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日記一覧

性を遊ぶ女、その1 あれは何年ぐらい前のことだろうか。すでに携帯電話は持っていたのだが、インターネットは、まだ、なかったように記憶する。その女とはパソコンのメールでやり取りしていた。確かポストペットとか、そのようなものがあったように思うのだ

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性具製作者、その4  二人が結婚してからも、筆者は彼の工房に通っていた。彼は一人で工房に暮らし、彼女は通い妻のように工房にやって来ているようだった。不思議な男が結婚を決めた女は、やはり、不思議な女だったのだ。女は彼の一人の時間を邪魔したくな

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性具製作者、その3  それは奇妙な光景だった。一年中開けることのなそうな天戸の向こう側には子供たちの遊ぶ声が聞こえている。工房の中は昼間から電気が煌々とワイセツ物を照らしている。その中心に全裸の女がいる。筆者が連れて来た三十歳過ぎの元性風俗

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性具製作者、その2 エロ本であれば、その製作で拘るものは、当たり前だが視覚なのだ。女性の裸が美しく見えるとか、被虐的な表情とか、歓喜の姿態というものだ。もちろん、法律のギリギリで違法なそれを見せるということにも拘った。もう一ミリ消しが小さけ

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性具製作者、その1 京浜東北線は都会的な電車のように思うが、あの頃は、ずいぶんと田舎まで行く電車だな、と、そんな印象が筆者にはあった。山手線から離れ埼玉方面に向かうと、沿線は次第とローカルになって行った。あれは四十年近く前のことなので、その

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性技の達人、その4 撮影の後、いつもなら、編集者たちと一緒に打ち上げに行くのだが、その日、筆者は夜に仕事があり、自分の車を使っていたので、打ち上げは遠慮することになった。ところが、達人と言われた男も、打ち上げに行かずに、そのまま横浜に行くと

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性技の達人、その3 撮影スタジオに入ると荷物の搬入がある。筆者はそれが得意だし、嫌いではなかった。本格的に貧乏し食べられなくなっても、自分は引っ越し屋になれるから大丈夫だ、と、根拠のない自信を持っていたぐらいなのだ。実際、引っ越しも好きだっ

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性技の達人、その2 自分のカップと伝票を持って筆者の席に移動して来た彼は、平凡な名前を名乗り、平凡な名刺をくれた。あまりに平凡だったので「本名ですか」と、尋ねると、彼は、そうだと答えた。そして、彼は言った。「本名を隠す意味が私にはないんです

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性技の達人、その1 達人というものに懐疑的だった。あの頃、パソコン通信が世の中に浸透し始め、筆者も掲示板のようなものを持っていた。そこで、多くの性自慢が掲載されることになった。緊縛の達人、天才サディスト、ナンパ名人、盗撮や盗聴の達人という人

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ナンパ師、その4 彼が関わるホラー雑誌は、それなりに数字を出していたようで、必然的に彼から回ってくる筆者の仕事も増えた。マイナーのエロ出版社が増え過ぎて、それだけでは食べて行けなくなっていたので、それが筆者には助けとなった。彼はエロ本から、

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ナンパ師、その3 霊感があるとかないとか、そんな話は筆者は知らない。ただ、人には、それぞれの人によって、ある種の恐怖に鈍感ということはあるものだと思う。たとえば、暴力に鈍感でなければ格闘技は無理だし、スピードに鈍感でなければレーサーは無理だ

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ナンパ師、その2 顔が良いと言うのとは違うような気がした。スタイルには気を配っているので太ってはいなかったが、鍛えているというほどのこともなく、そこにも、特別な利点はないように見えた。それでもモテるとなれば饒舌なのだろうと思われるが、彼には

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ナンパ師、その1 爪を切り、爪を磨き、クリームを使う。顔の手入れよりも、髪の手入れよりも、手を美しく保とうとする男がいた。筆者が、まだ、二十代の前半だった頃、その筆者よりも、彼は一つか二つ年上だったと思うのだが、見た目は筆者よりも若く見えた

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 埋もれた詩人、その4 その男と仕事をするようになって一年以上が過ぎた頃だっただろうか。男を同居させている女から、初めて電話をもらった。一年以上も付き合い、身体の関係を持ったことが二度もあるというのに、彼女から直接に電話をもらったことはなか

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 埋もれた詩人、その3 男と筆者は気が合わなかった。詩の話をすれば男はドイツ、筆者はフランスだった。音楽の趣味の幅は広いようだったが、筆者は音楽はどれにも興味がなかった。変態を愛する筆者に対し男は猟奇を楽しんだ。スポーツが好きな筆者に対し男

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