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日記一覧

「捨てられた日記帳」 人生なんて嘘でも本当でもいいのだ 娘と結婚するつもりなのか、と、尋ねる母親に、ただ、取り立てを依頼されただけの交渉のプロです、と、答えると、彼女は、少し残念そうな顔になった。がっかりしたのか声のトーンが低くなり「娘にお

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「捨てられた日記帳」 日記が好きだった少女 何度も大丈夫だから、と、そう言ったのに、その女は店をわざわざ休んで、筆者の帰りを待っていた。結果、筆者は無傷だった。当たり前だ。ただ、大人の男三人が二十代の女一人に、いいようにやられたことは恥ずべ

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「捨てられた日記帳」 日記が好きだった少女 ソープ嬢として人気があるのだから、女の子っぽいのかと思っていたが、その女には女らしいところは少しもなかった。いや、なかったように最初は、そう思えたのだ。何しろ、生活がだらしないのだ。脱いだ服はその

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「捨てられた日記帳」 ヒモのような暮らし 利用されたのだった。騙されたのだった。しかし、その時の筆者は被害者ではなく加害者として指名手配されていた。筆者を追っていたのは、しかし、警察ではなかった。暴力で問題を解決しようとしている半端なチンピ

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「ビニールの刀」女王様じゃないから「やっぱりM奴隷ですよね」「どうして」 筆者より背が高いので、少し膝を折り曲げるようにして筆者の腕を枕にしていた彼女が天井を見たまま筆者の隣でつぶやいた。甘えたような声だが、少し低音のその声には威圧感があっ

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「ビニールの刀」チャンバラがしたい女の子 料理は美味しかった。筆者はペリエしか飲んでいなかったが、それでも十分に満足出来るほど料理は美味しかった。ただし、外装も内装もよくなかった。イタリアというよりも北欧のイメージだったのだ。もちろん、筆者

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「ビニールの刀」ケンカしてもいい甘えてもいい しばらくマッサージなどした後、二人でスーパーの下見に出た。イベントは女王様とM男のパーティ。バーベキューをして、プレイをして、お金を払っているM男たちは一階の大広間で雑魚寝、お金をもらっている女

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「ビニールの刀」下見の旅行に出かけて「運転させられて、コーヒーを淹れさせられて、マッサージさせられて、その上、セックスでも奉仕させられるんですよねえ。これって、いわゆるM奴隷ってヤツじゃないんですか」 その日、筆者がマッサージさせられていた

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「赤い帽子」男らしさとか女らしさとか「あなたと似ているのは、男のモノだけで、全て反対ですよ。顔も身体も、性格も、何もかもが反対なんじゃないですかね。ああ、ただ、文学が好きっていうのは似ているところかな。そういえば、子供の頃は本が好きというと

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「赤い帽子」男らしさに悩まされて「俺たちって似てるよな」 確かに似ていた。彼のそれも大きくない。そして、深く帽子を被っている。色白で弱々しい感じに見えるのに硬い。帽子を脱がすと照れたように赤くなっている。「そういえば、そうですね」 筆者が自

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「赤い帽子」複雑な男と男 ヤカンが見当たらなかったので鍋でお湯を沸かし、それを浴室の洗面器に入れて、持って来た二本のタオルをつけた。これをそのまま絞るのだから、それは、かなり熱い。しかし、それを我慢して絞ると気持ちの良いタオルになるのだ。「

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「赤い帽子」モテる男の看病 酷い頭痛に熱に下痢、その状態で筆者は、一週間、一人で寝込んでいたことがあった。冷蔵庫に大量にあったアセロラドリンクと朝バナナ缶、机の上に大量に積まれたカロリーメイト、それだけで一週間を持たせた。薬はなく、病院どこ

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「恋愛体質」人生の半分は欠けている「美味しい」と、彼女は筆者の茹でた蕎麦を食べて言った。それはそうなのだ。天麩羅蕎麦。蕎麦は高い物を買ったし、スーパーとはいえ、総菜の天麩羅は立派な物だったのだから、それで不味くなるはずがないのだ。「ほとんど

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「恋愛体質」人は蕎麦ほどかんたんじゃない 木造二階建ての小さなアパート。想像していたオシャレなマンションでもなく、愛らしいコーポでもなかった。外階段を上り、四つ並んだドアの一番奥。近所には公園があり、そこの駐車場は無料だった。しかし、アパー

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「恋愛体質」奇妙なドライブ「悪い男には見えませんでしたけど。いや、悪そうな男には見えましたが、本当は、良い人なんじゃないですか、彼」 首都高に車を乗せたところで、助手席の彼女に筆者は尋ねてみた。音楽関係の仕事をする先輩のバンを借りているとい

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「恋愛体質」奇妙な引っ越し 引っ越しが趣味だと公言していたからだろうか、あまり親しい関係でもない人の引っ越しにも、ずいぶんと多く関わったものだった。今では、引っ越しと言えば専門の業者がやるのが普通だが、少し前までは、引っ越しは自分たちでやっ

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「靴をなくした女の子」赤のスニーカーを買って「今日も、そうなんだけど、私、肝心な時には、いつも、躓くんです。普段は、あまり遅刻なんてしないんです。これ、本当なんです。それなのに、受験とか、デートとか、仕事とか、何でも、肝心なところは遅刻した

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「靴をなくした女の子」世界は少しだけズレている「よくは覚えていないんだけど、私は、あの赤い靴をなくすまでは、明るくて元気な女の子だったと思うの。でも、あの日から、私は暗い子になったの。何をしても楽しくない。何を聞いても面白くない。何を食べて

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「靴をなくした女の子」感覚の不一致 インタビューの前に撮影をしておく。最悪、インタビュー素材がなくても撮影してあれば誌面には出来るが、インタビュー素材だけがあっても写真がなければ誌面には出来ないからだ。それがエロ本なのだ。 全裸になった愛ら

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「靴をなくした女の子」一歩目で躓いて 喫茶店にはじまり、ゲームセンター、書店、喫茶店、ゲームセンター、最後に、また、喫茶店、そうして、最初に喫茶店に入った時間から六時間近くを経て、ようやく筆者は指定されたラブホテルの部屋に入った。幸い、その

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「腕時計をなくした三人」愛という絵空事「誰も時計をなくさなかった、あ、これ、小説のタイトルみたい。ねえ、作家がいるんだから、これ小説にして出版したらいいじゃない」 女王様がコーヒーカップを持ったまま全裸で筆者のほうに歩いて来て言った。薄い繁

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「腕時計をなくした三人」奇妙な三人の共通点「なんだ、そういうことだったんですね」 女王様は全裸のままベッドの上でぐったりとしていた。社長は萎えてなお大きなモノを隠そうともせずに、窓際の椅子に座っていた。そして、筆者は、その社長の前に、やはり

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