。これに家賃が重なれば、もう、今月でサロンは夜逃げするところだ。思えば、赤字が二十万円ということは、むしろ、サロンは開けずに、そっとしておいたほうが被害

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 次の企画について考えていたとき、そういえば、ラジオ製作の夢のことをすっかり忘れていた、と、そのことに気づいた。あのとき、どんなアイドルも年齢には勝てないけど、アイドルが最初から幽霊だったら永遠のアイドルでいられるんだよなあ、と、そう思った

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 昔話や童話の精神分析というのは珍しくない。文学の中の性異常なんてのも、まあ、よくあるものだ。ところが、その逆は意外とないように思うのだ。 つまり、今、変態や異常性愛、異常性愛事件をそのまま書かずに、童話や昔話のように書いて誤魔化しながら伝

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 楽曲よりも力のある文章は筆者には、少しばかり荷が重い。もう少し文章力があったら、楽曲とそれにともなうエピソードで、まだまだ、書きたいことがたくさんあるのだが、残念ながら、その文章力がない。文章力がないので、素敵な楽曲にぶら下がってしまう。

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